2015年 12月の記事一覧

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15年12月30日 20時39分07秒
Posted by: yanagizawa

 中国や韓国からは、日本政府首脳は過去の侵略や植民地支配に対して反省も足りず、謝罪も不十分だと繰り返し非難されている。今般韓国との間では慰安婦問題で決着され、今後この問題は蒸し返さない旨、即ち不可逆的な解決に合意したと報じられた。然し、慰安婦を象徴する少女像の撤去等は、民間人が設置したものである為、努力するとの意思表明のみであった。これは公道への設置である為、許可なく設置されたものなら当然、政府の意向次第で撤去可能なはずであろう。戦前の日本の所業に関連する問題では、中韓両国は何かと恣意的な解釈と行動をする一例である。慰安婦問題で表面的には解決したかに見えても、韓国政権が替われば又別な問題を日本非難の口実にしないとも限らない。

 中国ではもっと組織的、計画的に対日外交のみならず、対米関係を含む世界戦略を練って進めていると見るべきでしょう。伝統的にはアジア・アフリカ等発展途上国の利益代表であるかの如く振舞い、遠交近攻の故事に倣い西欧諸国には秋波を送り、アメリカに対しては太平洋を二分してお互いに管理していこうと呼びかけている。中国が北朝鮮に100万の大軍を送った朝鮮戦争終結(正しくは停戦)後は、60年以上東アジアでは平和が続いているが、日本は戦後体制をくずそうとしていると非難される。その中国は最近大陸国家であると同時に海洋国家たらんとしているのは明白でしょう。本来海洋国家である日本が軍事力を以て大陸に進出するという失敗に学んでいないでしょう。太平洋やインド洋には沢山の海洋国家が存在しており、これらの地域に軍事力を背景に中国が影響力を広げようとすれば、必ず失敗することは歴史を正しく学んでいれば分かるはずだが!
 一方平和を叫び、米軍基地には反感を持ちながら、有事の際には米軍が守ってくれると思い込み、ほとんど自助努力の意識のない大多数の日本人は、厳しい国際社会の現実から眼をそらしているとしか言えない。斯様な実態を知っているアメリカは、日本の離島の一つや二つに外国の偽装漁民達が大挙して押しかけても、口先で非難するだけで、実際には動かないでしょう。助けて貰いたいなら、相手が困っている時にはこちらからも助けるという、ごく当然な相互主義の気持ちが日本人にはないと見られているのが原因。日本はむしろ戦前の状況に学ぶことが、「過ぎたるは及ばざるが如し」となっており、平和を守る自助努力が不足していたが、国際的常識に照らしてやっと修正過程に入ったと言えるでしょう。中国や韓国は戦前の日本により近く、あまり歴史に学んでいるとは言えないことは、実態を見れば一目瞭然でしょう。両国の本音は、自分達は軍事力にどんなに注力しても良く、日本は限りなく非武装に近い状態であってほしいということかも知れません。類似現象として、中国は海洋国家同士として東南アジア諸国と日本が安全保障面で協力関係を構築することに、強く反対している。それは海洋支配地域を広げていく上で障害になると認識しているからでしょう。周辺国とは一対一で交渉していけば、軍事力や経済力で、中国が圧倒的に強力であるから、交渉が有利に進められると考えているからでしょう。戦後最近まで中国周辺の海域は平和の海だったので、その基礎条件を変えないよう、粘り強く求めていくべきでしょう。
 戦前日本の軍事的行動により、人的物的に多くの災難を与えた東南アジア諸国とは、現在平和的な交流がされているのに、中韓両国とは、国交正常化直後から暫くは友好的な交流が続いたにも拘わらず、ギクシャクしてしまったのは何故か、次回更に説明しましょう。
 どうぞ 良い新年を!
 (2015-12-30記)


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15年12月14日 11時48分44秒
Posted by: yanagizawa

 現在日本では、「もうすぐ中国は崩壊する」と言うような書籍が次々と出版されている。反対に朝日新聞に代表される“中国の顔色をうかがう”論調も多い。前者は中国の問題点を針小棒大に多々報道し論ずる点に特徴があり、後者は遠慮がちに少な目に報道し論ずる点に特徴があるが、いずれも間違っています。
 一方中国では、自国では軍事力に莫大な資源を投じながら、日本に対しては政治が右傾化している(戦前の状況類似の軍事優先主義を言う)とか、靖国神社は軍国主義の象徴だと見做し、正しい歴史認識がないと断じているが、真実ではないでしょう。以上に就いて数回に分けて説明してみましょう。

 先ず、“中国崩壊論”であるが、何故中国の問題点への指摘が針小棒大になるのか、その理由は簡単である。即ち日本や欧米等先進国の価値観や常識で判断しているからである。中国の歴史に対し初歩的な知識があり、近現代の諸々の事象を少しでも観察すれば、日本等の常識や価値観が通用しないのは即座に理解できるはずである。例えば1958年に、毛沢東が推進した「人民公社創設」や「大躍進政策」は大失敗で、数千万の人々が餓死したが、中国は崩壊しなかった。翌年には劉少奇が国家主席に就任し、農家に自留地(自由な耕作が認められた農地)を認める等調整政策を推進し、私が初訪中、北京駐在した1965年頃は中国社会は大変安定し、「中国には蝿と泥棒はいない」と日本でも報道されたほど、治安状況も良かった。然し、1966年には毛沢東により、社会主義の道から外れているとして、劉少奇や鄧小平等調整派追い落としの「文化大革命」が開始、数百万の人々が殺害され、若者達全てが紅衛兵と呼ばれて、推進力となったものの、農民に学べとの名目で辺境地に追いやられた。それでも中国は崩壊しなかった。中国全体の経済も停滞し、1976年9月には毛沢東死去、権力を握っていた側用人的な毛沢東夫人の江青等「四人組」は翌10月には逮捕され、1978年末には復権した鄧小平により、改革開放政策が公布され、大々的な外資導入を含む市場経済政策が開始された。ざっとこの5-60年を概観したが、日本や欧米の常識を超えるような激動の変化を中国は経験したが、中国は崩壊しなかった。

人的交流、経済交流等世界に深く広く組み込まれている現在の中国で「文化大革命」の如き大動乱が起きるとはとても考えられない。日本でも1990年代初期にバブル経済が崩壊し、失われた20年と言われるが、日本は崩壊しなかった。今後中国で発生するとすれば、既に実質経済は低成長時代に突入しているが、その様相はどの様になるか、又遅れている政治的改革(少数民族政策や民主化)が何時頃からどの程度進展するかが注目点でしょう。現地でご苦労されている皆さんには、マクロ的な中国経済の動向を判断する材料としては、中国の対外貿易、鉄鋼生産、発電、貨物輸送等に関する統計に注目して頂きたいと思います。投機的色彩の強い住宅やビルの建設、株価の動向を過度に重視するのは避けるべきでしょう
  十年余前に中国共産党地方幹部より、「今時共産主義を心底信奉する人達は殆どいないが、ご存知の如く少しでも緩めると好き勝手な振舞をする中国人社会では統治機構としての共産党は必要です」と聞かされたが、今でも有効か吟味してみる必要があるでしょう。

 (2015-12-14記)

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