2019-2-1 中国進出―中国を知る(172):絶対的権力は絶対に腐敗する
カルロスゴーンの勾留期限が再三に亘り延長されているが、本人はもとよりフランス政府も不満を表明している。日産自動車の会長として仕事をして来た期間に、業務上の資金を私的に流用した事案が沢山あるのは間違いなさそうである。日産自動車の業績を劇的に改善した彼が不法行為により勾留されるなど、部外者には想像することも出来ないことであった。
権力は腐敗し易く、「絶対的権力は絶対に腐敗する」と歴史的に証明されている事例の一つとなってしまった。斯様な事例は企業、団体、政府機関や地方自治体でも少なからず例を見るであろう。では事前に容易に察知出来ないものであろうか?それは出来ると言える。即ちそれこそ歴史的に世界中で普及しつつある民主主義である。民主主義にも衆愚主義とか、大衆迎合主義と云う欠陥があるが、その結果には一般大衆が甘受しなければならないことで、更に学びを深めることにつながる。例えば日本の政界を見る時、一つの政党が民主主義的であるかどうか、判断するには主流派に対する反主流派が存在し、自由に活動でき、それが外部からも見えるかどうかは重要な物差しであろう。一枚岩に見える政党や団体、会社は要注意である。
新中国の歴史を見ると、1949年10月1日の新中国成立までの日本や国民党軍との複雑な戦争、闘争時代は三大規律・八項注意(ネット検索可能)に代表されるように、おおむね農民や一般大衆に寄り添い、共産党幹部も質素な生活に甘んじていた。然し当時4億人と言われた人々は食うや食わずの生活で、功を焦った毛沢東は15年でイギリスに追いつくとの経済目標を掲げ滅茶苦茶な経済政策を掲げて、全国民に強要した。例えば以前紹介したが、農業では密植(稲穂の上に子供を乗せても倒れない程収穫があると吹聴された)が推奨され、工業では土法高炉(市町村相当の人民公社に夫々小さな高炉を作り、鉄を生産しようと云うもの)建設が進められたがいずれも失敗した。毛沢東や狂信的な取り巻きに誰も反対できなかった。この一連の政策を大躍進政策と呼ばれたが、この失敗により2-3,000万人の餓死者が出たと言われたほどである。これ程ではないにしても、中国製造2025と呼ばれる大目標が現在掲げられていることは、皆さんご存知のことと思う。既に製鉄能力は日本の6倍、アメリカの4倍と過大なものとなっている。習近平国家主席は21世紀の毛沢東になろうとしていると言われる所以である。
中国は従来何かにつけて日本や欧米に向かって、「歴史に学べ、歴史を教訓にせよ」と叫んでいたが、最近は言わなくなってしまった。例えば欧米諸国がアジア・アフリカ諸国に対して植民地主義を行なっているが、アジア・アフリカから手をひけと再三強調、覇権主義反対も再三叫んでいた。更に民族自決も歴史の必然として、商社の我々若い駐在員は勉強させられたものであった。即ち、列強諸国の政策は「強要、抵抗に遭い弾圧、強要、最後には失敗」、闘争し続ける民族は、何度も「失敗するが最後には成功する」、と云うものだった。特に1972年9月の田中総理の訪中による国交正常化に際しては、日中双方は覇権を求めず、第三国の覇権主義にも強く反対するとの共同声明を発表したが、最近数年の中国の動きは、どう見ても覇権主義を実行しているとしか見えない。欧米諸国や日本は「脛に傷を持つ」為か、一向に反対表明もせず、牽制球も投げない。むしろアジア・アフリカ諸国が、中国の動きに対して警戒感を強めつつあるのではなかろうか?!
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