奇妙なタイトルとお思いでしょうが、暫く読み進んで下さい。
日系工場に限らず中国の多くの工場では、原材料や部品類の入荷から製品出荷に至る各工程では無駄が多く、なかなか教育が徹底しないと悩んでいる工場経営者は多いものです。中国人は何事によらず大雑把で、何度言っても本気になってくれないとの悩みも多いようです。一方長年中国で仕事をしながら500以上の工場を見て回り、又中国の友人達の自宅訪問も多い(最近では友人宅への宿泊も多いが)私の経験では、家庭生活での勤倹節約、無駄の排除は日本より徹底していると感心することが多いのが実情です。私の交流相手は上流階級と中間層の中程に位置しますが、夜でも電灯は必要ない部屋では消灯し、水道の水やガスの使用も最小限にすることが習慣化しているのを随分目撃しました。又個人経営の商店やレストランでも類似状況です。
 問題の根底には、「節約や無駄の排除が即自分の利益に直結していると感じられるかどうか」と言う点と、「協業精神とか組織ワークへの協力性に問題あり(団結心が弱いとも言える)」があるでしょう。
1、 前者に対する対策としては、以前にも記しましたが業績と待遇(特にボーナス)を幹部社員はじめ、従業員にも分かる様に制度化し、適時に開示することです。
2、 後者に対する対策は容易ではありません。問題が判明してもほとんどの中国人は「自分は十分協力的であったし、自分の責任は果たしている」と認識するからです。
そこで、一つの対策として“掛算”を現場に即して教育し、徹底するまで継続することです。私自身一定期間強調したが、やや尻切れトンボになってしまったとの苦い経験もあります。「継続は力なり」です。若干例示しますと:
① 入荷受け入れ検査から、製品出荷まで仮に10工程ある場合、各工程で平均5%ロスや無駄を排除すれば40%と言う膨大なコストダウンになります。5%は大き過ぎるなら平均3%で計算すれば26%のコストダウンにつながります。
② 工程数はあまりないないと言うなら、5工程で計算してみましょう。平均5%なら23%のコストダウンとなり、3%なら14%のコストダウンになります。
(注:厳しい日本人の目で、現場検査によりロスや無駄の平均係数を割出しましょう。
工数は自社工場の実態に基づいて計算しましょう。極力幹部社員を動員しよう)
3、 財務内容全てを開示する必要はありませんが、人件費の総原価に占める割合は幹部社員には認識させる必要があります。全社累積計算で歩留り(成品率、合格率と言っても良いが)向上が10%もあれば、年一か月のボーナスが2倍にも、3倍にも増やせることは、幹部社員なら容易に理解できるはずです。

    幹部社員の家庭では、夫々の事情次第ではあるが、エアコンを買いたい、車を買いたい、マンションを買う計画だとか、子供の教育費用を捻出したいとか種々の理由により相当節約をしているはずです。彼らの同意の下に、一度どんな節約をしているかアンケート調査をしてみるのも良いでしょう。個人生活での節約精神を是非共会社の中でも活用したいものです。入荷から出荷まで工程があり、組織ワークになる点が家庭生活とは異なるので、“掛算”教育が必要になります。
幹部社員の理解と積極的な協力が得られるようお祈りします。

お願い:私のブログに対しご遠慮のない、ご意見や異論をお寄せください。
「参考になり役に立つ」とのことでしたら、知人達にもご一覧願えるようお奨め下さい。

   柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
             Mail add: Knhr-yana-@jcom.home.ne.jp