2011年 1月の記事一覧
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IT(情報技術)は今や通信と融合してICT(情報通信技術)と呼ばれるように、その応用範囲や恩恵の度合いが益々大きくなっている。そんな時に、ITあるいはICTに投資しなければ生き残れない、効率を飛躍的に向上させるために是非投資したいと思っても、その投資額やリスクを考えると、経営者としては二の足を踏んでしまうことも少なくないのではないだろうか。
ソフトウェアのパッケージ/ERP化やクラウド・コンピューティング化が進み、以前に比べると投資額も下がってきてはいるが、絶対額として大きな投資となることには変わりなく、思うほど投資額が下がらなかったり、効果がすぐに出てこなかったりすることも良くある話である。
かつて大きなITプロジェクトのマネジメントを行っていてIT投資の効果も難しさも痛感したものだが、その時に同時に行ったある小さな試みが今も印象に残っている。それは在庫管理の改善を行うために流動数曲線をベースに創ったミニシステムであるが、私の指示を優秀なチームメンバーがエクセル上にマクロでプログラムしてくれて完成した。このプロジェクトではERPの導入を行うことになっていたので、その投資額に比べるとほとんどコストがかかっていないのだが、効果は結構あったと信じている。
経営コンサルタントとしてエクセルは様々な計算やシミュレーションに使い重宝しているのだが、2007年版でバージョンアップされた時には、スプレッドシートの大きさが飛躍的に大きくなったり、様々な機能が追加されたりと、その性能アップに驚いた。使いこなせていない便利な関数の多さにも改めて感心した次第である。
そんなわけで、それ以降は戦略計画策定、予実管理や管理会計など、クライアントのニーズや状況に即応しなければならない重要なテーマで、カスタマイズが必要だがコストや時間がかけられないというシステムは、積極的にエクセルで創ってしまうことにしている。コスト・パーフォマンスが抜群に良いだけではなく、身近なソフトウェアであるエクセルを使いこなすことで、クライアントが応用可能性の極めて高いある種のIT能力を獲得することができる点も見逃せない。
IT投資の効果を自分のものにするためには、同時に人への投資が欠かせない。バージョンアップを重ねてきて素晴らしい潜在的コスト・パーフォーマンスを体現しているエクセルの場合は、誰のコンピューターにも入っているのだが、それを使いこなす人への投資があまりにも足りないのではないかと考えている。
これは、他にも版を重ねる毎に機能拡張と改善が行われ、完成度が高まっている身近で安価なソフトウェアがいくつもあるが、それらに共通した現象ではないだろうか。それはベスト・プラクティスを限りなく小さなコストで再現し、埋め込むというITの特質に根ざした進化の一面であり、反対に人間は各人を最初からトレーニングしなければいけないという本質を見つめ直すきっかけを与えてくれるものに違いない。
ヴィブランド・コンサルティング
代表取締役 澤田康伸
ソフトウェアのパッケージ/ERP化やクラウド・コンピューティング化が進み、以前に比べると投資額も下がってきてはいるが、絶対額として大きな投資となることには変わりなく、思うほど投資額が下がらなかったり、効果がすぐに出てこなかったりすることも良くある話である。
かつて大きなITプロジェクトのマネジメントを行っていてIT投資の効果も難しさも痛感したものだが、その時に同時に行ったある小さな試みが今も印象に残っている。それは在庫管理の改善を行うために流動数曲線をベースに創ったミニシステムであるが、私の指示を優秀なチームメンバーがエクセル上にマクロでプログラムしてくれて完成した。このプロジェクトではERPの導入を行うことになっていたので、その投資額に比べるとほとんどコストがかかっていないのだが、効果は結構あったと信じている。
経営コンサルタントとしてエクセルは様々な計算やシミュレーションに使い重宝しているのだが、2007年版でバージョンアップされた時には、スプレッドシートの大きさが飛躍的に大きくなったり、様々な機能が追加されたりと、その性能アップに驚いた。使いこなせていない便利な関数の多さにも改めて感心した次第である。
そんなわけで、それ以降は戦略計画策定、予実管理や管理会計など、クライアントのニーズや状況に即応しなければならない重要なテーマで、カスタマイズが必要だがコストや時間がかけられないというシステムは、積極的にエクセルで創ってしまうことにしている。コスト・パーフォマンスが抜群に良いだけではなく、身近なソフトウェアであるエクセルを使いこなすことで、クライアントが応用可能性の極めて高いある種のIT能力を獲得することができる点も見逃せない。
