中国人幹部(一般社員も)に対し指示した仕事が終了したか、又は計画目標が達成されたか問うと、「基本上達成了」とか「基本上結束了」との回答が返ってくることが時々ある。後で未完了と知って激怒しても始まらない。関連事項含め若干経験より紹介しよう。
1.「基本上」の言葉使いが日本と同じ場合もあるが、「おおむね」、「大体」、「ほぼ」とか更には「大半は」程度の意味の場合が多いので、よく確認する必要である。問い詰める形式でなく、「分かった。それでは未完部分は何か?」と、問い返すのが良い。
2.きちんと確認しようとすると、日本人は「神経質だ」とか、「細事にこだわる」として、ブツブツ言ったり、表面的に受け入れながら、影では中国人幹部同士で愚痴をこぼし合ったりしながら、指導教育を否定してしまう場合もある。
3.作業指標も、一つの数字のみで示すと近似値に達すると「基本上達成了」として満足してしまう場合があるので「xxx以上」、「○○○以下」という様に達成すべき範囲を明確に示す必要がある。精密機器の設置環境で考慮すべき温湿度の分布や振動情況の管理面では三次元(空間)的な範囲での徹底が不可欠である。
(30余年も前だが、電子顕微鏡の設置室に150mも離れていた道路を走行する路面電車の振動が伝わり、精度発揮の妨げになっていたこともある)
4.前にも記したが、「作り込む思想」とその実行は日本が発祥地であるかの如く理解されているが、実際は中国であり「子猫の両面刺繍」の工場の女工さんや玉器工場の作業者は、昔から実行していた事を折に触れ強調すべきである。
5.どうしても徹底しないなら、次の2点も活用して下さい。
5-1.「中国ではパクリが横行している」との批判に、良く「日本だって以前はアメリカのモノマネをしていたそうではないか?!古くは中国のモノマネをしていたでしょう」との話があるのを紹介した上で、「日本人は単なるモノマネではなく、改良改善を重ねより良いものにしてきた。欧米や中国が中間工程なら日本は仕上げ工程である。従ってより緻密であり、単に神経質というのではない。
中国人なら、日本人ができることは何でもできるはず」と言うべし。
5-2.更に日本では外国のモノマネも、その時代の要請に合せ、即ち国際的なルールがあればそれを順守してきたことを例示し、何時でも何処でもルールは守るべしと強調しよう。モラルの向上がなければ、どんなに物質的に豊かになっても他人から尊敬されることはないことも強調しましょう。
    柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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