2007年 2月の記事一覧
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「お店の立地ドットコム」は、弊社が運営する、主に個人の方向けに立地や売上予測に
関するノウハウや情報、データ等を公開しているサイトです。
現在は、アドレス登録だけで、フリー会員ページを利用できるようになっています。
アクセスの多いコンテンツには、「写真で見る実査のポイント」があります。
毎月一枚ずつ更新してきて、写真は53枚にもなりました。
例えば、1.5車線道路、ゼブラ帯、バス停、坂道、買い物袋、自転車、…など。
これらのポイントは何だとお思いになりますか???
物件を見るときの参考になるはずです。
よろしければ、アクセスして、アドレスだけ登録して、ログインしてみてください。
●お店の立地.com
http://www.omisenorichi.com
●弊社のホームページ
http://www.sorb.co.jp
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例えば、1.5車線道路、ゼブラ帯、バス停、坂道、買い物袋、自転車、…など。
これらのポイントは何だとお思いになりますか???
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●弊社のホームページ
http://www.sorb.co.jp
駅や交差点などのように、人々が集中的に誘導・吸引・出入する施設や場所を、TG(トラフィック・ジェネレーター=交通発生源)といいます。
立地ではこのTGという概念がとても重要です。
このTGと店舗の位置関係や、TGからの店舗の見え方によって、売上げが大きく異なるからです。
駅はTGのなかでも、最も人々が集中する施設と言えるでしょう。
ですから、一般的には店舗が駅に近いということは、それだけ集中してくる人々を吸引しやすいということになります。
ただし、駅に近ければどこでも良い、という訳ではありません。駅を利用する人々が通る必然性のない場所であったり、全く目に止まらないような物件であれば、そのポテンシャルを吸引する事はできません。
つまり、「駅に近い」といっても、その距離にこだわるよりは、そこを利用する人々の行動から判断することのほうが重要なのです。
●ホームページもご参照ください。
http://www.sorb.co.jp
立地ではこのTGという概念がとても重要です。
このTGと店舗の位置関係や、TGからの店舗の見え方によって、売上げが大きく異なるからです。
駅はTGのなかでも、最も人々が集中する施設と言えるでしょう。
ですから、一般的には店舗が駅に近いということは、それだけ集中してくる人々を吸引しやすいということになります。
ただし、駅に近ければどこでも良い、という訳ではありません。駅を利用する人々が通る必然性のない場所であったり、全く目に止まらないような物件であれば、そのポテンシャルを吸引する事はできません。
つまり、「駅に近い」といっても、その距離にこだわるよりは、そこを利用する人々の行動から判断することのほうが重要なのです。
●ホームページもご参照ください。
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マクドナルドやセブン−イレブンの隣りやすぐ側だから、「いい物件だと思うんですけど・・・」と話すお客さまがいらっしゃいました。
また、これを見当に店舗開発をする担当者もいる、と聞いています。
しかし、全く根拠がありません。
そもそも、マクドナルドにも月商数百万円の店から数千万円の店まであります。十把一絡げに「そのマクドナルドの隣りならいい立地」とするのは、ずいぶんと乱暴な話です。
また、仮に「そのマクドナルド」がいい立地であったとしても、「その隣り」がいい立地である保証はありません。通行人対象立地でもロードサイド立地でも、「一等立地の隣りが三等立地」というようなことはよくあるからです。
重要なのは、そのような話を鵜呑みにするのではなくて、なぜマクドナルドの立地が良いかを自分で考えることです。
そして、それが自分が調べる物件にも当てはまることなのかを、判断する必要があるのです。
●ホームページもご参照ください。
http://www.sorb.co.jp
また、これを見当に店舗開発をする担当者もいる、と聞いています。
しかし、全く根拠がありません。
そもそも、マクドナルドにも月商数百万円の店から数千万円の店まであります。十把一絡げに「そのマクドナルドの隣りならいい立地」とするのは、ずいぶんと乱暴な話です。
また、仮に「そのマクドナルド」がいい立地であったとしても、「その隣り」がいい立地である保証はありません。通行人対象立地でもロードサイド立地でも、「一等立地の隣りが三等立地」というようなことはよくあるからです。
重要なのは、そのような話を鵜呑みにするのではなくて、なぜマクドナルドの立地が良いかを自分で考えることです。
そして、それが自分が調べる物件にも当てはまることなのかを、判断する必要があるのです。
●ホームページもご参照ください。
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店前の通行量が多ければ、どこでも好立地であると思い込んでいらっしゃる方が、実に多いのです。
しかし、これは根拠のない神話のようなものです。
実際、通行量が少なくても売れている店はたくさんあります。また、反対に通行量が多いのに売れていない店もたくさんあります。
それは、通勤通学路のように毎日同じ人が歩いている道路と、毎日違う人が購買目的で歩いている道路では、同じ通行量でもビジネスチャンスは大きく異なってくるからです。
つまり、立地の善し悪しを判定するには、通行量よりもむしろ、どのような人々が、どういう目的で歩いているかということの方が重要だということです。
●ホームページもご参照ください。
http://www.sorb.co.jp
しかし、これは根拠のない神話のようなものです。
実際、通行量が少なくても売れている店はたくさんあります。また、反対に通行量が多いのに売れていない店もたくさんあります。
それは、通勤通学路のように毎日同じ人が歩いている道路と、毎日違う人が購買目的で歩いている道路では、同じ通行量でもビジネスチャンスは大きく異なってくるからです。
つまり、立地の善し悪しを判定するには、通行量よりもむしろ、どのような人々が、どういう目的で歩いているかということの方が重要だということです。
●ホームページもご参照ください。
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お店の売上げを決める要因は、一体なんでしょうか?