IT投資の効果を自分のものにするためには、同時に人への投資が欠かせない。バージョンアップを重ねてきて素晴らしい潜在的コスト・パーフォーマンスを体現しているエクセルの場合は、誰のコンピューターにも入っているのだが、それを使いこなす人への投資があまりにも足りないのではないかと考えている。
これは、他にも版を重ねる毎に機能拡張と改善が行われ、完成度が高まっている身近で安価なソフトウェアがいくつもあるが、それらに共通した現象ではないだろうか。それはベスト・プラクティスを限りなく小さなコストで再現し、埋め込むというITの特質に根ざした進化の一面であり、反対に人間は各人を最初からトレーニングしなければいけないという本質を見つめ直すきっかけを与えてくれるものに違いない。
ヴィブランド・コンサルティング
代表取締役 澤田康伸
昨年からユニークなベンチャー企業の支援を始めた。新規事業、子会社、合弁会社等の立ち上げ支援については、自らの起業も含めて、日系/外資系とも何度も経験があるが、今回は先端技術のR&Dを核にしたいわゆる本格的な(と言うべきか?)ベンチャーらしいベンチャー企業の支援である。
私自身は工学部出身で科学技術は大好き、いつもコンサルティングを通じてクライアントの有する技術を理解するための勉強を楽しませていただいているが、今回はこれまでにない別の面も見ているような気がする。詳しいことは申し上げられないが、技術の性格もさることながら、ベンチャー企業創業者のものの考え方や組織文化に関することである。
ベンチャー企業がいわゆる「死の谷」を越えるまでに経験する様々な苦労は、本当に大変だ。キャッシュフローの確保、販路の開拓等々と枚挙にいとまがない。効率よくそれらを解決する組織が出来上がっているわけではない。リスクをとりたがらない日本のビジネス環境では、エンジェルのような存在を見つけることも極めて難しい。
そんな苦労はあまり気にせず(悪く言うと、そんな仕事はお構いなしにだが)、「武士は食わねど高楊枝」でやってきた人達は、一体何によって支えられて来たのだろうか。私自身の創業経験や、この未曾有の世界同時不況で少しは分かっているような気がしていたが、それは全く十分ではなかったと悟った。これまで大企業、中堅企業、プロフェッショナル・ファーム等の顧客と多く接するうちに、無意識にある程度確立された側に身(頭)を置く発想になっていたのではないかと思う。
本当の(?)ベンチャー企業の創業者のモーチベーションは、やはり開発したユニークな技術、製品、サービスそのものだ。それらを無事世に送り出すまできちっと育てることである。それは、子育てをする母親の心と同じだ。そんなことは始めから分かっていることなのだが、しかしそれは頭で理解することではなく、接してみて初めて感じることなのである。
わが子程自らを投影し、またそれにもかかわらず自分とは別個の存在であることを深く理解しなければいけないというのは他にない。それは、楽しくもあり、苦しくもあるだろう。ベンチャー企業の経営者にとっても同じではないだろうか。
ヴィブランド・コンサルティング
代表取締役 澤田康伸
私自身は工学部出身で科学技術は大好き、いつもコンサルティングを通じてクライアントの有する技術を理解するための勉強を楽しませていただいているが、今回はこれまでにない別の面も見ているような気がする。詳しいことは申し上げられないが、技術の性格もさることながら、ベンチャー企業創業者のものの考え方や組織文化に関することである。
ベンチャー企業がいわゆる「死の谷」を越えるまでに経験する様々な苦労は、本当に大変だ。キャッシュフローの確保、販路の開拓等々と枚挙にいとまがない。効率よくそれらを解決する組織が出来上がっているわけではない。リスクをとりたがらない日本のビジネス環境では、エンジェルのような存在を見つけることも極めて難しい。
そんな苦労はあまり気にせず(悪く言うと、そんな仕事はお構いなしにだが)、「武士は食わねど高楊枝」でやってきた人達は、一体何によって支えられて来たのだろうか。私自身の創業経験や、この未曾有の世界同時不況で少しは分かっているような気がしていたが、それは全く十分ではなかったと悟った。これまで大企業、中堅企業、プロフェッショナル・ファーム等の顧客と多く接するうちに、無意識にある程度確立された側に身(頭)を置く発想になっていたのではないかと思う。
本当の(?)ベンチャー企業の創業者のモーチベーションは、やはり開発したユニークな技術、製品、サービスそのものだ。それらを無事世に送り出すまできちっと育てることである。それは、子育てをする母親の心と同じだ。そんなことは始めから分かっていることなのだが、しかしそれは頭で理解することではなく、接してみて初めて感じることなのである。
わが子程自らを投影し、またそれにもかかわらず自分とは別個の存在であることを深く理解しなければいけないというのは他にない。それは、楽しくもあり、苦しくもあるだろう。ベンチャー企業の経営者にとっても同じではないだろうか。
