2012年 7月の記事一覧
下記の如き事例を、幹部を通じての社員教育にご利用下さい。
1、随分昔の話です。東京オリンピックのあった1964年、私はオーストラリアに商社の
駐在員として赴任しました。前任者との引継打合せの後半で、「理髪店やクリーニング店は中国人の店を利用した方がいいよ」と教えられました。当時日本人はあまり歓迎されておらず、日本人経営の店もありませんでした。第二次大戦で日本の特殊潜航艇がシドニー湾まで侵攻したこともあり(キャンベラの博物館で捕獲された潜航艇を見せられたこともある)、対日感情が悪かったが、一方香港がオーストラリア同様英連邦の一地域であった関係上、多くの中国人が移住して来ておりました。兎も角、オーストラリアでは、日本人程ではないが、中国人の理髪技術は高く、仕事も丁寧であると思われていました。クリーニング屋も同様でした。
2、中国各地にある友誼商店やデパートの工芸品コーナーには、必ず刺繍品や各種の玉器があります。子猫の両面刺繍等その仕上げ加工は素晴らしく、多くの日本人観光客の購入対象品になっています。中国での駐在生活が長い私は、これ等を生産している蘇州の刺繍工場(研究所と称していた)や玉器工場参観も何度も参観しました。作業者は特に高級工程師と言うことでもなく、普通の熟練作業者です。従い、みなさんの工場の作業者も指導育成次第で、同様な緻密な作業者に変化し得るのです。特殊技能手当を厚くするなど、若干の待遇改善も併用すれば、より効果的でしょう。
3、汕頭のハンカチも緻密な両面刺繍が施されていますが、昔から代表的土産品となっていました(実用品ではなく、本来貴婦人のアクセサリー)。最近では「イグサ」を用い製造された各種寝具やソファー用品もデパートで見かけますが、仕上げ加工も素晴らしいと思われます。多くの中国人は、本来手先が器用であり、どこまで本来の潜在能力を発揮し緻密な作業をマスターするかは、指導育成次第だと確信致します。
4、「中国人は、大陸的で何事も大雑把で変わらないよ」と思っている人は、日本人に限らず、中国人の中にもいますが、一側面に過ぎません。以前にも触れましたが、文革前の中国は何処に行っても、清潔で無駄がなく、約束時間も順守し、人々は助け合い、街中でよく見かけた行列も、割り込む人はいませんでした。信じない従業員には「祖父母など老人に聞いてみなさい」と断言して下さい。文革で秩序が破壊され、改革開放で経済発展したが、反比例してモラルレベルが低下したとも言えます。必ずや回復すると信じます。
柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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多くの日系企業では、工場など職場の巡回チェックをされていると思います。然し中には巡回曜日や時刻、ルートを決めているところもあります。これは幹部の責務を明確にしておきたい意向と思われますが、好ましいことではありません。決めるのであれば:
1、週に何回巡回チェックするか、気づかれた良い点、好ましくない現象、どう対処したか等、巡回結果を簡潔に報告させること。
2、巡回検査時に、現場作業員に直接指導指示をする幹部が時にはいるが、これは好ましくない。円滑であるべき現場作業に悪影響が出る恐れあり、又良好であるべき現場人間関係を阻害する恐れもある。必ず班長など現場長を呼んで、よく聞き彼等を通じて指導改善をすべきである。
3、健康管理にも十分気遣いすべきである。身分意識や職階意識の強い中国では、幹部は必ずしも末端の作業員の健康状態への留意が十分でない場合があり、注意を喚起すると共に、状況により医務室に行かせ、又は早退させること。
4、当然ながら、巡回報告の結果に基づいて、模範的な事例を発見した時は、幹部会で披露すると共に、場合により朝礼などを利用して全社員に知らせ、顕著な事例に対しては物心両面で表彰すべきである。
5、現地政府(地方自治体)首脳や賓客がある場合、多くの職場で直前に突然5S活動に熱心になる場合がある。日頃の5S活動が最も大切で、この様な場合や検査日の直前のみ熱心なのは、モラル的に低劣であると、再三指摘したことがある。定着させるのは難しいことであるが、飽きず懲りず指摘し続け、「継続こそ力なり」と言い続けましょう。
柳沢経歴 http://www.nakatsu-bc.co.jp/komon/komon-2.html
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