2020年 1月の記事一覧

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20年01月28日 13時09分18秒
Posted by: yanagizawa

香港での民主化闘争が長期戦になってきているが、基礎的事項があまり伝えられていないのは残念である。留意すべき事項に就いて若干提起したい。
1、 一国二制度が形骸化しつつあることに、多くの香港の人々は危機感を持ち反対闘争が継続しているが、元々この制度は定着し難い欠陥があった。香港が中国の支配下に入ってもこのイギリスとの国際的協定により、民主主義体制が保持され、少なくとも50年間は保障されると思い込んだのが誤りである。香港情勢に対する批判に対して中国政府は、内政干渉であるとして反論するが、これには一面の道理がある。中国の憲法では、中国共産党が政府を構成するだけでなく、あらゆる政党の指導機関と規定し、その根本思想はマルクスレーニン主義、毛沢東思想に依拠すると規定している。共産党員は全人口の7%未満の9,000万人程度であるが、この人達が実質的に中国全土の政治を支配している。市町村レベルの選挙では多党化が認められていると云うが、立候補するまでは自由であるが、選挙前に思想調査がされて、憲法規定に合致しているかどうか、即ち党員ではなくても共産党の指導を受けることを容認するかどうか審査されているのである。よく日本の報道では、中国では法令が無視されていると批判されることがあるが誤りである。7%の“党員の思想”そのものが、憲法規定そのものである。更に言えば心中では自由民主主義の方が良いと信じている党員が多いのも事実である。
2、 香港問題を考察する時、中国政府の主張にも弱点がある。以前南アフリカ共和国は、厳しい国際的批判にも拘わらず、ひどい人種差別(アパルトヘイトと云う人種隔離政策を採用)をし、黒人のみならず黄色人種もカラード(有色人種)として差別されていた。尚、日本人は名誉白人と言われ、白人同様の待遇を受けたことがある。反対闘争を指導し、長期間拘留された黒人のマンデラ氏が最後には解放され、自由を獲得したばかりでなく、自由選挙を実現し大統領に就任し人種差別政策はなくなった(1994年)。彼の偉大なところは従来支配階級を構成していた十数パーセントの欧州系白人に対する報復政策を採用しなかったことである。南アの事例を引用したのは、実は中国政府もアパルトヘイトは国境を越えた人類共通の悪しき障壁であるとして、反対し続けたものである。この論法を採用すれば、党員が10%にも満たない政党が政府を構成し、反対政党の結党や反政府活動を禁止する様な憲法を保持すること自体が、国境を越えた、21世紀の人類共通の悪しき障壁であると言えよう。
3、 実は斯様なことは、既に鄧小平氏は百も承知だったと思われる。彼が1978年末に「改革開放」の大号令を発した時に、社会主義政策に反する市場経済政策や外資受け入れ政策を採用することに関して、「白猫でも黒猫でもどちらでも構わない。ネズミを捕る猫は良い猫だ」と、主義主張などイデオロギーは何でも構わない、国を豊かにし、民を豊かにする政策なら何でも良いと言ったに等しい。更に「四つの小龍に学べ」として、香港、シンガポール、台湾、韓国等かなりの長期間政治的自由は制限されたが、経済活動には自由を認めて資源もないのに、当時中国より遥かに豊かな彼らに学べと主張したものである。更に言えば、香港やマカオ返還に関しては「一国二制度」の期限を50年としたのも、50年もすれば、政治体制上の相違等なくなっているだろう、即ち自由民主主義社会になっているだろうと予言したようなものです。
4、 且って毛沢東は人民大衆の闘争は「闘争、失敗、闘争、失敗、、、最後には勝利」と論断したものである。これも毛沢東思想の一部でもあるので、現在の中国政府の政策はやや近視眼的であり、毛沢東思想に反しているとも言えよう。
  尚、新聞報道やテレビニュースでは人種問題と民族問題が必ずしも識別されておらず、更に人種も単純に白、黒、黄の三つには分けられないことを次回提起しましょう。

