これが一番示しやすいと思います。役員の報酬カットがなされていない状況で他の方策を打つとなると誤解が生じます。

中小企業の場合、トップや幹部が変わる訳には行きません。外部から専門家を招へいすることも事実上難しいです。現体制の中で改善・改革を進めないといけません。

だから必然的に経営者が責任を取ると言った場合、報酬カットになります。ただし、これも業績が悪化したからと言って毎回毎回カットしていると、慣れてきます。

襟を正して真摯に受け止め、改革を進めるという姿勢が薄らいできます。何かあれば、報酬カットすればよいと・・・
さらに、それでも固定費が圧縮できない場合は、従業員の給与カットも考えようということになります。

業績回復よりもどこまで人件費をカットすれば事業が回るかを考えだします。
危機的な状況において1回のみ役員の報酬をカットするのが理想です。それ以上のことを先に考えるとなると、事業継続が難しくなります。

従業員の給与カットを実行するとモチベーションが下がります。将来に対する不安が出てきます。必ず優秀な社員から離れて行きます。そうするとますます事業運営が厳しくなります。

だから人件費のカットは役員および幹部社員のところで留めて置き、その間に業務改善、収益改善を行わないといけません。

経営責任は役員報酬の減額で示せますが、大事なのか改善・改革です。こちらが精緻に計画され、実行に移されるならば安心ですが、安易な報酬カットでは再生は難しいです。

本当に事業を再生できるのかどうかのデューデリを行った上で、計画書を作成することが大事です。嘘偽りのない、硬い数値の経営計画書。特に、再生の計画書を書く場合、伸びしろがどれくらいあるのかが大事です。

縮小傾向になる計画書では面白くないです。やはり、何らかの可能性を秘めている計画書に仕上げたいです。

その絵が描けていない段階で、役員報酬だけカットとしても意味がないです。
経営責任のもう一つの意味である再生計画書の作成と実行も忘れないで下さい。