2012年 11月の記事一覧
今日のテーマは、中国に赴任又は出張して、中国滞在期間があまり長くなく、必死に中国事情を理解しようと努力しているが、努力すればするほど中国(中国人)が理解できないとか、毎日ストレスを感じるという方々への一寸した助言です。
1. てっとり早く理解する方法は、誰にでも容易に分かる方法です。それは道路での自動車の運転状況を見ることです。上海や北京ではかなり改善されているが、殆どの都市では「いち早く頭出し」をした方に優先通行権があることに気づくでしょう。日本ならより大きな道路を通行している車が優先、右折(左折)と直進では直進優先、左折と右折では左折優先(右側通行の中国では逆になるが)のはずですが、実際はそうとはならない。勿論大きな通りで、信号により左折や右折を含めて細かく表示される場合は、ほぼ信号通りに車は通行しているのを目にするでしょう。30年近く前自動車時代の到来を予測して中国政府は各国の道路交通法や実情視察を含めて、十分に研究調査して道交法を作りました。
2. それにも拘わらずどうしてこうなるのでしょうか?中国の多くの運転手は、「もたもたしている車の運転状況まで考慮するとかえって危険であり、交通渋滞を招く」と考えます。更に、自動車が役人など特権階級のみが使用していた時代の名残で、歩行者や自転車利用者より車優先との習慣が抜け切れていません。
3. 赤信号に対して最近では、車は殆ど停車するようになりましたが、歩行者や自転車利用者は必ずしも、順守していません。以前日本の新聞紙上にフランス人が、「日本人は不可解な民族だ、車も来ないのに信号が赤だからとして、道路を横断しようとしない」との、揶揄したコラム記事を見たことがあります。日本の法令順守の徹底ぶりは、世界的に見てむしろ特筆されるものなのかも知れません。
以上の事例は、その他の多くの法令順守の度合いも類似していると言えそうです。法治主義ではなく人治主義と言われる所以でしょう。いちいち腹を立てても仕方がありません。「郷に入っては郷に従え」の例え通り、中国での生活では多少は融通をきかせる必要があるでしょう。
毒されてしまうのも問題ですが、お役所の許認可にはある程度の“手土産”が必要なことは、日本での年末のお歳暮や夏のお中元同様と思えば「腹立ちも」多少は、治まるのではないでしょうか?「水清くして魚住まず」とも言いますので、日本人としての誇りを忘れず、一方では現地状況をある程度は受け入れる度量も持つ必要があるでしょう。
そうすることにより、心の平安は取り戻せるのではないでしょうか?尤も本社の理解を得るのに苦労することも時にはありますが!
お願い:私のブログに対しご遠慮のない、ご意見や異論をお寄せください。
「参考になり役に立つ」とのことでしたら、知人達にもご一覧願えるようお奨め下さい。
柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
Mail add: Knhr-yana-@jcom.home.ne.jp
中国人は一度紹介されたり、何処かで会ったりすると実によく憶えていて、偶然何かの機会で再会すると挨拶されることが多いものです。此方では記憶になかったり、記憶がぼんやりしていたりして、中国人の記憶力に感心したりしたことは皆さんにもあるでしょう。
これはどうやら単なる記憶力の問題ではなく、国民性の相違であり風俗習慣の相違と言えるでしょう。一方日本人は相手の名前は忘れていても、何処の会社の人であるかはすぐ憶えてしまうので、「日本人は会社人間だ」と言われる所以でもあります。やや誇張して言えば日本人は組織主義であり、中国人は個人主義だとも言えるでしょう。更に言えば人的関係優先で、中国では法治主義がなかなか根付かず、人治主義と言われることにもなります。若干事例を挙げてみましょう。
★ 初対面の時注意して見ていると中国人は此方の頭の天辺から爪先までじろじろと良く観察しています。又、此方の話し方等も「孔のあくほど」観察しています。日本ではこの様な立ち居振る舞いは失礼だと見做されますが、中国人の間では極普通のことの様です。
やはり長い歴史経験から、自然に組織より人との関係が重要と言う習慣が根付いているのでしょう。日中いずれが良いかどうか論ずる積りはありませんが、この様な相違点があるのだとの認識は必要でしょう。
★ 随分昔ですが、ルール無視とも言うべき過剰な接待を受け、日本では同様なお返しはできませんよと、よく念押ししたものです。見物参観時に中国人大衆を排除したり、劇場で無理やりいい席を空けさせたりしたこともよくありました。「ガイジン優先主義」があったことも確かです。
★ 日中関係は相当長期間ギクシャクした関係が続きそうですが、個人関係ではそうでもないでしょう。日本では親族関係がやや薄れ、孫子や祖父母など縦系列は今なお緊密な関係が残っていますが、『いとこはとこ』関係になると一般的には、あまり日常的な付き合いはないようです。「兄弟は他人の始まり」とも言いますが、中国ではこれ等の関係は今でも随分濃密です。特に何かと助け合い、又到来物を分け合う習慣があります。
★血縁関係以外でも友人関係、同窓同郷関係でも実によく連絡を取り合い、助け合っています。私のように既に第一線を退いた者も、中国に行くとリラックス出来、多くの旧友達の気遣いを受けることになります。10年前、20年前、更にはもっと前には日中間の経済的格差は個人間でも相当大きな開きがあり、会食するとか何処かに遊びに行く場合は日本人が全費用を負担するのが普通でした。然し現在多くの旧友や昔の部下は自家用車も持っており、一部の者達は豪邸に住んでいます。従い経済力が逆転したという要素もあるでしょうが、昔の恩義を忘れないといういい意味での中国人社会の風俗習慣も残っていると言えると思います。
★一部の日本の評論家は、以前日本は米中関係の仲立ちをすべきである等と言ったことがありますが、私は彼の観察力は皮相的だと見ています。確かに政治体制や、安全保障体制面から見れば、日米は緊密であり価値観を共有していると言えますが、自我意識や自己主張が強い、原色が好き、論理的思考法、楽観主義、自己防衛意識が強い、大雑把である等々、アメリカ人と中国人の間には共通或いは類似点と言える面があり、日本のみがやや特殊と言えるでしょう。尚私は東京都内ではあったが、二十代初め一年程アメリカ人家庭に居候をしていたこともあります。
いずれにしても日米中は正三角形の関係ではないでしょう。
お願い:私のブログに対しご遠慮のない、ご意見や異論をお寄せください。
「参考になり役に立つ」とのことでしたら、知人達にもご一覧願えるようお奨め下さい。
柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
Mail add: Knhr-yana-@jcom.home.ne.jp