2021-11-25中国進出-中国を知る(213)中国との付き合い方(3)
国際社会で、連日のように中国と西側諸国との間で激しい駆け引きと抗争が繰り広げられているが、どうも中国側に焦りがあるように思えてならない。1960年代から,中国と付き合ってきた商社マンとして、仕事には直接関係ない「毛沢東選集」を勉強したり、文革が始まると「毛沢東語録」を常時携帯、折に触れ読みあいをしたものです。当時の感覚を呼び起こしてみると、中国の動静を大きく左右するはずの農民たちの生活の情況が「出稼ぎ」の動静以外ほとんど報じられないのが、不可解です。中国は何といっても農業大国で、少なくとも人口の半分である7億人程度は農民ですが、大都市周辺以外の農民は大変貧しい情況に変わりはないと思われます。
1, 鄧小平は1978年末に改革開放の大号令をかけた折、シンガポール、香港、台湾、韓国等を「四つの小龍」と呼び、見習って誰でも良いからなれるものから豊かになれと指示し、市場経済を取り入れた。共産党の指導・支配以外は実質上資本主義社会を取り入れたものである。全国的に経済レベルが、まあまあ少しはゆとりある「小康状態」になったら、社会主義経済の基本である、平等社会を目指せばよいとしたものである。
2, 今年になり習近平政権は「共同富裕」政策を提唱し、鄧小平の「申し送り」採用に踏み切ったようにも見えるが、中国の地域格差や職業格差は日本人には推測するのも困難な程、大きいことに注目する必要があろう。日本での地域格差は沖縄の経済レベルは東京の7割程度と言われ格差が一番大きいとされるが、以前中国では貴州省の経済レベルは上海の10%以下と言われていたが、今でも20%程度まで上昇したかどうか疑問視されます。中国の研修生などが日本の辺鄙な農村地帯で働くことになって見聞を通じて、大都市とあまり差がないことに驚嘆していることにも表れています。
3, 斯様な大きな格差を如何にして小さくしていくかは、極めて困難なことであるが、一方では斯様な格差縮小なしでは、安定的な社会にすることは困難だと言えます。多分習近平は痛いほどそれを感じているに違いありません。そこで、対外的な摩擦覚悟で勢力拡大を図り、貧しい国民の目を反らしたいことでしょう。東欧諸国が共産主義や共産党支配体制から脱却したのも、社会全体が「小康状態」になってからだったことにも留意すべきでしょう。
4, 日本でも共産主義や社会主義を信奉する人達は、資本主義社会がある程度成熟してくると、社会的矛盾が大きくなり、社会主義社会を希求する様になると言ってきたが、事実は真逆であることが歴史的に証明されたと言えるでしょう。資本主義社会は、むしろ自由・民主主義社会として、社会福祉政策など従来の概念にない社会主義社会の目指す政策でも良いと思えば、何の拘束もなく採用していく柔軟性があると言えます。
5,コロナ対策など、社会主義社会の権威主義、独裁主義がより良いことを事実が証明しているとの主張もあるが、それはあくまで一時的な現象であり、民主主義社会は一見非効率であるが、結果責任も大多数の一般市民が背負いこみ、その修正を含めて時間が経過すると、矯正されてゆき、やがて徹底されていくことを示しています。
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