前回の投稿(86)は私のブログを継続してご覧になっておられる方々には、よくご理解頂けたかと思いますが、そうでない方々の為に今回と次回に分けて補足説明を致しましょう。
日本では中国の日本への思いや対応は、政権首脳部の考え方次第である様に論じられることが多いですが、それは一側面に過ぎません。幾多の抗争を経てきた中国人には、「天下は力次第」ということが、遺伝子になっているとも言えます。事大主義とも言えるでしょう。
日本がバブル景気の頃、中国は大変貧しく軍事力も弱く、日本への対抗心はなく、ひたすら「中日友好」を叫んでいました。中国の経済力や軍事力の強化に伴い、日本に対しては繰返し歴史問題を提起し、謝罪し続けるよう要求しております。これは心底戦前の如く日本が軍国主義に戻るのを恐れている訳ではなく、贖罪意識を喚起し、あたかも朝貢国でもあるかの如く、立居振舞うことを求めているものです。事実であるかどうかよりは、中国の意向に沿うことを求めているのです。若干実例を挙げると:
①  戦前満州国(中国では偽満と言う)は五族協和を基本政策として建国されたが、孫文や毛沢東も五族協和を唱えていた。ナチスドイツの民族浄化政策(ユダヤ人の大量虐殺になった)とは根本的に異なるが、同じと見做したいとの意向により、いろんな誇大情報が恰も事実であるかの如く、何度でも提起されている(南京大虐殺、三光作戦等)。
② チベットの対外貿易の北京駐在代表事務所と仕事で交流をしていた時代、「北京(漢民族による中央政府)は昔の、日本の関東軍と同じだ。チベットや東北地方に沢山投資し、学校教育等良いことも沢山したが、東北の中国人を支配しようとしたし、我々を支配している。どんな民族も支配されることには我慢がならない。師弟関係ではなく憲法が定める如く、平等な兄弟姉妹関係なら不満はないが」と聞かされたことがあるが、もっともと思われる。
③ ジンギスカンは中国各地を攻略、大々的な虐殺も行い西欧や東南アジアまで侵略し、孫のフビライの時代には中国全土を支配するまでになった(大元国を建国)。その末裔のモンゴル人がモンゴル国のみならず、現在中国内部に生活するモンゴル人まで、ジンギスカンを英雄として祀っているが、取り立てて非難されることはない。靖国神社に東条英機が祀られているとして、政府首脳が参拝することを再三非難することと整合性がないが、要は、日本は「敗戦国のくせに経済的に高いレベルに達しているのみならず、文化やモラル的にも高いレベルに達していることに我慢がならない」ということです。
④  1972年9月の国交正常化への合意した時から、一貫している中国の政策は、「賠償金を取らない代わりに半永久的に、日本に対して贖罪意識を持たせ続けること。信じられないなら今後の推移を見れば分かる。国だけでなく、会社、団体、個人まで中国に貢ぐことになろう」と当時、北京で中国政府の幹部から内々に聞かされたことがあるが、事実はこの通りになっている。友好姉妹関係の都府県や市、更に団体、会社等殆んど持ち出しで中国への援助、寄付行為を行い、交流している。。
⑤ 歴史を教訓とせよと言うなら、昔の日本が一時期軍事優先政策を実行して多大な損害を中国に与えたことは事実であるが、この70年間、歴史を教訓として何処の国とも戦火を交えたことはなく、専守防衛に徹してきたが、中国は如何であろうか?客観的に比較検討して見れば事実は明らかになろう。日本の一時期の富国強兵の情況を中国も反面教師として実際の政策に生かしていけば、アジアの情況はより平和的に、より友好的になるのではなかろうか。歴史に学ぶ実情は真逆のようである。
 以上

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