ウイグル族等少数民族への迫害が続いていると、欧米や日本では報道が継続されていますが、本質を突いた報道がないのは残念です。中国の憲法では少数民族の文化、風俗習慣は尊重されると規定されているものの、普通語(北京語)も必ず学ばなければならないとも規定しています。本当に深刻なのは、五つある少数民族自治区での漢民族の比率を上昇させ、少数民族を全国に散らばせて、自治区を名ばかりにしていることこそ大問題ですが、何故か報道されません。
自治区の実情は:
1、内蒙古(モンゴル)自治区;人口2500万だが2000万は漢民族となった。モンゴル人は400万、他省でのモンゴル人は200万である。(人口260万の外モンゴルは独立国)
2、新疆ウイグル自治区;人口2200万、元々ほとんどゼロだった漢民族が40%を占めて、ウイグル族とほぼ同じレベルとなった。遠からず漢民族が多数派となろう。
3、寧夏回族自治区;人口600万、イスラム教を信仰する回族200万、400万は漢民族などである。他省には800万の回族がいる。(回族最盛期の西夏時代10倍の領土だった)
4、チベット自治区;人口300万弱、居住地の平均海抜4000mで移住者少なく(短期訪問者には、酸素ボンベが必要)8割以上はチベット人だが、他省にも320万のチベット人が居る。
5、広西チワン族自治区、人口4700万。チワン族は1000万(他省にも700万)居るが、多くは山岳地帯に居住し分断されており、深刻な民族問題はない。。
6、満州族;全国に1100万いるとの公式統計だが、近代に至る迄(1644-1911)清朝として全国を支配し、18世紀には全世界の3割の経済力を有する迄中国を発展させたが、自治区の設立も認められなかった。戦前日本の援助で満州国を建設したが、中国では「偽満」と称して、存在も否定している。然し毛沢東に並ぶある著名人は日本の援助で東北地方(満州国とほぼ重なる)の教育、工業レベルは新中国建国時全国一だったと言う。
ことの是非よりも、全中国を支配したことのある満州族や蒙古族に対してはどんなに時間がかかろうとも、執拗且つ最も厳しく弾圧していると言えよう。

尚、香港返還25周年記念行事に習近平国家主席が出席し、一国二制度は成功したと表明したことに批判する報道が繰り返しあったが、突っ込みが足りない。法治主義に対する批判はやや的外れであり、中国当局(一般的中国人でも)としては痛痒を感じないものである。何故なら全ての法令の基礎となる憲法規定では、共産党が全てを指導すると規定されているのが中国であり、一国二制度も、報道もどんな政治活動も中国共産党の指導の範囲以内であることが、法令順守の基礎だからです。共産党の支配が及んでいない地域を制圧することを「解放する」と言うのが、中国であり、彼らの言葉の概念も考慮しないと、批判が批判にならないことを銘記すべきでしょう。特定の政党が支配することを憲法で規定している様な国家体制は、人類の文明の発展に逆行していると指摘することこそ肝要であろう。

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