2017-6-6 中国進出-中国を知る:(141)結局中国(人)とは何ぞや (5)
タイトルとは異なるが、もう一回横道にそれて日本人の異常な平和維持感覚に就いて述べましょう。大多数の日本人は米軍基地の存在は不愉快だが、いざと言う時には米軍が守ってくれると信じていることです。再三にわたり日米首脳が尖閣諸島は日米安全保障条約の範囲内であると言明しているのは象徴的なことです。自国の平和は先ずは自国民が率先して守ろうとしない国など、人口が数十万以下の小国(被保護国)は別として、古今東西存在しないでしょう。どうしてこうなったのでしょうか?!
1、 出発点は先の大戦の結果、米国の「日本を二度と軍事大国にしてはならない」との認識から始まります。その結果が、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我々の安全と生存を保持しようと決意した」との前文や、第9条の戦力は保持せず、国の交戦権は認めないと規定した憲法を採択したことです。当時吉田首相は「米軍と言う番犬を飼うことにした、と思えばいいか!」と言ったそうです。
2、 その後、1950年6月北朝鮮の侵攻により朝鮮戦争が勃発し、急遽「警察予備隊」が設置され,自衛隊の前身となったが、マッカーサー総司令官は日本の再軍備を説き、解任されてしまう事態も発生、一方政治、労働、学究広範な分野で左翼勢力が拡大した。1967年には中国が初めて水爆実験に成功し、当時中国駐在中だった私は「中国の核戦力は平和維持の力になる」と、多くの現地滞在同業者(左翼勢力が多かった)から聞かされショックを受けた。彼等の信奉するところに依れば、米国など民主主義勢力は帝国主義勢力であり、プロレタリア独裁に依る真の人民解放の妨げになるというもので、その尾ひれは今なお存在していると見られる。
3、 日本駐留の米国軍人の母親や夫人にしてみれば、自国の平和維持に率先して取り組もうとしない日本人の為に、彼らが命を懸けることに納得がいくだろうか?1965-66年と北京駐在時代に、ベトナム戦争に就いてある中国国際貿易促進委員会(駐在員の身元引受団体)幹部から、「今は米軍が北爆する等威勢がいいが、最後は地上戦だ。前線まで発電機や冷蔵庫を持ち込み冷えたビールを飲みたがる米軍が、一日中でも水辺にひそみ狙撃のチャンスを待っているベトナム軍に勝てる訳がない」と聞かされ、その時は半信半疑だったが、結局その通りになり覚悟の有無が決め手と思い知らされた。
4、 一部の西欧諸国の社会福祉政策の充実ぶりや平和主義が報道されることが比較的多いが、スイス、オーストリア、スウェーデン等は国民皆兵であり、一般人も定期的に軍事訓練を受けることや、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、ドイツ、ブルガリア等が徴兵制であることは滅多に報道されず、従い日本人はほとんど知らない。
5、 結局戦前の軍事優先主義の結末(敗戦と言う物的・人的な空前絶後の災難)に懲り懲りし、米国の思惑や左翼勢力の“日本解放”の幻想も加わり、何時の間にか日本が軍事的行動さえ起こさねば、平和は続くとの幻想に取りつかれ、今なおその状態が続いていると言えよう。正に「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」状態が続いていると言える。
尖閣諸島周辺で日本漁船が漁労を行えず、中国の漁船は時々大挙して押しかけ、更には小笠原諸島にまで押しかけて来る状況は大きな問題を提起していると言えよう。
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