商品・売り方・店の大きさ・店員のサービスなど、いろいろ考えられます。
しかし、マクドナルドやセブン−イレブンなどのように、売り方や店の大きさが統一されているチェーン企業でも、売上げは店によって大きく異なります。
その差は、月商で数百万円から数千万円にもなります。
この売上げの違いを決定付けるものが「立地」です。
お店がどの場所にあるか、ということです。
お店の立地が悪いと、どんなに優秀な店長が一生懸命やっても、残念ながら売上げは上がりません。
だからといって、一度作ったお店を、おいそれと別の場所に移動するわけにもいきません。
ですから、出店に際しては、立地を慎重に吟味することが重要です。
●ホームページもご参照ください。
http://www.sorb.co.jp
商品・売り方・店の大きさ・店員のサービスなど、いろいろ考えられます。
しかし、マクドナルドやセブン−イレブンなどのように、売り方や店の大きさが統一されているチェーン企業でも、売上げは店によって大きく異なります。
その差は、月商で数百万円から数千万円にもなります。
この売上げの違いを決定付けるものが「立地」です。
お店がどの場所にあるか、ということです。
お店の立地が悪いと、どんなに優秀な店長が一生懸命やっても、残念ながら売上げは上がりません。
だからといって、一度作ったお店を、おいそれと別の場所に移動するわけにもいきません。
ですから、出店に際しては、立地を慎重に吟味することが重要です。
●ホームページもご参照ください。
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「ラーメンはやめました」
「その方が熊さんらしいよ。それで今度は何をやることになったの」
「そこででさあ。それはじっくり考えていこうというわけで、それまでおやっさんの立地論を勉強しておこうとおもったんでさあ」
「おやまあ、熊さんにしては殊勝な心がけだねえ。いよいよ熊さんも立地の大切さがわかってきたようだね」
「さっそくですが、立地でいちばん大切なことは何ですか?」
「ティージーですよ」
「ティージー?」(文末解説参照)
「商圏規模とか、商圏の質ということがもっと重要なんですが、熊さんが一番わかりやすいことから始めましょうね」
「で、何ですかい、ティージーてのは?」
「人々の交通が発生する場所ですよ」
「??」
「交通発生源ともいいます。人々がその場所に集中するような場所です」
「集客施設というやつですか?」
「集まる人が、その施設のお客さんである必要はないんですよ」
「てえことは、従業員や店長さんも含むてえことで」
「そればかりじゃあ、ありません。大きなビルの玄関、大きな駐車場の出入り口、こういった所もティージーです」
「いっぱい人が集まる」
「集まるばかりじゃあありません。そこを中心に広がる場所でもあるでしょ」
「つまりティージーてのは、人々が集まってきて広がっていくような場所てえことですか」
「そうですよ。ところで熊さん、一番大きいティ−ジーは何だかわかりますか?」
「何でしょう?」
「いやに素直だね。熊さんがそんなに素直だとちょっと気持ち悪いね。まあいいです。それはね、駅ですよ」
「駅ですか?」
「その駅の中でも、もっとも集中する場所はどこですか?」
「うーん、改札口ですかねえ」
「そうそのとおり。さすが」
「駅のホーム階段の出入口や切符売場なんかもそうじゃあありませんか」
「そうそのとおり。さすが熊さんだねえ。飲み込みが早い」
「駅が一番大きいティージーですか。それでその中にもティージーがある。うん??」
「どうしたの熊さん」
「するってえと、ティージーの中にティージーがあるってえことですかい?」
「ティージーの外にもティージーがありますよ」
「へっ?」
「駅から出たら熊さんはどこへでも行けますか?」
「へえどこへでも行けますよ」
「そんなことないでしょ。駅から出たら、通常は、駅前の道路やロータリーに従って歩くでしょ」
「ああ、そうでした。まったく近頃は不便になったもんです。まっすぐ好きな所へ向かったら車に轢かれちゃうときたもんだ」
「街がどんどん人工的になると、道が作られちゃうのですよ。でたらめに作ると都合が悪いから、きちんと人が歩く道路と車が通る道路を分ける。そうして出来るのが交差点です」
「そうそこらじゅうに交差点だらけだ」
「熊さん、この交差点がティージーになっていませんか」
「人々が集中しますものね」
「つまりティージーは、ティージーの内側にも、外側にもティージーを発生させるんです」
