中国進出-中国を知るS.(68):各地の寺院等
中国への観光旅行のコースには日本同様、古い寺社の見物が含まれるのが通例ですが、長く現地で仕事をされている方々も時には参観されるのではないでしょうか。一方中国の一般大衆の風俗習慣や歴史を理解するのにも役立つので、私も随分参観したものです。ご参考までに若干紹介したいと思う。中国の参拝者の真剣な祈りの姿も沢山見られるはずです。より詳しく知りたい方はネットで検索して下さい。
北京雍和宮:チベット仏教(ラマ教)寺院。旧市街東北部にあり、北側は二環北路に接し、更に北方には地壇公園がある。南北400m、総面積6万㎡余と壮大な規模であるが、元々は17世紀末に雍正帝の東宮として建築されたが、即位後寺院として下賜された。建築様式は漢、チベット、満州、モンゴル風の混合。昔の同僚は歓喜菩薩も見たと言うが、私は何度も参観しながら首下が布で覆われた姿しか見ていない。チベット人の参拝者が、全て平穏な表情であることを祈りたい。
北京白雲観:復興門西南部、工会大楼の南方300m余に位置する。中国全体でも代表的な道教の寺院で、中国道教協会や道教学院が付設されている。当寺院は8世紀創建と言われる。道教は老子が教祖と言われるが、キリスト教や仏教の如くバイブルが
一冊に集約されて広く流布されてはいない。当然ながら仏像はなく伝説上の人物や
歴史上の著名人が祀られていることが多く、中国(漢民族)土着の宗教であると言える。私には日本の神道に類似した側面がある様に思える。
北京大観園:旧市内西南角の南菜園にあるが、日本の源氏物語に相当する紅楼夢の主要な舞台となった、寺院ではなく物語中の大観園を表現したものである。東西400m南北300m程度の規模だが、想定される実際の寸法より2-3割縮小されて(予算の関係か)建造された由。創建されたのは紅楼夢がCCTVで連続テレビドラマとして一年間放送された1990年であるが、1996年には文化財として指定された由。是非紅楼夢のDVDを購入、御覧になった上で尋ねてほしい。大観園は本来貴妃となった元春の里帰り用邸宅であるが、主人公の年若い賈宝玉(居館は怡紅院)及び取り巻く林黛玉(公主、日本語では林の姫様と言う、居館は竹林で囲まれた潚湘館、)等12人の美女達との悲喜こもごもの出来事が展開される。結末は儚いもの。南門から入るが北端にはドラマで使用された服装等が展示されている。各館には居住した人物も塑像で再現されており、タイムスリップすることが出来る。
私は10回以上参観した。西門傍にある大観園飯店では貴族たちの食した再現料理が提供される。私には北海公園にある仿膳の宮廷料理より高級、且淡白な味付けや盛付け等日本料理に類似しているとの印象を受けた。
杭州霊隠寺:西湖の3㎞西方の山地手前にある。4世紀に印度人僧侶による創建と言われ、古来名刹の誉れ高く遣唐使に随行した日本の修業僧も沢山訪れ、此処で修業
したとのこと。仕事で杭州出張も度々あり、当寺には何度も足を伸ばした。精進料理があるが、魚肉は確かに使われていないが、食用油を多用していて一般的日本人としてはあまり口に合わないと思われる。寺の直ぐ南側には細くて高い飛来峰と言う石柱の様な山があるが、その地上部分には何故か沢山の人工的な洞窟がある。
ある洞窟の入り口の3m程度上に日本人の落書きがあるよ、と言われて良く見ると
「来てみれば 故郷の秋や 飛来峰」と新聞を広げた程度の大きさに刻まれていた。落書きと言うが、江戸時代に当時の鎖国令を破って来訪した日本人が、周辺の風景があまりにも日本の故郷に似ていたので金を払って彫らせたものと思われる。
、、、、、次回に続く
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