日中関係や日韓関係については、お互いに非難合戦の如き情況がある。マスコミのみならず、一部の政治家からも叫ばれ、出版物も多くなっている。ひどいものになると、中国や韓国は崩壊して消えてなくなるが如きであり、政府レベルになると中韓両国が過激な発言を繰り返す一方、日本からは極めて抑制的な発言となっている。こんな状況を続けることは、誰の利益にもならないし絶対多数の人々の意にも沿わない。実証的に歴史を認識し、大人の対応が出来ないものだろうか。

1、 戦前の日本の軍国主義や拡張主義が中韓両国のみならず、多くの国々に物的、人的に大きな災害を与えたのは間違いないが、それだけを繰り返している両国に同調する人々が日本にもいるが、どんな意義があるのだろうか?前にも触れた如く、どんな国や民族にも歴史を遡れば、否定的側面と肯定的側面があるのは周知の通りです。否定的側面を誇大に叫び続け、又それに呼応する発言をするのは、まるで子供の喧嘩とそれをはやし立てる如きで、非科学的であります。どんな民族や国も、総体としては自己の歴史に対して誇りを有しており、一方では、歴史は被害者と加害者が入れ替わることがあることも教えています。
2、 やはり歴史は科学的に是々非々で論証し、其処から教訓を得るべきです。日本の現状を世界的視野で観察すれば、あまりにも国防問題に無頓着な人々が多いと言えます。永世中立国であるスイスでは、国民皆兵となっている事等あまり注目されないようです。スイスの如き道を歩まないなら、平和維持のためには日米同盟のみならず、価値観を共有する国々と協力関係を深めるのは当然必要なことでしょう。
3、 戦後、日本さえ手出しをしなければ、平和は維持されるとして、安全保障強化の動きに反対した人々は60年安保闘争に大挙して参加しましたが、今なおそのような意識に自縄自縛となっている人々が、著名な文化人を含めてあまりにも多いように思われます。峻厳な国際的現実に目をつぶるか、或いは固定観念のトリコになっているとしか思えません。彼等こそ中国人や韓国人の安全保障、国防意識に学んでほしいものです。
4、 1970年代初め、日中国交正常化を望む流れが強くなりましたが、当時所謂左翼的な人々は、国交正常化運動で先導的に行動すると共に「非武装中立論」を唱えていました。中国はまだ文革体制である四人組時代でしたが、ある中国政府中堅幹部との懇談で、「日本で非武装中立を叫んでいる人達がいるが、我々は本当のところ彼等を信用していない。日米同盟により日本は何処の国からも侵攻されない態勢を作っておき、一方では安心して非武装中立を唱えるのは自己矛盾ではないか!只、日本との国交正常化を望む我が国の立場からは彼等の存在は都合が良いので、中国に来れば厚遇しているだけだ」と聞かされたことがある。実に的を得た観点だったなと、今なお時々思い出している次第です。
5、 五族協和を唱えていた戦前の日本は、同じく五族協和を唱えていた孫文や毛沢東と相通ずるところがあり、民族浄化策を推進したナチスドイツ等とは正反対であったが、支配地域を拡張しようとした点では、同じであった。海洋性国家である日本が同時に大陸性国家でもあろうとした点は明らかに誤りであった。これ等を日本は苦い教訓としているが、一方中国がこれ等を反面教師とされるなら、アジアの平和に貢献するのは間違いない。
以上


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