「じゃあ、おやっさん。交差点もティージーなんだから、交差点の中にもティージーができるんですかい?」
「そうですよ」
「へっ?」
「小さな交差点じゃあわかりませんから、大きな交差点を思い浮かべてくださいよ。横断歩道や信号がついているでしょ。交差点の中でも人々が集中する場所とそうでない所ができるでしょ」
「はあ、まったくだ」
「おわかり?」
「じゃあ、おやっさん。駅もティージーなら、その駅を内側にしたティージーてのもあるんですかい?」
「おっと、熊さん。冴えてるねえ。その通りだよ。それが発着駅だよ。どんな駅だって駅だけあるなんてことはない。大きな街に発着駅があるだろう」
「つまり、ティージーは『マンダラ』ということかあ」
「おいどこへ行くんだい、熊さん。まだ話しは終わっちゃいないよ。まったくもう…」
【解説】
「ティージー」とは、Traffic Generatorの頭文字をとったものである。
「交通発生源」または「交通誘発体」という意味を持つ。
本文にあるように、ティージーには、駅や集客施設のほか交差点などが具体的なものである。これ以外にも、商店街や大型小売店などもあるが、ティージーの概念はそうした具体的なものを指しているのではなく、ティージーはその内側にも外側にもティージーを発生させることに注目して生まれたものである。したがって、単に、駅前にあれば立地が良いと一律に解釈してしまいがちの従来の立地論にメスを入れる概念である。この新たな立地論(筆者はこれをSORBICSと呼称している)によれば、ティージーの中のさらにどのティージーにあるかを見極める。そしてこのことが店舗の立地判定・売上予測を左右する大きなカギになっている。
駅に近い物件であっても、人々が通る必然性のない場所では店の認知が広がるわけはない。どんなに大きな交差点であっても、人々や車両の利用しないようなところがティージーになるわけもない。
そもそも商売は、人々に既存の価値ではなく、新たな価値を提案することである。いわば「無理強い」することである。どうして人々が、さらなる無理をしてまでも無理強いされる店まで行くであろうか?
人々が自然に集中してしまうような場所でなければ、この「無理強い」はできない。
●ホームページ
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「その方が熊さんらしいよ。それで今度は何をやることになったの」
「そこででさあ。それはじっくり考えていこうというわけで、それまでおやっさんの立地論を勉強しておこうとおもったんでさあ」
「おやまあ、熊さんにしては殊勝な心がけだねえ。いよいよ熊さんも立地の大切さがわかってきたようだね」
「さっそくですが、立地でいちばん大切なことは何ですか?」
「ティージーですよ」
「ティージー?」(文末解説参照)
「商圏規模とか、商圏の質ということがもっと重要なんですが、熊さんが一番わかりやすいことから始めましょうね」
「で、何ですかい、ティージーてのは?」
「人々の交通が発生する場所ですよ」
「??」
「交通発生源ともいいます。人々がその場所に集中するような場所です」
「集客施設というやつですか?」
「集まる人が、その施設のお客さんである必要はないんですよ」
「てえことは、従業員や店長さんも含むてえことで」
「そればかりじゃあ、ありません。大きなビルの玄関、大きな駐車場の出入り口、こういった所もティージーです」
「いっぱい人が集まる」
「集まるばかりじゃあありません。そこを中心に広がる場所でもあるでしょ」
「つまりティージーてのは、人々が集まってきて広がっていくような場所てえことですか」
「そうですよ。ところで熊さん、一番大きいティ−ジーは何だかわかりますか?」
「何でしょう?」
「いやに素直だね。熊さんがそんなに素直だとちょっと気持ち悪いね。まあいいです。それはね、駅ですよ」
「駅ですか?」
「その駅の中でも、もっとも集中する場所はどこですか?」
「うーん、改札口ですかねえ」
「そうそのとおり。さすが」
「駅のホーム階段の出入口や切符売場なんかもそうじゃあありませんか」
「そうそのとおり。さすが熊さんだねえ。飲み込みが早い」
「駅が一番大きいティージーですか。それでその中にもティージーがある。うん??」
「どうしたの熊さん」
「するってえと、ティージーの中にティージーがあるってえことですかい?」
「ティージーの外にもティージーがありますよ」
「へっ?」
「駅から出たら熊さんはどこへでも行けますか?」
「へえどこへでも行けますよ」
「そんなことないでしょ。駅から出たら、通常は、駅前の道路やロータリーに従って歩くでしょ」
