2021-10-28中国進出-中国を知る(212)中国との付き合い方(2)
中国に対しては厳しい国際世論が湧き続けておりますが、相変わらずすれ違いに終始しているとしか言いようがありません。理由は簡単です。西側諸国の価値基準での主張に終始しているからです。残念ながら日本政府のみならず、日本のマスコミの中で保守的と言われ、辛口の主張をしているとみられる産経新聞なども同様です。例えば人権問題を取り上げる際、同じ言葉を使用しても真逆の理解になることも多いからです。従って中国に対しても説得力のある主張をしたいなら、中国の価値観に照らしても(中国のこれまでの主張も含め)誤りだと分かるように主張する必要があります。例えば:
1. 少数民族問題でも突き詰めて行くと、中国は欧米諸国はかって散々北米、中南米、大洋州、アジア諸国で侵略行為を働き、現地人を虐殺し、或いは軍事的に支配しようとしたではないかと主張し、中国の少数民族問題への対応に対して文句を言うなと主張します。
2. これに対しては「中国の主張は一見まともにも見えるが、人類の歴史の発展に逆行する主張である」と断ずることが出来ます。確かに過去の欧米諸国の行為は中国の主張通りの面があるが、歴史的発展により多くの民族の自主権が尊重され、独立国家となり、今では国連に参加している国々は200を超えるまでになったではないか、中国の主張は時代遅れであると断ずることが出来ます。
3. 現在武器による軍事的な戦争ではなく、情報戦争が激化しつつあるとも見られます。特に中国はあらゆる組織や個人も情報収集が奨励され、同時に中国の情報はたいして重要でないものも取得され流出されることを極度に警戒しています。以前は空港、大きな橋梁、軍人等だけでなく、外国人があまり行かない場所での写真撮影は禁止と言われたほどです。心理戦も重視され、あらゆるチャンスをとらえて、中国の主張にも一理があるなと思わせる情報操作や、同じことを繰り返し主張する方法も日常的に実施されています。中国在住の方ならテレビや新聞、雑誌などで以上の如き状況にあることを肌で感じておられるのではないでしょうか?日本も斯様なやり方を多少は学ぶべきではないでしょうか?
4. 例えば、ウイグル族やチベット問題などに対して、中国は南アフリカの黒人差別であるアパルトヘイトに対して、人類共通問題だとして反対していたではないかと言えます。又日本などでの労働争議に対しても以前は、労働者階級の国際的連帯と称して支持していたほどです。アメリカの国際的な行動に対しても、帝国主義とか覇権主義としてしばしば非難攻撃しており、1972年9月の日中国交正常化交渉では互い確認しあった「覇権主義反対」に対しても、今ではほとんど叫ばれなくなったことには、何度でも批判すべきでしょう。
5. 私は国交のない時代から何度も中国に出張したり、駐在したりしましたが、何処に行っても「中日友好!中日友好!」と大歓迎され、「皆さんは中日間の橋梁工作に従事されており尊敬しています」との言葉も、何回となく聞かされたものです。これも今にして思えば一種の心理戦、宣伝戦だったなと思わされています。
香港の民主主義への抑圧、台湾政治への過度な攻撃が繰り返されているが、中国も胡錦涛、趙紫陽両氏は政治改革を模索し、鄧小平は黒猫白猫論を展開、ソ連東欧諸国の政治体制の崩壊と民主化への転換、いずれも一進一退をしているが、民主化の流れは大勢となるであろう。
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