2017-1-13 中国進出-中国を知る:(131)この50年余現地で見た中国(22)
1.中国には55の少数民族が居ると言われるが、少数民族の比率が大きい地域では、彼らの伝統的文化、風俗習慣は特に尊重され、自治区と称される建前となっている。然し実際には漢民族等の入植が時間をかけて推進され五つある自治区の状況も一様ではない。各地の概況は:
① チベット自治区:面積は日本の3倍強だが、人口は僅か260万程度で九割以上はチベット族である。チベット族は青海省や四川省などにも多数居住し、全国では500万人程度に達する。チベットの平均海抜は4,000m弱と高く、入植が進まぬ一方時々民族紛争が起きている。
② 新疆ウイグル自治区:面積は日本の4倍強だが大部分は砂漠で、人口は1,800万弱。漢民族とウイグル族夫々45%程度で拮抗し、西南部のカシュガル等では度々紛争がある。
③ 内蒙古自治区:面積は日本の3倍弱だが、人口は2,400万、漢民族比率は既に八割近く、満州族等他民族も多く、モンゴル族は200万程度で、民族紛争も小規模にしか発生しない。
④ 広西チワン族自治区:東西を広東省と雲南省に挟まれた、日本の本州程度の地域に4,700万の人々が居住し、チワン族は1,500万に達すると言われるが、民族紛争は聞かれない。
⑤ 寧夏回族自治区:面積は九州と四国を合わせた程度で、人口は600万だが、回族は二割強である。日本の平安時代から西夏王国として隆盛を誇り、領域も日本の2倍近くあったがチンギスカンに王都(現在の銀川)の人々全員が虐殺され、滅亡したと伝えられている。人種的には広い意味では漢民族と同じだが、イスラム教を信仰し、昔は6000余の独自の文字を持っていたが、未だ完全には解読されていない。
2. 中国では統一を守ることは、どんな状況下でも餓死者を出さないことと併せ、為政者の最大使命と言われる。然し、ウイグル族などは歴史を紐解けば有史以来、統治する王朝は数十回も代わっている。満州族の如く吸収して漢民族に同化してしまうのが、願望かも知れないが、北京から派遣される為政者(書記等現地政府首脳)は北京の顔色を窺いながら統治するのか、現地の人々の願望を満たすことを優先するのか、難しいところである。又入植させられた漢民族も3代目、4代目になれば自然に現地化してしまい、北京の思惑通りにはならない側面もある。人も動植物も、生きとし生けるもの全ては環境に影響を受け支配される証左である。
3. 石嘴山市人口は70万だが、面積が4,700㎢と埼玉県より三割近く広く、主要市街地は六か所に分散しており、夫々が20-40㎞も離れている。私が仕事で居住した石嘴山区は最北端に位置し、外資導入(自治区以外からの意)に熱心だったが、外国からは殆どなかった。市の書記楊春光氏はお殿様的人物だったが、この辺境の地をこよなく愛し、古ぼけた役所建屋を使い、市歌を自ら作曲、2003年には都市計画の参考にとアメリカ視察、その啓示録として、「好山好水好設計」と題する写真集を発行したが、何故か山口県の錦帯橋の写真(遠景にお城が見えすぐ分かる)や西欧の建造物も掲載されている。内部参考資料なので気にしない様子。市民が喜べば国の管理の黄河から沙湖に水を引き込んだり、接客中に市のテレビ局に電話し、突然市歌を流させたり、文革中は幼児だった為、元“紅衛兵”だった私に当時の紅歌を歌うよう強要することもあった。愉快な人物だったが中央政界での出世は眼中にないように見えた。
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