「ああ、そうでした。まったく近頃は不便になったもんです。まっすぐ好きな所へ向かったら車に轢かれちゃうときたもんだ」
「街がどんどん人工的になると、道が作られちゃうのですよ。でたらめに作ると都合が悪いから、きちんと人が歩く道路と車が通る道路を分ける。そうして出来るのが交差点です」
「そうそこらじゅうに交差点だらけだ」
「熊さん、この交差点がティージーになっていませんか」
「人々が集中しますものね」
「つまりティージーは、ティージーの内側にも、外側にもティージーを発生させるんです」
「じゃあ、おやっさん。交差点もティージーなんだから、交差点の中にもティージーができるんですかい?」
「そうですよ」
「へっ?」
「小さな交差点じゃあわかりませんから、大きな交差点を思い浮かべてくださいよ。横断歩道や信号がついているでしょ。交差点の中でも人々が集中する場所とそうでない所ができるでしょ」
「はあ、まったくだ」
「おわかり?」
「じゃあ、おやっさん。駅もティージーなら、その駅を内側にしたティージーてのもあるんですかい?」
「おっと、熊さん。冴えてるねえ。その通りだよ。それが発着駅だよ。どんな駅だって駅だけあるなんてことはない。大きな街に発着駅があるだろう」
「つまり、ティージーは『マンダラ』ということかあ」
「おいどこへ行くんだい、熊さん。まだ話しは終わっちゃいないよ。まったくもう…」
【解説】
「ティージー」とは、Traffic Generatorの頭文字をとったものである。
「交通発生源」または「交通誘発体」という意味を持つ。
本文にあるように、ティージーには、駅や集客施設のほか交差点などが具体的なものである。これ以外にも、商店街や大型小売店などもあるが、ティージーの概念はそうした具体的なものを指しているのではなく、ティージーはその内側にも外側にもティージーを発生させることに注目して生まれたものである。したがって、単に、駅前にあれば立地が良いと一律に解釈してしまいがちの従来の立地論にメスを入れる概念である。この新たな立地論(筆者はこれをSORBICSと呼称している)によれば、ティージーの中のさらにどのティージーにあるかを見極める。そしてこのことが店舗の立地判定・売上予測を左右する大きなカギになっている。
駅に近い物件であっても、人々が通る必然性のない場所では店の認知が広がるわけはない。どんなに大きな交差点であっても、人々や車両の利用しないようなところがティージーになるわけもない。
そもそも商売は、人々に既存の価値ではなく、新たな価値を提案することである。いわば「無理強い」することである。どうして人々が、さらなる無理をしてまでも無理強いされる店まで行くであろうか?
人々が自然に集中してしまうような場所でなければ、この「無理強い」はできない。
●ホームページ
http://www.sorb.co.jp
「これは、いいよ。熊さん」
「えっ?本当にいいんですかい」
「ああ、これはいいね」
「てえことは、本当はだめなんですかい?」
「よく、わかるね。そう、本当はだめ」
「???」
「熊さんの見つけてきたこの物件ね、立地は申し分ない」
「それで、どこが問題なんですかい」
「商売ですよ」
「ショーバイ?ショーバイってなんですか?リッチじゃあないですよね。コンタンでもない」
「商売、つまり熊さんがやろうとしていることですよ。何をどうやって売ろうとするかですよ」
「ああ、そりゃあ簡単です。ラーメン作るんなら、誰でもちょっと習えばできるんですよ」
「そうですよ。特に熊さんのように手先の器用な人だったらすぐに覚えられますよ。それはあたしが保証する」
「じゃあ、うまくいくじゃありませんか」
「だから、心配なんですよ」
「はあ?」
「またまた熊さんは困ったものだねえ」
「あたしがラーメン作ると困ることでもあるんですかい?」
「熊さんがラーメン作るのはいいんです。それに立地もよい。駅から近いし、人々の動線もある。店の近くには、多くの人々が集まる施設もある。間口も狭くはない。家賃条件もまずまずですよ」
「何も問題はないと思うんですがね」
「ちゃんと見てきたんですかい?熊さん」
「いやあ、今度ばかりは万全ですよ。店の回りは隈なく見てきました」
「で、どうでした?」
「どうでしたって、どうってことありませんよ」
「それじゃあ、わかりません。例えば、他のラーメン店はどうでした?」
「そうですね、けっこうヒマそうでしたね」
「つまりそれは、お客さんが入ってないということ?」
「ええ、まあ。でも忙しそうな店もありましたよ」
「ところで、熊さんがラーメン屋を始めたいというお店は、以前は何のお店だったの?」
