2016-3-5 中国進出-中国を知るS.(104)日中関係は何故異常なのか
中国と良好な付き合いをするには、中国を良く知らなければならない。残念ながら多くの日本人は情報が溢れている現代でもあまり中国事情に通じていない。反対に中国側も同様で現在の日本の状況をまともに理解している人達は一割もいないでしょう。情報が意図的、針小棒大であることが主な原因であろう。
1. 日本人の中国理解の主な来源は古代史に就いては、学校教育で漢字を含む文化の多くが直接または朝鮮半島経由でもたらされたと理解、近代史ではアヘン戦争以来の没落、列強諸国による半植民地化、日中戦争により人的、物的に多大な災害を与えた。現代の状況に就いては主としてテレビや新聞、書籍による情報で、直接交流したり訪中して得た情報に基づく人達はやはり少ないでしょう。
2. 伝統的な日本人の中国理解は主として、唐詩に代表される中国の古代文化へのあこがれであり、明治維新以前は幕府の公文書等多くは漢文で書かれ、私の高校時代は毎週漢文の授業があり、「鼓腹撃壌」等上古の古詩から勉強させられるほどであり大陸の古代文化への畏敬の念があった。然し一方では明治維新以降近代化を成し遂げた日本は、欧米列強諸国に対抗するかの如く、軍事力にものを言わせて中国進出を図ったが、対米戦で敗戦し中国を含む海外から撤退したが、中国に負けたとの認識は生まれなかった。
3. 日本が戦前多くの東南アジア諸国の欧米列強からの独立を助けた側面があるものの、代わって日本が支配しようとした側面もあり、何よりも現地の人々に多大な戦禍を与えたのも事実である。然し戦後は賠償のみならず、これら諸国の発展に寄与してきた点では中国や韓国に対するものと同様である。然るに東南アジア諸国が日本に対して親日的、友好的であるのに対して中国、韓国のみが今なお日本に対して恨みを持っているのは何故であろうか?
この点に対する解明なしには、末永い良好な関係は築けないでしょう。
4.19世紀以降ロシアを含む欧米列強も中国に租界を作るなど、沢山の支配地を作ったが、中国は日本に対する程恨みつらみを声高には叫ばない。戦前日本の一部として併合されていた台湾の多くの人々は大変親日的であるが、類似状況だった韓国では「反日無罪」と言われる程で、真逆であるのは何故か?
5. やはり長い歴史的な関係とその認識に由来すると言えるでしょう。中国は東洋文明の父母であり、日本を含む周辺諸国に対しては師(先生)でもあり、大先輩でもあると深層心理として埋め込まれている。本来野蛮であった日本が一足先に近代化し、富国強兵の道を歩み欧米からの解放を口実に支配しようとしたと認識している。韓国の場合はより強烈であり感情的でもあり、有史以来日本のみならず大陸の幾多の民族の侵攻を受け、ハルピンの西方まであった国土が半減したり、統一と分裂を繰り返し特異な民族感情を生じせしめた。
6. 歴史認識の問題は度々中国側より強調されるが、現状を客観的に見れば日本は世界でも稀な平和主義の国に変わっており「羹に懲りてなますを吹く」状態が三世代も続いており、中国が軍国主義、覇権主義だったとして非難している戦前の日本の状況により類似しているのは、はたしていずれなのかは明白であろう。
7. にも拘らず再三再四歴史認識問題を提起し、200以上あると言われる抗日記念館を今なお拡充したり、抗日戦争を題材とした映画やドラマを作り続ける意図はどこにあるのか、更に考察して参りましょう。
(2016-3-5記)
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