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20年01月17日 14時58分09秒
Posted by: yanagizawa

前回「中国を知り過ぎた外国人も困りもの」との、ある中国人の独り言類似の意見を紹介したが、
現在中国在住の方々は自己の行動や発言にはくれぐれもご注意頂きたい。私の様に日本人商社仲間より“右翼的人物”と見られていた日本人よりも、“左翼的人物”と見られ、本人自身も親中国的だと自認していた日本人がよりスパイ容疑者に仕立て上げられるという特殊な事情にあることを、よく認識すべきであろう。私自身、親しい中国人とは率直な意見交換や情報交換をしたが、深入りはしないように留意し、商業情報取得もなるべく商談時かホテルのロビー等公開的な場所を選んでいたことは前にも紹介した通りです。
現在、日米など西側諸国では香港や台湾での民主主義体制が、中国大陸側より干渉を受けている問題や、チベットや新疆ウイグル問題が度々報じられているが、現象のみならず長い歴史的尺度で以て観察する必要があろう。ほとんど報道されないが、戦前の日本は東アジアでは五族協和であるべきとして、ヒットラー等民族浄化主義とは真逆であった。五族とは日本、朝鮮、満州、モンゴル、漢民族の五つであり、孫文や毛沢東も五族協和を唱えていたが、日本民族と朝鮮族は含まず、その代わりチベット族とウイグル族を含めていた。大きな相違点はどの民族が中心的役割を果たすべきかと云う点である。更に言えば現代中国にとっての五族協和とは漢民族により、他の少数民族を同化吸収することを意味している。勿論建前は各民族夫々の特徴や歴史的特殊性は尊重されるべきとしている。実態は如何だろうか?
 内モンゴル自治区では、あたかもモンゴル人の自治区の如き印象を与えるが、人口2500万人の中2000万人が既に漢民族、モンゴル族は400万人、満州族その他が100万人であり、実態としては既に漢民族の地方自治体となっている。これが昔はチンギスカーンやフビライハーンが活躍し、全中国のみならず東欧諸国や東南アジア迄勢力を伸ばした元王朝の末裔の実態である。尚外モンゴルは、モンゴル国として独立国となっているが人口は300万人足らずであり、気にするほどの存在ではないとの中国知識人の意見だった。従い、チンギスカーンを民族の英雄として祭っても文句など言わない訳である。満州族に就いては公称1000万人以上となっているが、彼等独自の文字を読める人は学者などごく少数となっている。北京の故宮を見学したことのある人はお気づきのことと思うが、漢字の脇に日本人には読めない文字が併記されている。これが満州文字である。吉林省には七つの満州族自治県があるが最早民族紛争を起こす程の情況ではなくなった。
 統計的には最大のチワン族(壮族)は1600万人も居るが、民族紛争はないと見られる。回族は
統計上1000万人居ることになっているが、全国に散在しており、私が仕事の関係上2年間生活した寧夏回族自治区では漢民族が多数派になっていた。中国の少数民族政策の実態は、漢民族を移住させ多数派に仕立て上げ、少数民族はなるべく全国に散在させ、文字通り少数になれば保護すると云うものである。
 チベットとウイグル族は歴史上も漢民族の支配下に入っていた期間と独立していた期間が時々入れ替わるとの特殊な事情もある。又チベットの平均高度は富士山よりも高く、漢民族の移住も思うようにならず、今尚人口の90%以上がチベット人である。新疆ウイグル自治区ではウイグル族と漢民族は共に45%前後である上、国境の西側には中央アジア諸国があり、ウイグル族と同族或いは兄弟族と見做される民族が住んでいる為、民族紛争が頻発している。中国の民族政策の実態に対しては国際的批判があり中国政府は内政干渉として反撃するが、以前南アフリカのアパルトヘイト(民族差別・隔離)に対しては、中国政府も国境を越えた人類共通の問題として、反対してきた。
 一方中国の憲法では、中国共産党が政府を超えた指導機関と規定している。


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