「同じくラーメン屋だそうです」
「ということは、そのラーメン屋は店をたたんだっていうこと?」
「そうなんですよ。でもね、不動産屋の藤が言うには、そりゃあとんでもないラーメン売ってたそうですよ。ゴキブリが入ってるって苦情が日常茶飯事だったということですよ」
「だから、熊さんがやれば儲かること請け合いだとかなんとか言ったんでしょ」
「へい、まったくその通りで」
「これだよ…。それで藤さんは、その前の店の売上をちゃんと話してくれたんですか?」
「それは・・、どうだったか・・」
「でしょうね。その店も最初から売れなかったんでしょうね。あたしは断言できます」
「てえことは、最初からゴキブリ入れてたんで・・」
「そんなことはないでしょ。最初は熊さんと同じで、真面目な人だったんでしょうね。でもうまくいかなかった」
「で、あたしもうまくいかない・・と」
「ええ、そうですよ」
「ええっ、うまくいかないんですかい?」
「商売が良くないからね」
「ショーバイ?」
「熊さんが見てきたラーメン店の100メートル周辺に、大小合わせて10軒以上のラーメン屋があるでしょ。これに中華料理店や点心を売る店を含めたらもっとになるでしょうね。熊さんはこの中で何を売るんですかい?」
「へえ、ラーメンです」
「答えになってませんよ。ラーメン店がたくさんある中で、またラーメン店を出しても誰も来てくれませんよ」
「へい、そりゃあわかってます。ですから、旨いラーメンを売るんです」
「でも、ほかの店は旨いラーメンを売ってないの?」
「まあ、そこそこですね。あたしは、旨いとは思いませんが…。まあ、中にはこりゃあちょっといいかなという店もあることにはある・・」
「何ごちゃごちゃ言ってるんだか。いいですかい。あたしは熊さんがラーメンを売ることに反対しているんじゃありませんよ。でもね、熊さんは、どんなラーメンを作ろうとしてるの?熊さんが旨いというラーメンは、どんなラーメンなの?これが知りたいの」
「よく、わかんねえなー。ラーメンはラーメンなんだけどなあ」
「ああ、これだから…。おやめなさい。商売が成り立ちませんよ。熊さん自身が、ラーメンはラーメンだとしか思っていないなら、どんなに立地が良くてもうまくいきません。それにね熊さん、・・おっとどこ行くの?」
【解説】
熊さんは、今回しっかり自分で立地調査をして、自信たっぷりだった。しかし、商売が悪いと言われてしまった。
実は、ビジネスを始める際に、立地調査以前のことが後で問題になっていくことは、あまり知られていない。個人も大手企業の場合もである。
「ラーメンならうまくいく」「飲食店なら手堅い」「ニュービジネスだから大丈夫」「今ならマルチメディアだ」「いや環境ビジネスだ、高齢者ビジネスだ」・・。これが最初の根拠だが、そこには理由が見えていない。
大方は、儲けること、儲かることばかりに目がいく。そのために「なぜその商売が儲かるのか、なぜその商売なら人々が来店してくれるのか」についての視点が欠け落ちている。
大抵の場合、これが商売を短命にしてしまっている。ラーメンがうまくいくのは、ラーメンそのものの味がいいから、特徴があるから、売り方に「○○らしさ」があるから等々のことについて、多くの人が共感しているからである。
例えば「○○産の××小麦を使った麺を、△△味のスープで食べてもらいたい」「当店では○○という食べ方や、△△という店作りをしている」という出発点がしっかりしていないと人々の共感を呼ぶことはできず、商売を始める前提がないことになる。あやふやな出発点では、どんな立地も活きるわけがない。
競合の激しい昨今はなおさらである。出発点のしっかりしない「お手軽商売」にどんなに熊さんが飛びついても、長屋のおやじさんの了解は得られない。
●ホームページ
http://www.sorb.co.jp
「えっ?本当にいいんですかい」
「ああ、これはいいね」
「てえことは、本当はだめなんですかい?」
「よく、わかるね。そう、本当はだめ」
「???」
「熊さんの見つけてきたこの物件ね、立地は申し分ない」
「それで、どこが問題なんですかい」
「商売ですよ」
「ショーバイ?ショーバイってなんですか?リッチじゃあないですよね。コンタンでもない」
「商売、つまり熊さんがやろうとしていることですよ。何をどうやって売ろうとするかですよ」
「ああ、そりゃあ簡単です。ラーメン作るんなら、誰でもちょっと習えばできるんですよ」
「そうですよ。特に熊さんのように手先の器用な人だったらすぐに覚えられますよ。それはあたしが保証する」
「じゃあ、うまくいくじゃありませんか」
