再生局面で一番難しい問題があります。それは従業員の方の給与を上げることができないということです。元々赤字体質だった会社を再生しても赤字から脱出できるだけであり、十分な余裕が出来る訳ではないからです。

事業自体が赤字から脱出するまで、昇給はストップされている場合が多いです。それも1年や2年ではなく、かなり長い期間、この状態が続いているところもあるようです。

黒字化に向けて様々な施策を打ち改善・改革を行います。徐々に効果が見えて来て早いところでは1年も経つと黒字が見えてきます。しかし、少々黒字になったからと言って資金繰りが楽になることはないです。常に厳しい状態です。

でも従業員の方の給料あるいは報酬を上げてあげないとモチベーションに関わってきます。いつまでも、再生できるまで我慢して欲しいでは理解を得られなくなります。

現実的には昇給できる余裕はないです。どうすれば良いのか悩むところです。

従業員を引き留めておきたい、何とか幸せになって欲しいと考えるならば、社長自らの報酬を極限まで下げることができるかどうかだと思います。

実際、そのような社長と何度か仕事をさせていただきました。生活するために必要な報酬しか取られません。何のために事業を行っているかと考えてみますと、自分の欲のためとか幸せのためではなく、会社を何とか残し従業員の雇用を守るためです。少しでも利益が出そうであれば報酬金として従業員に還元されます。

もう自分がたくさんもらうという意識はないようです。一緒に再生を手伝ってくれた従業員の幸せが一番。ニコニコと楽しそうに仕事をしいてくれている姿を見るだけで十分と言った感じです。

社長が自分だけを守ろうとしていると再生は難しいのかもしれません。本当に守るべきものは会社であり、従業員であるという意識を持たれた時に、何か変わるような気がします。

おそらく金融機関も少々利益が出たからと言って社長や幹部の報酬を上げることには否定的でも従業員の給料を上げることには否定的でないと思います。経営責任は役員が取り、事業運営は従業員の方々の力で守って行くというのが理想的なあり方かもしれません。

逆に、常に従業員の給料をどうやって上げるかを考えることが社長の大事な仕事のような気がします。

従業員満足が達成できないと、本当の意味での再生局面を脱することができないのではと思います。

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