ウクライナへのロシア軍の侵攻が長期化しており、類似情況にある台湾・中国関係に国際的関心が集まり、習近平主席が状況次第で軍事侵攻も辞さないと公言していることもあり、数年以内にも現実化するのではないかとの推測や対処方法など、しばしば報道されるようになった。更に書物でも日本の安全保障問題を含めて関連するテーマでの出版が急増している。

然しながら、中国の動向に対して深堀した指摘が殆どないのが不思議でならない。と言うのは、現代は熱い戦争のみならず言論戦の時代でもあるが、中国政府や中国国民にも自制させる重要な観点が欠落しているからである。台湾問題は中国の内政問題と、中国側は主張するが、中国共産党が台湾を支配したことは歴史上一度もないということが指摘されていない。中国共産党軍と国民党軍との戦いが休戦状態となり、現在に至っており、一つの中国と言うのは必ずしも台湾が中国共産党支配下に入ることを意味しない。旧東欧諸国が殆ど共産党支配から民主化し、ソ連からも脱け出し独立国家となったことが強調されていない。又中国国内でも共産党独裁体制下にあっても民主化を求める一般大衆の動きが出ては抑圧され、又何かあると息を吹き返す状況にも眼を離せない。毛沢東も「一般人民大衆を抑圧すると、一時的には弾圧できても、結局は一般大衆の反撃に倒される」と述べたこともある。独裁体制が強まれば強まる程、その様な動きは加速されるものでもあると看破している。第二の趙紫陽や胡耀邦が遠からず現れ、中国のゴルバチョフとも言うべき人物が台頭しないとも限らない。独裁体制は腐敗堕落し、倒されることは歴史が教えている。

台湾問題は現地住民の平和的存在が、何にもまして重要であることは繰り返し主張し、報道されるべきであろう。

中国問題で注目されることは、中国の覇権主義的な動向であるが、1972年9月田中首相が訪中し日中国交正常化したが、その時互いに覇権を求めないと確約したにも拘わらず、この数年来中国の覇権主義的動向には目に余るものがある。特に経済援助と引き換えに、軍事拠点とも言うべき拠点づくりをしており、その実態は、もっと報道され、強調されて良いはずである。特に中国の海洋進出に対しては、前回も指摘したが、中国が再三強調する「歴史に学べ」を逆手に取って、指摘されるべきであろう。即ち昔日本は海洋国家であるにも拘わらず、同時に大陸国家たらんとしたが失敗した。中国は大陸国家であるにも拘わらず、同時に海洋国家たらんとしているのは明白であり、歴史に学んでいないと何度でも指摘すべきであろう。

中国の「歴史に学べ」と言うのは、本心では「昔中国国内の結束力が弱く、日本や欧米諸国に蹂躙された、これからはその仕返しをするぞ」と云うものであり、元々日本や欧米を牽制するものであり、少数民族問題等中国国内でも散見される。前にも触れたが、中国も日本も昔は「五族協和」を唱えたが、旧満州国は「偽満」と言われ、満州族は現在消滅の危機に瀕しているのが実態であり、当時日本のお陰で満州(現東北地方)では学校教育や工業力が重視され、新中国成立時には中国国内では「先進的地域」とも言える状況だったと、指摘してくれた中国人も居た。

中国内地のみならず中央アジアから西欧の一部も勢力下に置き、日本にまで侵攻して来たモンゴル族は元国を建国したが、今では内モンゴル自治区内でも二割程度の人口に減少されてしまった中国大陸の動向は、中心勢力の漢民族の長期的な報復主義的であり、沖縄県の尖閣諸島など西南諸島が侵略される危険が日増しに強まっていると、強く認識すべきでしょう。

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