おふくろの味って何だろう。
肉じゃが?
ハンバーグ?
玉子焼き?

ぼくにとってのおふくろの味は,カボチャのパイだ。
おふくろも歳をとって,このごろはちっとも作らないが,昔は,,,もう30年くらいも前か,,,よくパイを作ってくれたものだ。

いま,町のケーキ屋でパンプキンパイを見ることがある。
でも,それを買って食べてみると,違うのだ。
おふくろのポンキンパイとは似て非なるもの。
おふくろのレシピは古いので,現代風のレシピは大分異なっているのだろうか。

でも,どうしてもおふくろの味を食べたい。
もはや,自分で再現するしかない。


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ということで,作ったのがこれ。
シナモン,ジンジャー,ナツメグそして,クローブで香りを付けている。
なかなかの出来映え。
おふくろの味をかなり再現していると思う。




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そのレシピはどこから仕入れたか?
おふくろから聞いたのではない。
おふくろからネタ本を借りたのである。
1960年刊,Dessert Cook Bookである。

おふくろの味とは何か。
それは,古い記憶と,入手困難性だと思う。
脳の記憶領域に懐かしい味の記憶があることが,おふくろの味の第1の条件だが,それがいつも簡単に味わえるようでは,所謂おふくろの味にはなり得ない。
たとえば,ご飯と味噌汁は,その原体験は母親が作る食事であったとしても,おふくろの味にはならない。
なぜならば,それらは,いつでも容易に入手できるからだ。
つまり,有り難みがないのだ。
ただし,母親が炊いた飯が,何か特別な味がして,そのことが記憶にすり込まれているならば,おふくろの味になるだろう。
しかし,それとて今現在,母親の特別な飯を日常的に食べることができるならば,決しておふくろの味にはならないのだ。
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記憶と行動の関係は,マーケティング分野で随分と研究されてきているが,組織における意思決定メカニズムの解明とか社会動向の分析とかにも応用できる。