「だから、心配なんですよ」
「はあ?」
「またまた熊さんは困ったものだねえ」
「あたしがラーメン作ると困ることでもあるんですかい?」
「熊さんがラーメン作るのはいいんです。それに立地もよい。駅から近いし、人々の動線もある。店の近くには、多くの人々が集まる施設もある。間口も狭くはない。家賃条件もまずまずですよ」
「何も問題はないと思うんですがね」
「ちゃんと見てきたんですかい?熊さん」
「いやあ、今度ばかりは万全ですよ。店の回りは隈なく見てきました」
「で、どうでした?」
「どうでしたって、どうってことありませんよ」
「それじゃあ、わかりません。例えば、他のラーメン店はどうでした?」
「そうですね、けっこうヒマそうでしたね」
「つまりそれは、お客さんが入ってないということ?」
「ええ、まあ。でも忙しそうな店もありましたよ」
「ところで、熊さんがラーメン屋を始めたいというお店は、以前は何のお店だったの?」
「同じくラーメン屋だそうです」
「ということは、そのラーメン屋は店をたたんだっていうこと?」
「そうなんですよ。でもね、不動産屋の藤が言うには、そりゃあとんでもないラーメン売ってたそうですよ。ゴキブリが入ってるって苦情が日常茶飯事だったということですよ」
「だから、熊さんがやれば儲かること請け合いだとかなんとか言ったんでしょ」
「へい、まったくその通りで」
「これだよ…。それで藤さんは、その前の店の売上をちゃんと話してくれたんですか?」
「それは・・、どうだったか・・」
「でしょうね。その店も最初から売れなかったんでしょうね。あたしは断言できます」
「てえことは、最初からゴキブリ入れてたんで・・」
「そんなことはないでしょ。最初は熊さんと同じで、真面目な人だったんでしょうね。でもうまくいかなかった」
「で、あたしもうまくいかない・・と」
「ええ、そうですよ」
「ええっ、うまくいかないんですかい?」
「商売が良くないからね」
「ショーバイ?」
「熊さんが見てきたラーメン店の100メートル周辺に、大小合わせて10軒以上のラーメン屋があるでしょ。これに中華料理店や点心を売る店を含めたらもっとになるでしょうね。熊さんはこの中で何を売るんですかい?」
「へえ、ラーメンです」
「答えになってませんよ。ラーメン店がたくさんある中で、またラーメン店を出しても誰も来てくれませんよ」
「へい、そりゃあわかってます。ですから、旨いラーメンを売るんです」
「でも、ほかの店は旨いラーメンを売ってないの?」
「まあ、そこそこですね。あたしは、旨いとは思いませんが…。まあ、中にはこりゃあちょっといいかなという店もあることにはある・・」
「何ごちゃごちゃ言ってるんだか。いいですかい。あたしは熊さんがラーメンを売ることに反対しているんじゃありませんよ。でもね、熊さんは、どんなラーメンを作ろうとしてるの?熊さんが旨いというラーメンは、どんなラーメンなの?これが知りたいの」
「よく、わかんねえなー。ラーメンはラーメンなんだけどなあ」
「ああ、これだから…。おやめなさい。商売が成り立ちませんよ。熊さん自身が、ラーメンはラーメンだとしか思っていないなら、どんなに立地が良くてもうまくいきません。それにね熊さん、・・おっとどこ行くの?」
【解説】
熊さんは、今回しっかり自分で立地調査をして、自信たっぷりだった。しかし、商売が悪いと言われてしまった。
実は、ビジネスを始める際に、立地調査以前のことが後で問題になっていくことは、あまり知られていない。個人も大手企業の場合もである。
「ラーメンならうまくいく」「飲食店なら手堅い」「ニュービジネスだから大丈夫」「今ならマルチメディアだ」「いや環境ビジネスだ、高齢者ビジネスだ」・・。これが最初の根拠だが、そこには理由が見えていない。
大方は、儲けること、儲かることばかりに目がいく。そのために「なぜその商売が儲かるのか、なぜその商売なら人々が来店してくれるのか」についての視点が欠け落ちている。
大抵の場合、これが商売を短命にしてしまっている。ラーメンがうまくいくのは、ラーメンそのものの味がいいから、特徴があるから、売り方に「○○らしさ」があるから等々のことについて、多くの人が共感しているからである。
例えば「○○産の××小麦を使った麺を、△△味のスープで食べてもらいたい」「当店では○○という食べ方や、△△という店作りをしている」という出発点がしっかりしていないと人々の共感を呼ぶことはできず、商売を始める前提がないことになる。あやふやな出発点では、どんな立地も活きるわけがない。
