日産自動車、カルロス・ゴーン会長の巨額な給与の虚偽報告や脱税による逮捕が大きなニュースとなっている。有価証券報告書への虚偽記載、私的な支出を会社に負担させる業務上横領なども含むもので、日本人の感覚では考えられない程巨額であった。更に居住する超高級マンションや海外の幾つもの別荘家賃を会社に負担させるなど常軌を逸する事態もあったとのことである。
以上の如き状況は日本での常識では驚くような出来事であるが、もし類似状況が中国で発生したとすれば、「嗚呼又か!」と言った程度である。前にも紹介したが、中国で摘発される虚偽の申告、業務上横領、脱税などは贈収賄と並んで、巨額である、関係者に“公平”に分配しない、政治的に反主流派である、の三条件に該当しなければ逮捕されるなどの事態には至らないとのことである。日本人は斯様なことも肝に銘じて管理運営に当たるべきであろう。
 私自身の経験事項の中にも、幾つか思い出される事例がある。十余年前寧夏回族自治区の日系企業に赴任した際、個人所得税を申告したが、外国企業受け入れ機関の責任者より、「貴方の行動は模範的であるので、地元のテレビ局に取材させ放送したい」との話があったが、これは当たり前の事柄として断ったことがある。又ODA技術協力の現地管理事務所で仕事をしていた際機材の現地調達は、三社以上の製造業者から見積もりを取りオープンに比較して購入したが、後日全ての業者に一定比率のリベート上乗せするよう、中国側で密かに手が回されていたことが判明したが、対処しようがなかった。商社の現地事務所の所長をしていた時には、営業税の申告を税務署の担当者が代わるたびに接待させられ、お歳暮やお中元として、希望品を提供させられた(但し、彼等の月給額以下の水準であったが)。
国情の違いが大きいが、今回のカルロス・ローン事件には、どうやらフランス政府の“陰謀”の匂いもするが、彼への権力の集中というこの一件は、「権力は腐敗し易く、絶対的権力は絶対に腐敗する」との歴史的に証明された格言が実証されたとも言えよう。

 話は変わるが、現在外国人受け入れ問題が国会で論議されており、遠からず受け入れ拡大の法令が決まりそうである。日本社会に混乱を招くとか、犯罪が増えるのではとの心配する向きもある。
 私は日本の長い歴史を振り返れば心配無用と言いたい。多くの日本人は、我々日本人の殆どは元々渡来人であることに留意していない。長く続いた縄文時代の人口は15万から30万だったが、紀元前5-6世紀から飛鳥時代(7世紀)にかけて、中国大陸や朝鮮半島からの渡来人が断続的にやって来て、人口は急速に増加して4-500万人になった。文化的にも弥生時代、古墳時代から国家体制の確立する律令時代に移行した。原日本人であった縄文人と渡来人の比率は日本各地で発掘された人骨のDNA鑑定で80%以上は渡来人か渡来人系であることが判明している。大部分の文明的なものは渡来したが、精神的なものは縄文時代から現代にまで続いている。それは島国であり、冬でも緑豊かな温暖な気候、毎年の様に台風がやって来て、地震や火山の噴火も多く周囲は海で囲まれている。全ての動植物は環境の影響を受けると言われるように、この様な地政学的環境の中で数万年暮らして来た縄文人は、自然の恵みに感謝し一方では自然の凶暴さや疫病をを恐れ、互いに困難な事態に遭遇した時は助け合い、平常時でも互いに思いやりを以て接する民族となった。自然崇拝や祖先崇拝が神々への崇拝、信仰となりお参り前には身を清める習慣にもなった。渡来人も2代目、3代目以降は、自然に大和心を持つようになり現代に至っていると言えよう。

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