ヴィブランド・コンサルティング
代表取締役 澤田康伸
今年になって最初に読んだ本は、1月5日に出版されたばかりの大前研一氏の「お金の流れがかわった!-新興国が動かす世界経済の真ルール」(PHP新書)だった。サブプライムローン問題に端を発し、リーマンショック以降に大きく進行した世界同時不況の原因を確認するとともに、今後の経済運営に対する大前氏の処方箋を知りたかったからだ。
その結果確認したのは、やはり投資機会を求めて世界中どこへでも飛んでいくホームレス・マネーの恐ろしさだった。ホームレス・マネーとは、ヘッジファンド等が運用しているような、世界中の投資機会を求めて迅速に動き回る巨大資金のことである。その恐ろしさは、関係者には異論があるだろうが、簡単に言えば貪欲さというか、節操のなさと言っても良いかもしれない。ハイリターンという目的さえ達成できれば、つまり結果さえ良ければ手段は問わないということだ。
そうなってしまっている世界経済の現状を認識したうえで、それに的確に対処するためには発想の転換が必要だ。大前氏は、グローバル経済においては、国政レベルでもホームレス・マネーの活用を考えれば、税金はあまり必要ではないと説く。
現状の正確な認識と発想の転換は常に大前氏から学ぶところであるが、個々の企業がこのグローバル経済にどのように対処すべきかは、複雑な問題だ。大企業から中小企業までそれぞれの状況や事情があり、糸をほぐすのは大変だ。
しかしほとんどの企業の場合は、ホームレス・マネーの挙動とは違い、自らのコア・コンペテンシー(核となる組織能力)を深く見つめたグローバルビジネスへのアプローチを検討することが必要ではないか。目的もさることながら、手段に重点を置いた大胆な発想の転換と堅持が必要になるに違いない。ホームレスではなく、ホームは常に存在するのだから。
ヴィブランド・コンサルティング
代表取締役 澤田康伸
その結果確認したのは、やはり投資機会を求めて世界中どこへでも飛んでいくホームレス・マネーの恐ろしさだった。ホームレス・マネーとは、ヘッジファンド等が運用しているような、世界中の投資機会を求めて迅速に動き回る巨大資金のことである。その恐ろしさは、関係者には異論があるだろうが、簡単に言えば貪欲さというか、節操のなさと言っても良いかもしれない。ハイリターンという目的さえ達成できれば、つまり結果さえ良ければ手段は問わないということだ。
そうなってしまっている世界経済の現状を認識したうえで、それに的確に対処するためには発想の転換が必要だ。大前氏は、グローバル経済においては、国政レベルでもホームレス・マネーの活用を考えれば、税金はあまり必要ではないと説く。
現状の正確な認識と発想の転換は常に大前氏から学ぶところであるが、個々の企業がこのグローバル経済にどのように対処すべきかは、複雑な問題だ。大企業から中小企業までそれぞれの状況や事情があり、糸をほぐすのは大変だ。
しかしほとんどの企業の場合は、ホームレス・マネーの挙動とは違い、自らのコア・コンペテンシー(核となる組織能力)を深く見つめたグローバルビジネスへのアプローチを検討することが必要ではないか。目的もさることながら、手段に重点を置いた大胆な発想の転換と堅持が必要になるに違いない。ホームレスではなく、ホームは常に存在するのだから。
ヴィブランド・コンサルティング
代表取締役 澤田康伸
つい先日、NHKのクローズアップ現代でWomanomics、即ち女性によって活性化される経済が取り上げられていた。消費の面ではもちろんだが、生産つまり職場における女性の活躍が企業や経済の推進役となってきているという。独立起業する女性も増えている。
職場における女性の進出については、日本は世界で100位に近いかなりの後進国だ。私は、大学卒業後(旧)労働省に就職したのだが、30年以上前から政府が女性の職場進出を促進しようとしていたにもかかわらず、社会が根本的に変わったという感じがしない。
もっとも、医薬情報提供を行うMRや自動車のデザインなど、かつての男性の世界に女性の視点ややり方を導入して成功したという話は昔から多くある。しかし、日本全体として目に見えて変わり、それが定着したとはまだ言えないのではないかと思う。
育児支援制度の実態や関連施設の不足などインフラの問題もあるが、やはり人々、特に男性の意識とそれらの総体ともいうべき社会文化の影響が大きいのではないか。
ということは、女性の活用については日本ではまだまだ「先行者利得」が得られる可能性が高いということだ。発想さえ転換すれば成功例を創り出すことが比較的容易だと言える。日本における女性活用の余地はいまだにかなり大きいことは間違いない。
私は、貿易における比較優位論を知った30数年前からこのことを確信し、そのような視点で企業や経営を見てきた。その理由は、人的資源としての女性がまだ埋蔵されているということだけではない。男性に比べたときの女性の「比較優位」が非肉体的労働、つまり多くの知的労働にあるのではないかということだ。
