中国進出-中国を知るS.(56):最近の日中関係を憂慮する(その二)
何故中国と韓国のみが、歴史認識問題で以て繰り返し日本を非難し、領土問題では近代以降の国際規範を無視した主張に固守するのでしょうか?その根源的理由はあまり語られないが、要約して言えば長い歴史的関係に原因を求めることが出来よう。韓国の方が中国以上に強い潜在意識を持っているので、その点を整理してみよう。以前も若干紹介したことがあるが、韓国の政治家や知識人の多くが心中抱いている対日意識を先ず紹介したい。
1、30数年も前のことであるが、仕事の関係で年配の韓国人と交流したことがある。彼は
表面的には親日家であった。日本語も日本人と全く変わらず、若い時には韓国にあった神社への参拝をよくしたとのことである。ある時北朝鮮との統一問題で、「北朝鮮と日本との間で軍事衝突があったら良い。韓国は政治体制の壁を越えて直ちに北朝鮮を支援する。北朝鮮の軍事力の脆弱さもあって、南北統一は速やかに実現しよう。韓日両国が自由圏に属し国交関係があるとは言え、血は水より濃いと言うことですよ!」と聞かされ、びっくりしたことがあるが、韓国の知識人や政治家の中には、類似の潜在意識を有している人達が少なからず居ると見て間違いなかろう。何故だろうか?
2、彼は更に言う:「有史以来多くの文物を日本に与え、日本の古代文化の基礎は我々の 祖先が与え伝授したものである、にも拘わらず日本は主なものだけでも4度に亘り、
朝鮮半島に侵攻し殺戮の限りを尽くした。最初は広開土王の碑文にも記録されている如くであり、2回目は百済を支援するとして大和政権が7世紀に数百の軍船を送り込んだが、新羅と唐の連合軍に大敗したことは、AD663年の白村江の戦いとしてご存知であろう。
3度目は16世紀末2回に亘り豊臣秀吉が大軍を送り込み侵略したことであり、4度目は
誰でもご承知の通り、近代に至り日本は富国強兵の道に邁進し我国を併合したことである」と。13世紀の末期にモンゴル軍と共に、高麗軍が日本に侵攻し蒙古襲来とか文永弘安の役として日本では知られており、どう思うかと問えば蒙古軍に支配されていた時の出来事であるとして、彼等には全く罪悪感はなさそうである。
3、朝鮮半島は有史以来分裂と統一を繰り返し、一方では北方異民族の侵攻を何度も受け
更には長期に亘り中国の属国となり支配を受けており(冊封体制下にあった)、「恨」の意識が強い民族と言われる所以でもある。特に儒教的思風俗習慣が色濃く残る韓国は、東洋文明の弟分であると思っている日本が戦後経済的、文化的いち早く先進国の仲間入りし、モラルレベルの高さと相俟って、世界的な一流国になったことに我慢がならないのであろう。
以上の如き状況は、今後の政治体制の変化に関わらず長期に亘り変化し得ないと見るべきであろう。従い韓国の弱点をあげつらい攻撃非難したり、逆に迎合したりするのは何れも正しい対応とは思えない。彼等の自尊心を尊重しつつ、その自尊心に見合う言動を求めるのが、国としての交流でも個人的付合いでも上策と信ずる所以です。中国に対応するのと同様、便宜上「褒め殺し」と私は命名している次第です。
1972年秋、商社の代表団の一員として、北朝鮮を訪問し一か月以上ピョンヤンに滞在したことがあるが、印象に残っているのは、ホテルの廊下で女性従業員とすれ違うと、彼女等は必ず廊下の隅に立止り会釈して、此方の通り過ぎるのを待つこと、彼の地では誰でも知っている「花売り娘」の歌の一節に「国奪われた」とあること、博物館での展示には朝鮮戦争は自力で戦い、中ソの援助はなかったことになっていること(聞くと中ソ要人の視察時には入れ替え、援助内容を展示する由)であった。― 続く―
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