中国進出-中国を知るS.(47):中国との付きあい方(其の二)
中国進出-中国を知るS.(47):中国との付きあい方(其の二)
中国だけでなく、異なる文化の中で育った人達と付き合うには、世界的に見れば特殊な部類に入る日本人的感覚や視点を変えてみることも必要です。例えば中国で長らく仕事をし、生活しているとイライラすることが多いと言う日本人は多いものです。私も昔はそういう一人でした。1995年に商社マンを卒業して、ODAの現地プロジェクトの管理や日系企業で働き始めると、より一層現地に溶け込んだものとなりました。肩肘張るのを止めて、ある程度「郷に入っては郷に従え」も必要だなと気付いてからは、逆の感覚になった様な気がします。むしろ日本での生活は緊張することが多く、疲れやすく(思春期の孫娘から「おじいさんはKY(空気を読む)が足りない」と言われることもあり)、中国に居た方がリラックスでき、心身ともに若返るような気がします。
☆ 一つ実例を上げましょう。一年余前中国で幼い子供が車にはねられたが、通りすがりの人々、18人も居たのに誰も助けようとしなかったと、日本で何度も報道されたことは皆さんご存知でしょう。このニュースは中国でも比較的重視されて報道された様です。国際交流基金は海外の日本語教師を日本に招聘し、教育法や日本文化を伝授しているが、私も市民ボランティアとして課外授業的な活動をしています。ある時インタービュー形式の私の相手は中国からの女性教師達でした。彼女等から上記ニュースを披露されると同時に、日本人も寛容な気持ちや思いやりが足りないと指摘されました。彼女等は土日の休日を利用して、宿舎のある北浦和から東京に出かけられることが時々ある様です。その指摘と言うのは、「日本で電車に乗ると、乗客は殆ど新聞雑誌を読んだり、携帯を操作していたり、又は眠っていて余りの静かさに気持ちが悪い。中国ならみんなワイワイがやがやと楽しくやっている。これは、日本人は他人が自由にはしゃぐのを受け入れるだけの寛容さがないのではないか!?更に若いお母さんが幼児を連れ、赤子を抱いていて面倒をみるのが大変なのに、モノを落としても拾ってあげず、赤子が泣いてもあやしてあげようとしない情景もあった。日本の人々はなんて冷たいのだろうかと感じた。どうしてですか?」と言うものです。私の方から日本では「他人に迷惑をかけないことを重視している。従い車内放送でも携帯は電源を切るかマナーモードにして下さいと注意している程である。更に、深刻な問題でもなければ、他人の私的な事柄には干渉しないというプライバシー尊重の考え方が浸透している」と説明したが、分かった様な、分からない様な表情をしたのが印象的だった。一見小さな問題とも思えるが、一種の異文化の衝突と言えるでしょう。
☆前にも紹介したことがあると思いますが、日本の幼児教育は「他人に迷惑をかけない、他人から後ろ指を指される様な言動はしない」を無意識の中にしているものです。
一方中国の幼児教育では、「思っていることははっきり言う事、相手が分からないなら何度でも言う事」を無意識の中にしているとのことです。
以上は一見下世話な小事の様ですが、私の見方では業務上の取引の世界、一般的社会活動、更には国の外交活動にまで類似現象があるのではないかと思います。
良し悪し言う前に、相違がある事実を先ず理解することは必要でしょう。
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柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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