2020-5-27中国進出―中国を知る(196)中国との関係はどうなるか(9)?
新型コロナウイルスの感染状況もやっと危険レベルを脱したとして、政府は5月25日に緊急事態宣言を全面解除したが、今後第二波となって感染が広がる恐れがあるので、気を緩めてはならないとしている。欧米諸国からは日本政府は感染状況を極めて低いレベルで終息させようとしているとして高く評価されているが、国内ではあまり評価されず、むしろ安倍政権への支持率は検察庁の人事問題等で低下している始末である。
-
隣国の韓国では政府の対応が良かったとして、政権支持率は向上しているが、公平に日韓両国政府のコロナウイルスの感染問題への対処方法を見た場合、法律上の制限もあったが日本の場合は命令ではなく民間や地方自治体への要望レベルであったにも関わらず大きな成果をあげたもので、むしろ日本の方が高く評価されても良いはずだが、何故評価がこの様になるのであろうか?
-
韓国の政情は国民大衆の感情的な評価に依拠される傾向にあることと、法令的に指示命令が可能である点、日本とは大きく異なる。更にその国の政権を評価する時の要素であるが、ほとんど政治学者もマスコミも見落としている大きな要素がある。それはどんな国でも権力の有無に関係なく、国民は自分達の象徴的代表の存在を求めるものである、と云う点である。日本やイギリスの如く立憲君主国では、それは天皇や女王が担っているが、韓国やアメリカ等共和性の国々では大統領が兼務しているので、政権への評価が過大になる傾向にあることを認識すべきであろう。
-
中国の如く、憲法で共産党が政権を担うと決められており、実態としては一党独裁である国では政権への国民の評価はより一層高くなる傾向にある。法律上は全国人民代表大会の議長が国家元首であるが、これは形式的とみなされている。又現在開幕中の全人代(全国人民代表大会)には全国から代表達、3000余人が北京に集まっているが、少数民族や職場代表等沢山含まれており、全人代への参加は大変名誉なこととされ、むしろ学習会となっている。終了後任地に帰った後は、繰り返し報告会が開催される。新たな政策や方針は毎年夏避暑地である北戴河で開かれる党の首脳陣の会合(引退された長老なども参加)や11月初旬開催の全人代常務委員会(300余人で構成され、実質的な国会)で決められるが、会議の中で賛成反対等どんな風に討議され、どう決まったかは公表されない。
-
言論統制がきびしく、情報伝達も自由でない中国であるが、中国のマスコミ(新聞テレビ全て党の宣伝機関と位置づけされている)で過度に宣伝臭いニュースが繰り返し報道される場合や海外の中国大使館等公的機関が何度も同じことをニュースであるが如く発表される場合は、その内容の逆の事柄が発生していると見て間違いない。コロナウイルス感染状況や活動自粛を命ぜられた人々への補償問題等、留意すべきであろう。
-
更に中国国内で党・政府首脳にとって困った状況が発生すると、対外的な摩擦を引き起こす風潮があるのも、中国の特徴である。尖閣諸島の領海内で操業中の日本漁船に対し、反対に「中国領海内から出て行け」とばかりに、中国の艦船が追いかけて来たのも、その表れと見るべきで、現在中国国内で解決困難な、反党反政府活動が各地で頻発している恐れがある。
中国の不変的な対外政策や習近平氏の鄧小平等の路線からの乖離等、日本との関係にも大きく影響しそうである。又中国は今にも崩壊しそうだとの極端な論調もある昨今であるが、次回取り上げてみましょう。