競合の激しい昨今はなおさらである。出発点のしっかりしない「お手軽商売」にどんなに熊さんが飛びついても、長屋のおやじさんの了解は得られない。
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「おいおい、熊さん」
「今度はなんですかい?おやっさん」
「熊さんがやろうとしているフランチャイズチェーンね。これ、お止めなさいよ」
「そりゃまた、どうして?」
「魂胆が良くない」
「コンタン?」
「そう、魂胆ですよ。だいたいあんたみたいに人が良いのを食い物にしようっていう魂胆がミエミエですよ」
「あたしは騙されてるんですかい」
「そう、熊さんは騙されてるんですよ」
「そりゃ、どうしてですかい。パンフレットもこんなに立派だし、それに泣く子も黙るワクワクバーガーですよ。この間来てくれた本部の人なんか、すごく親切に教えてくれましたよ。あたしは感動しちゃいましたけどね。とにかく、事業計画は作ってくれるわ、お店の設計はしてくれるわ、銀行の紹介はしてくれるわ、前回おやっさんの言ってたリッチなんか完璧ですよ」
「どこが完璧なもんですか。その立地が一番問題なんですよ」
「ええっ、だめですか?」
「だめですよ」
「でもおやっさん、このワクワクバーガーの事業計画書をもう一度見てくださいよ。こんなに真剣に立地調査してくれたんですよ。あたしは何にもしなかったのに、こんなに調べてくれたんですよ」
「あんたねえ、そんな泣きべそかいたってだめなんだよ。ほんとに悪いやつだね、こんなに心根の優しい熊さんを騙そうっていうんだから」
「・・」
「いいかい、商圏内の学校生徒数が6342人、世帯数が23831戸、人口が52676人て書いてありますね。これ、熊さんはどう思うんだい?」
「へえ。すごくお客さんがいるんだって思いましたけど」
「そうでしょ、たいてい誰でもそう思うんですよ。そこが付け目なんですよ」
「こりゃ、嘘だと言うんですかい」
「嘘は書いちゃいないと思いますよ」
「てえと、これじゃ少ないんですかい?」
「いやあ、とんでもありません。半径1キロメートルの範囲に5万人も住んでいるなんてそうザラにあるもんじゃありませんよ」
「それじゃあ、何が問題なんで」
「よく考えてごらん、熊さんや」
「はあ」
「5万人の人が住んでいるということは本当だとしても、その人たちがみんなお客さんになってくれるとは限らないでしょ」
「へえまあ、その通りですが。ですが、おやっさん、あたしは誰とでもすぐに仲良くなれますんで大丈夫ですよ」
「お店にお客さんが来てくれなかったら、仲良くしようにも仲良くなれないんですよ」
「最初はちいっとは来てくれるでしょう。そういう人と仲良くしてですね。そうすれば、その人がね、また新しい人を連れて来て、そうしたらまた仲良くしてですね」
「だんだん増やしていくというんでしょ」
「そうそう、その通り。そうすりゃ、すぐ商売繁盛ですよ」
「熊さん、商売はそんなに甘くはないの。考えてごらん。最初に来てくれる人をニュー・トライヤー(新規顧客)というのだけれど、それが何人になる見込みなの?」
「うーむ。10人くらいですかね」
「あんたね、10人で商売成り立つの?この事業計画書は、何人の人がお客さんにならないといけないと書いてあるの?4800人でしょ。月に360万円の売上を確保するにはね」
「へえ。最初は10人でも翌日は20人、その次は30人。そうやっていけば月末には、310人来るようになってですね。そうすれば、いずれ4800人になるってワクワクバーガーの人は言ってましたけど」
「何言ってるんだか。ハンバーガーにも購買頻度というのがあってね、月に2、3回ですよ。それだって、熊さんの店だけで食べるわけじゃないから月1回がいいところ」
「てえことは、最初の10人は翌日来ない。てえと次の日も10人ですかい?その次も10人。うーむ。月に全部で310人ですかい?これじゃあ、店が成り立ちませんよ」
「おっ、今日は計算が早いじゃないかい。それにね、その310人のお客さんは熊さんが連れてくるわけじゃあないでしょ」
「へえ、あたしが仲良くしたお客さんは翌月に来てくれるんです」
「じゃあ、310人のお客さんはどうしてやってきてくれるんです?」
「たまたま通りかかって、ぶらりと」
「だから立地が大事なんですよ。熊さんのお店は、ぶらりと通りかかってくれるような立地ですかい?毎日毎日違った人が歩いているような立地ですかい?」
「そりゃあわかりません」
「事業計画書とやらに書いてありますか?」
「ぜんぜんどこにも」
「そうでしょ。そんな肝心なことが書いてないから問題なんですよ」
「それじゃ、商圏人口は意味ないんですか」
