年間棚卸回数をお聞きすれば、業界平均との原価率の差がわかります。棚卸を年1回の決算時にしかやっていなければ、ズレてくるのは当然です。

やはり原価率にシビアなのは飲食業です。毎月必ず行います。それに想定原価率との差が大きければやり直しです。原価1%の差が大きな利益の差になることをご存知だからです。

他の業種で見ると甘いです。それになぜ棚卸が必要なのか知らない方もおられます。一度、なぜ棚卸が必要なのか説明する必要があると思います。

毎月棚卸をしないと原価を出せないことを教えてあげて下さい。仕入れた金額が原価ではないです。

それと在庫を少なくすると会社としてはなぜ良いのかも教えてあげて下さい。実際、自分が経営者の立場になればわかることです。在庫としてお金を眠らせることはしないはずです。

棚卸に入る前にこう言ったことを教える場が必要だと感じています。ただ単に、棚卸をしなさい、やって下さいと言っても伝わっていないように思います。

後大事なのは、いつまでに提出するのか、日にちだけでなく、時間まで指定することです。だらだらとやっていては意味がないです。月末に棚卸をやるのであれば、その日中に提出か、1日の午前中までに出せるようにすることです。

また、毎月の棚卸金額を把握し、何が多いのかもチェックできる力を付けることが大切です。管理職の要件としても棚卸の正確性を入れても良いのではとも思います。

もう一つ、棚卸には大きな意味があります。それは、大掃除です。日を決めないとなかなかできないものです。だから棚卸の日は、大掃除の日にして、1ヶ月間使用しなかったものは倉庫に仕舞うか、捨てることです。

資材置き場が綺麗でないところは相対的に原価高です。無駄なものを持たない、作らないことが大事です。

この前とある飲食業のオーナーさんのお話を聞いているとこんな話が出てきました。「私が社長に就任して最初にしたことは、大きな冷蔵庫が2台あったので、1台使えないように処分しました。」とおっしゃいます。

おそらくこのことだけでかなりの原価低減につながったはず。在庫を持てるスペースを持つことが原価高騰につながります。

理想は、在庫のそのものも減らさないといけませんが、在庫スペースもできれば小さくしていくことです。

新年度がスタートします。在庫の整理を思いっきり行って下さい。
それと棚卸が大事な訳の説明も忘れずに・・・