中国進出―中国を知るシリーズ:(3)
改革開放で中国人のモラルは変わった。
1976年10月「四人組」逮捕で文革が終了すると、多くの人々は喜びに溢れると共に、一種の虚脱感に襲われた。それまで仕事や社会生活等全てに優先して、学習と「継続 革命」運動に従事させられて来たからです。78年末に改革開放の大号令が下ると、経済 活動の自由化と理解されお役人も企業家も、起業し金儲けしようと動き始めました。法令やインフラ整備が伴わず、いきなり外資導入とはならず、盛んに推奨されたのが「三来 一補」でした。即ち見本、図面、材料を持ち込んでくれれば、お望みのものを生産し提供しようと言うのが「三来」で、輸入決済の一部に物品の提供で補いましょうが「一補」と言う 訳です。特に提供された材料を加工して輸出し、加工賃を稼ぐ「来料加工」が活発になりました。商社の駐在事務所には連日来客が押しかけた程でした。徐々に金銭万能 主義的傾向が帯びてきて、社会生活の基礎である、モラル低下の傾向がひどくなって来ました。
この様な傾向に危機感を感じた総工会や婦連等全国的な9団体が提唱し、政府がバックアップし、1981年より「五講四美」運動が全国的に展開されました。
数年間は運動も活発でしたが、「金銭至上主義」の大潮流には抗し切れていない様です。ところで、「五講四美」ですが、「講」は「重んずる」とか「大切にする」意味で、 「五つの気配りと四つを美しく!」程度の意味。五講とは文明(文化的、知的)、礼貌(礼儀作法)、衛生、秩序、道徳(モラル)で、四美とは心霊(心持ち)、語言 (言葉)、行為(立居振る舞い)、環境の四つです。日本ではほとんど当り前の事項ですが、これ等のひどさは中国で生活しておられる皆さんは、日頃感じて居られるでしょう。尚、今でも毎年3月は「全民文明礼貌月」とのことですが、その取組み状況は如何でしょうか?最近は孔子学院を海外にまで設立する等、道徳心の向上に取り組んでいる中国ですが、「衣食足りて礼節を知る」に至るには、長い道のりが必要でしょう。そこで、皆さんに提案があります。中国の企業は標榜する社是を入口や門塀等目立つところに掲示する習慣があるので、工場や事務所等営業拠点の入口の上に、「五講四美」推進会社(中国語では推廣単位)とのステッカーを貼り出し、一方朝礼や職場会議の初めに、全員に復唱させ遵守すると言わせては如何でしょうか(1-2分で完了する)。
モラル問題に重点を置いて始まったこのブログですが、モラル問題は愛(思いやり)と共に、全ての社会生活のスタートであり、且終結点と信ずるからです。
虚偽混じりの報告をする、会議では立派なことを言いながら陰では違反する、部下や地方出身の若い女子社員の人格を尊重しない等、全て「五講四美」に反する行為となります。
次回より「幹部養成の要諦」の各論に入ります。
柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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