最近、民主主義や人権問題で米中間の論争が激しくなっているが、アメリカの主張にはあまり成果は期待できそうにない。と言うのは若し公然と「アメリカの言うことももっともだ」と言うなら、それは中国の憲法に違反していることになるからである。中国の憲法では共産主義を国是と規定し、共産党は国民を指導する政党と規定しているからです。従い、どこの国でもそうだが、中国に於ける民主主義、自由、更には人権問題も憲法の許容する範囲内にとどまると言うことである。
1.    分かりやすく言えば、会社や学校で、規則や指導方針を否定したり、反対する活動が許されないのと同様と思えば理解し易いと思う。問題は中国の憲法制定する人達に本当にその資格があるのか、その手順が公正なものかどうかということでしょう。
2.    少しでも中国の動静に関心のある方なら、中国では国の重要な事項は、毎年避暑地の北戴河で開かれる党の長老を含む指導者階級による非公式な会合により実質的に決められるが、その話し合い内容は公表されません。更に11月に開かれる党の常務委員会で正式に決まるが、そこでの討論内容も非公開であり、翌年3月の全国大会で初めて全国から代表者、3000人余を北京に招集し、最終決定とされるが、討議すると言うより学習会の如き様相である。代表者として北京に呼ばれるのは、大変名誉なことと受け止められ、地元に戻れば各種報告会で、報告されるものである。
3.    あまり知られていないが、中国には八つの“野党”があるが、共産党に対して参考意見は出せるが、反対意見は出せない。会社や学校での「クラブ活動」類似と思えば、良いでしょう。問題の核心は人口の7%、9000万人余の共産党の首脳陣が、実質的に全ての政治課題を決めてしまう国の仕組みが、人類の歴史の発展に沿っているとは言いないでしょう。政権を担当する党派や政府に自由に意見表明できること、反対党の設立と自由な活動が保障されること、選挙の自由化(事前選別の禁止)等々、これ等の保障こそ発展した政治体制であることを、中国人にも分かりやすく、何度でも主張、表明すべきでしょう。
4.    北京の長安街通りの少し西寄りの北側に民族文化宮と言う少数民族関連の博物館的な施設があるが、昔は何度も見学に招待されたが、新中国成立前には少数民族は如何に抑圧されていたか、その解放に中国共産党は如何に貢献したかが、展示されていたものである。
チベット民族やウイグル族への最近の情況を勘案すると、此処での展示内容はどう変わったか気になるところである。
5.    中国は日本に対して歴史を教訓としていないと批判するが、中国の歴史の学び方はリベンジ主義で、数百年前から20世紀前半までの世界的な植民地主義時代を踏襲しようとしていると断言できる。即ち1972年9月の日中国交正常化交渉時に約束した、「覇権を求めない」に違反する事項が多すぎる。更に日本が戦前に中国各地に影響力を打ち立てようとしたこと、即ち海洋国家である日本が同時に大陸国家であらんとした(豊臣秀吉の夢でもあった)ことを、正しく学んでいない。即ち大陸国家である中国が、海洋国家でもあらんとしており、「偉大なる中華の復興」を掲げるが、前近代的な夢と化している。日本だけでなく、イギリス、スペイン、ポルトガル、オランダ等の過去の過ちや東欧諸国の民主化を、教訓とすべきでしょう。

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