2020年 5月の記事一覧

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20年05月27日 15時42分38秒
Posted by: yanagizawa

新型コロナウイルスの感染状況もやっと危険レベルを脱したとして、政府は5月25日に緊急事態宣言を全面解除したが、今後第二波となって感染が広がる恐れがあるので、気を緩めてはならないとしている。欧米諸国からは日本政府は感染状況を極めて低いレベルで終息させようとしているとして高く評価されているが、国内ではあまり評価されず、むしろ安倍政権への支持率は検察庁の人事問題等で低下している始末である。

  1. 隣国の韓国では政府の対応が良かったとして、政権支持率は向上しているが、公平に日韓両国政府のコロナウイルスの感染問題への対処方法を見た場合、法律上の制限もあったが日本の場合は命令ではなく民間や地方自治体への要望レベルであったにも関わらず大きな成果をあげたもので、むしろ日本の方が高く評価されても良いはずだが、何故評価がこの様になるのであろうか?

  2. 韓国の政情は国民大衆の感情的な評価に依拠される傾向にあることと、法令的に指示命令が可能である点、日本とは大きく異なる。更にその国の政権を評価する時の要素であるが、ほとんど政治学者もマスコミも見落としている大きな要素がある。それはどんな国でも権力の有無に関係なく、国民は自分達の象徴的代表の存在を求めるものである、と云う点である。日本やイギリスの如く立憲君主国では、それは天皇や女王が担っているが、韓国やアメリカ等共和性の国々では大統領が兼務しているので、政権への評価が過大になる傾向にあることを認識すべきであろう。

  3. 中国の如く、憲法で共産党が政権を担うと決められており、実態としては一党独裁である国では政権への国民の評価はより一層高くなる傾向にある。法律上は全国人民代表大会の議長が国家元首であるが、これは形式的とみなされている。又現在開幕中の全人代(全国人民代表大会)には全国から代表達、3000余人が北京に集まっているが、少数民族や職場代表等沢山含まれており、全人代への参加は大変名誉なこととされ、むしろ学習会となっている。終了後任地に帰った後は、繰り返し報告会が開催される。新たな政策や方針は毎年夏避暑地である北戴河で開かれる党の首脳陣の会合(引退された長老なども参加)や11月初旬開催の全人代常務委員会(300余人で構成され、実質的な国会)で決められるが、会議の中で賛成反対等どんな風に討議され、どう決まったかは公表されない。

  4. 言論統制がきびしく、情報伝達も自由でない中国であるが、中国のマスコミ(新聞テレビ全て党の宣伝機関と位置づけされている)で過度に宣伝臭いニュースが繰り返し報道される場合や海外の中国大使館等公的機関が何度も同じことをニュースであるが如く発表される場合は、その内容の逆の事柄が発生していると見て間違いない。コロナウイルス感染状況や活動自粛を命ぜられた人々への補償問題等、留意すべきであろう。

  5. 更に中国国内で党・政府首脳にとって困った状況が発生すると、対外的な摩擦を引き起こす風潮があるのも、中国の特徴である。尖閣諸島の領海内で操業中の日本漁船に対し、反対に「中国領海内から出て行け」とばかりに、中国の艦船が追いかけて来たのも、その表れと見るべきで、現在中国国内で解決困難な、反党反政府活動が各地で頻発している恐れがある。

    中国の不変的な対外政策や習近平氏の鄧小平等の路線からの乖離等、日本との関係にも大きく影響しそうである。又中国は今にも崩壊しそうだとの極端な論調もある昨今であるが、次回取り上げてみましょう。

20年05月07日 12時36分17秒
Posted by: yanagizawa

2020-5-7中国進出―中国を知る(195)中国との関係はどうなるか(8)?

60年余も昔、大学の政治学の時間に、担当教授より、「古来いろんな政治体制が存在したが、自由民主主義を超える政治体制はないであろう。然し民主主義にも欠陥はある。それは自由に表明された多数決主義であるので、多数を占める一般大衆の意向次第になるが、一般大衆は身近な利害関係には敏感だが、国全体や長期的問題には関心が薄くなる傾向に

ある。これをポピュリズム即ち大衆迎合主義と言う。この点、君達は心して社会の動向を見定めて頂きたい」と、教えられたが、正にその通りであろう。

  1. 日本の場合、国債の発行残高が年間の国民総生産高(GDP)の2倍の1,000兆円にも達しているが、かろうじて国民総資産(貯蓄や有価証券の所有高)を下回っているが危険レベルに近づいていると見るべきであろう。国債発行残高を減らす努力をしない政治家は、人気取りに走り民主主義の欠陥を増幅していると言えよう。

  2. 又戦後3/4世紀もの長きにわたり日本は平和を維持して来たが、ほとんどアメリカに依存して来た結果であることに多くの一般大衆は無関心である。自国の安全保障、即ち防衛を他国に依拠し、自ら率先して防衛しようとしない風潮は無限に続けられないことは、少し考えれば誰にでも分かることであろう。戦後安保条約で米軍の日本駐留を認めざるを得なくなった時、時の首相であった吉田茂は、「番犬を飼うことになったと思えば、いいか?!」とぼやいたそうだが、心中相当悔しい思いをしたであろう。

  3. 安全保障問題は、相対的な問題故、近隣諸国の情況と不可分の関係にあることは、少し考えれば分かることである。近隣諸国が軽武装であれば、日本もそれなりに軽武装でよいが、実情はとてもそんな状況ではない。特に中国は、1972年の国交回復時には、日中両国は覇権主義に反対すると約束したが、南シナ海のサンゴ礁を埋め立てて戦闘機用滑走路を備えた軍事基地を造成し、外地での拠点づくりに精を出し、東シナ海では連日尖閣諸島周辺に艦船を派遣している状況にある。

  4. 中国は江沢民時代からアメリカに対して、「太平洋は、中米両国が東西に分けて管理するに十分な広さがある」と公言するに至っており、日本が海洋性国家にも拘わらず、中国大陸に進出し“満州国”を作る等、大陸性国家でもあろうとした過ちを犯した教訓を生かしていない。大陸性国家である中国が、同時に海洋性国家になろうとすれば、必ず失敗するのは歴史が教えている。1960年代北京駐在時に、「ベトナム戦争は必ずベトナムが勝つ。ベトナムの国土には兵士の家族や同胞が古来住んでおり、米軍にとっては死活的な土地柄ではないからだ」と、中国国貿促の幹部から教えられたことがある。

  5. 中国は、「21世紀は情報戦、宣伝戦、心理戦次第で雌雄を決する」として、これ等を重点的戦略としているが、日本のマスコミはほとんど報道しない。特に情報戦ではロシアはKGB(ソ連時代から引き継がれている),アメリカはCIAというのが有名であるが、中国では共産党が管理運営しており、対外交流する組織には全て細胞組織があるのは周知の事実である。国内的には巨大な組織の国家安全部が情報戦を担当している。寧夏回族自治区で仕事をした時には、公道沿いに大理石で正面玄関を飾った国家安全部の立派な事務所ビルを再三目にした。

      ある中国の貿易公司の幹部より、「平和ボケしていた平安時代末期、武士勢力が急遽台頭し、同じく平和ボケしていた江戸時代から明治になると、急速に軍事大国になった。日本は油断がならない」と言われた。日中両国共に、一般大衆は国家的大事より、自分達の生活に密着した問題が主要関心事項であろうが、更に掘り下げてみましょう。 

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