2021年 10月の記事一覧
中国に対しては厳しい国際世論が湧き続けておりますが、相変わらずすれ違いに終始しているとしか言いようがありません。理由は簡単です。西側諸国の価値基準での主張に終始しているからです。残念ながら日本政府のみならず、日本のマスコミの中で保守的と言われ、辛口の主張をしているとみられる産経新聞なども同様です。例えば人権問題を取り上げる際、同じ言葉を使用しても真逆の理解になることも多いからです。従って中国に対しても説得力のある主張をしたいなら、中国の価値観に照らしても(中国のこれまでの主張も含め)誤りだと分かるように主張する必要があります。例えば:
1. 少数民族問題でも突き詰めて行くと、中国は欧米諸国はかって散々北米、中南米、大洋州、アジア諸国で侵略行為を働き、現地人を虐殺し、或いは軍事的に支配しようとしたではないかと主張し、中国の少数民族問題への対応に対して文句を言うなと主張します。
2. これに対しては「中国の主張は一見まともにも見えるが、人類の歴史の発展に逆行する主張である」と断ずることが出来ます。確かに過去の欧米諸国の行為は中国の主張通りの面があるが、歴史的発展により多くの民族の自主権が尊重され、独立国家となり、今では国連に参加している国々は200を超えるまでになったではないか、中国の主張は時代遅れであると断ずることが出来ます。
3. 現在武器による軍事的な戦争ではなく、情報戦争が激化しつつあるとも見られます。特に中国はあらゆる組織や個人も情報収集が奨励され、同時に中国の情報はたいして重要でないものも取得され流出されることを極度に警戒しています。以前は空港、大きな橋梁、軍人等だけでなく、外国人があまり行かない場所での写真撮影は禁止と言われたほどです。心理戦も重視され、あらゆるチャンスをとらえて、中国の主張にも一理があるなと思わせる情報操作や、同じことを繰り返し主張する方法も日常的に実施されています。中国在住の方ならテレビや新聞、雑誌などで以上の如き状況にあることを肌で感じておられるのではないでしょうか?日本も斯様なやり方を多少は学ぶべきではないでしょうか?
4. 例えば、ウイグル族やチベット問題などに対して、中国は南アフリカの黒人差別であるアパルトヘイトに対して、人類共通問題だとして反対していたではないかと言えます。又日本などでの労働争議に対しても以前は、労働者階級の国際的連帯と称して支持していたほどです。アメリカの国際的な行動に対しても、帝国主義とか覇権主義としてしばしば非難攻撃しており、1972年9月の日中国交正常化交渉では互い確認しあった「覇権主義反対」に対しても、今ではほとんど叫ばれなくなったことには、何度でも批判すべきでしょう。
5. 私は国交のない時代から何度も中国に出張したり、駐在したりしましたが、何処に行っても「中日友好!中日友好!」と大歓迎され、「皆さんは中日間の橋梁工作に従事されており尊敬しています」との言葉も、何回となく聞かされたものです。これも今にして思えば一種の心理戦、宣伝戦だったなと思わされています。
香港の民主主義への抑圧、台湾政治への過度な攻撃が繰り返されているが、中国も胡錦涛、趙紫陽両氏は政治改革を模索し、鄧小平は黒猫白猫論を展開、ソ連東欧諸国の政治体制の崩壊と民主化への転換、いずれも一進一退をしているが、民主化の流れは大勢となるであろう。
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最近中国はTPPに参加したいと申請、多くの参加国は困惑しているでしょう。本来中国では国営企業等政府管理下にあり、私営企業であっても政府の意向次第で何時でも管理下に置けることは周知のことだからである上、台湾も追いかけるようにTPP参加を申請したからです。
中国政府は台湾の参加は阻止したいところですが、ルール的には自由・民主主義の地域である台湾の方が参加資格者であるように見えるが、既存の参加国は中国との経済的関係が大きく、中国政府の意向を無視する訳にもいかず、どう云う結果になるにせよ相当もめそうである。本件に限らず、中国は1972年9月の国交回復時に約束した「覇権を求めず、何処の国であれ覇権主義には反対する」を反古にしており、自己都合次第で横車を押す傾向は今後益々強まるとみるべきでしょう。この様な中国とどのように付き合うかは、国の外交問題や安全保障問題のみならず、現地で企業経営に当たられている皆さんは日々ご苦労されていると拝察致します。以前私の当ブログで散発的に私の対処経験等紹介致しましたが、数回にわたり要約的に再度ご紹介致したく思います。
1. 人口は14億人と日本の11倍もあり国土面積は960万㎢と日本の25倍もあり、全体としての経済規模は既に日本より遥かに大きく世界第二位となり、アメリカに迫ろうとしているが、大都市やその周辺以外は大変貧しく、北京や上海、深圳の1/10にも満たない生活レベルの人々は今なお一億人以上も存在し、1/2程度以下のレベルなら全人口の半分(7億人)以上にも達する状況にあることです。「共同富裕」を唱え出した習近平政権にとっても、経済レベルの現状改革、特に富の分配は待ったなしの状況にあると言えます。昔と異なり如何に制限しても情報伝達が広く行き渡っている現代と中国の体制崩壊は外圧よりも内政混乱が主たる原因であった数限りないほど多かった歴史上の体験が重くのしかかっていると言えます。現代の世界政治・経済の動向に合わせる余裕などないのが実態です。
2. 一方では、清朝の聖祖(康熙帝)時代後期(17世紀末ごろ)から高宗(乾隆帝)時代後期までの約100年間は当時の世界経済の3割を中国が占めていたと言われ、習近平に限らず現代中国の為政者や知識人にとっては、当時と同程度の位置付けに達したいとの願望が「中国の夢」となってくる訳です。貧しかった30年前までの中国が盛んに反対していた覇権主義のみならず、民族自決を唱え民族差別に反対していた時代もなかった如く振る舞い、西側諸国(自由民主主義を標榜する先進諸国)が既に克服した、近代以前の植民地主義や覇権主義をあたかも真似している様になってしまったのが実情です。
3. 日本に対しても歴史を教訓とせよと迫るのみならず、自国内でも数百の「日本の悪行史跡展示館」を設立し、学校教育でも日本ではあまり教えない斯様な近代史を繰り返し教育しているのが現状です。戦前日本は悪行ばかり働いたわけでは無く、台湾等是々非々で対応して、大変親日的になっているが、中国(韓国はもっとひどいが)は否定的側面のみ強調している。その原因は日本側にあるのではなく、彼らは古代文明では日本の師匠であり、大先輩だったので、日本は弟子か後輩の如く振る舞うべきだとの潜在意識を強く保持しているからでしょう。日本の過ちは海洋国家であるにも拘わらず、同時に大陸国家でもあらんとしたことであり、これは完全に克服されているでしょう。従い大陸国家である中国が同時に海洋国家たらんとするのは絶対に誤りであると認識するなら、歴史を教訓としていると言えるでしょう。続きは近日中に!
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