今こそ、Womanomics実践の最後の(?)チャンスだろう。やはり経営革新には、発想の転換が必要である。そして、それは経営者次第であることは昔も今も変わらない。
ヴィブランド・コンサルティング
代表取締役 澤田康伸
職場における女性の進出については、日本は世界で100位に近いかなりの後進国だ。私は、大学卒業後(旧)労働省に就職したのだが、30年以上前から政府が女性の職場進出を促進しようとしていたにもかかわらず、社会が根本的に変わったという感じがしない。
もっとも、医薬情報提供を行うMRや自動車のデザインなど、かつての男性の世界に女性の視点ややり方を導入して成功したという話は昔から多くある。しかし、日本全体として目に見えて変わり、それが定着したとはまだ言えないのではないかと思う。
育児支援制度の実態や関連施設の不足などインフラの問題もあるが、やはり人々、特に男性の意識とそれらの総体ともいうべき社会文化の影響が大きいのではないか。
ということは、女性の活用については日本ではまだまだ「先行者利得」が得られる可能性が高いということだ。発想さえ転換すれば成功例を創り出すことが比較的容易だと言える。日本における女性活用の余地はいまだにかなり大きいことは間違いない。
私は、貿易における比較優位論を知った30数年前からこのことを確信し、そのような視点で企業や経営を見てきた。その理由は、人的資源としての女性がまだ埋蔵されているということだけではない。男性に比べたときの女性の「比較優位」が非肉体的労働、つまり多くの知的労働にあるのではないかということだ。
今こそ、Womanomics実践の最後の(?)チャンスだろう。やはり経営革新には、発想の転換が必要である。そして、それは経営者次第であることは昔も今も変わらない。
ヴィブランド・コンサルティング
代表取締役 澤田康伸
つい先日誕生日を迎えたのを機に、本ブログを始めることにしました。「経営者のための戦略コンサルタント・考察ブログ」と題していますが、日々目に触れたり、感じたりした様々なことを、経営戦略に連なる視点で簡潔に書こうと思っています。
実は二つ目のブログなのですが、一つ目は深く考えることを目的としていたので、書き始めると丸1日程かかるヘビーなものになり、しばらくお休みしてしまっています。従って、今回はとにかく週1回継続することが目的で、少し筆が進むようになったら、一つ目のブログの再開にもつなげようという魂胆です。
職業柄というか、性格も関係しているのか、日々感じたり、考えたりすることは本当に多いのですが、何らかの形で書き留めておかないと忘れてしまうこともしばしばです。ブログの継続が、そのようなミニ考察の集積になればと期待しつつ、頑張ることにいたします。
私は、様々な経緯から、かなり多様なコンサルティング経験を積むことができました。もちろん成功も失敗もありますが、日々の観察をそのような具体的な経験と重ね合わせて、経営者の思考や経営戦略の構築に役立ちそうな私なりの原理原則を披露していきたいと思います。
ヴィブランド・コンサルティング
代表取締役 澤田康伸
実は二つ目のブログなのですが、一つ目は深く考えることを目的としていたので、書き始めると丸1日程かかるヘビーなものになり、しばらくお休みしてしまっています。従って、今回はとにかく週1回継続することが目的で、少し筆が進むようになったら、一つ目のブログの再開にもつなげようという魂胆です。
職業柄というか、性格も関係しているのか、日々感じたり、考えたりすることは本当に多いのですが、何らかの形で書き留めておかないと忘れてしまうこともしばしばです。ブログの継続が、そのようなミニ考察の集積になればと期待しつつ、頑張ることにいたします。
私は、様々な経緯から、かなり多様なコンサルティング経験を積むことができました。もちろん成功も失敗もありますが、日々の観察をそのような具体的な経験と重ね合わせて、経営者の思考や経営戦略の構築に役立ちそうな私なりの原理原則を披露していきたいと思います。
ヴィブランド・コンサルティング
代表取締役 澤田康伸
千葉県浦安市舞浜
ヴィブランド・コンサルティング株式会社
代表取締役 澤田 康伸
info@viebrand.com
TEL:047-352-9071
戦略コンサルタントが、日々の題材から戦略、組織、人事、教育、ブランド等について、経営者の視点で語ります。
ヴィブランド・コンサルティング株式会社
代表取締役 澤田 康伸
info@viebrand.com
TEL:047-352-9071
戦略コンサルタントが、日々の題材から戦略、組織、人事、教育、ブランド等について、経営者の視点で語ります。
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