「肝心のことが分からなければね。肝心なことを書いてないのは、そこに魂胆があるということですよ」
「コンタンですね」
「そうコンタン、じゃなかった魂胆。おい。熊さんどこへ行くの。まだ続きがあるんだよ。あらま、また行っちまった」
【解説】
立地調査をせず、また調査結果を故意に隠すことで、不振店を出していくフランチャイズチェーンが後を絶たない。それが本部と加盟店とのトラブルに発展していくのである。今回の話は、つい最近筆者のところに持ち込まれた実話をもとに書いてある。
大量なデータを使い、商圏人口の多さをことさら強調して、肝心の立地の良否については触れず、素人をその気にさせるという巧妙なやり方が増え始めた。訴訟になってもなかなか白黒がはっきりせず、結局大損した方が負けという事例が相次いでいる。
特にファーストフード店は新規来店客(ニュートライヤー)が常にいないとどうにもならない。いくらポピュラーになったとはいえ、ハンバーガーは誰もが毎日食べるような商品ではないからだ。最低限の条件として、多くの人の目に付き、多くの人が行き易い立地でなければならない。
もちろん、熊さんの「仲良くする」能力をはじめとする商品力がなければ立地の良さは活きて来ないのだが。
●ホームページ
http://www.sorb.co.jp
「今度はなんですかい?おやっさん」
「熊さんがやろうとしているフランチャイズチェーンね。これ、お止めなさいよ」
「そりゃまた、どうして?」
「魂胆が良くない」
「コンタン?」
「そう、魂胆ですよ。だいたいあんたみたいに人が良いのを食い物にしようっていう魂胆がミエミエですよ」
「あたしは騙されてるんですかい」
「そう、熊さんは騙されてるんですよ」
「そりゃ、どうしてですかい。パンフレットもこんなに立派だし、それに泣く子も黙るワクワクバーガーですよ。この間来てくれた本部の人なんか、すごく親切に教えてくれましたよ。あたしは感動しちゃいましたけどね。とにかく、事業計画は作ってくれるわ、お店の設計はしてくれるわ、銀行の紹介はしてくれるわ、前回おやっさんの言ってたリッチなんか完璧ですよ」
「どこが完璧なもんですか。その立地が一番問題なんですよ」
「ええっ、だめですか?」
「だめですよ」
「でもおやっさん、このワクワクバーガーの事業計画書をもう一度見てくださいよ。こんなに真剣に立地調査してくれたんですよ。あたしは何にもしなかったのに、こんなに調べてくれたんですよ」
「あんたねえ、そんな泣きべそかいたってだめなんだよ。ほんとに悪いやつだね、こんなに心根の優しい熊さんを騙そうっていうんだから」
「・・」
「いいかい、商圏内の学校生徒数が6342人、世帯数が23831戸、人口が52676人て書いてありますね。これ、熊さんはどう思うんだい?」
「へえ。すごくお客さんがいるんだって思いましたけど」
「そうでしょ、たいてい誰でもそう思うんですよ。そこが付け目なんですよ」
「こりゃ、嘘だと言うんですかい」
「嘘は書いちゃいないと思いますよ」
「てえと、これじゃ少ないんですかい?」
「いやあ、とんでもありません。半径1キロメートルの範囲に5万人も住んでいるなんてそうザラにあるもんじゃありませんよ」
「それじゃあ、何が問題なんで」
「よく考えてごらん、熊さんや」
「はあ」
「5万人の人が住んでいるということは本当だとしても、その人たちがみんなお客さんになってくれるとは限らないでしょ」
「へえまあ、その通りですが。ですが、おやっさん、あたしは誰とでもすぐに仲良くなれますんで大丈夫ですよ」
「お店にお客さんが来てくれなかったら、仲良くしようにも仲良くなれないんですよ」
「最初はちいっとは来てくれるでしょう。そういう人と仲良くしてですね。そうすれば、その人がね、また新しい人を連れて来て、そうしたらまた仲良くしてですね」
「だんだん増やしていくというんでしょ」
「そうそう、その通り。そうすりゃ、すぐ商売繁盛ですよ」
「熊さん、商売はそんなに甘くはないの。考えてごらん。最初に来てくれる人をニュー・トライヤー(新規顧客)というのだけれど、それが何人になる見込みなの?」
「うーむ。10人くらいですかね」
「あんたね、10人で商売成り立つの?この事業計画書は、何人の人がお客さんにならないといけないと書いてあるの?4800人でしょ。月に360万円の売上を確保するにはね」
「へえ。最初は10人でも翌日は20人、その次は30人。そうやっていけば月末には、310人来るようになってですね。そうすれば、いずれ4800人になるってワクワクバーガーの人は言ってましたけど」
「何言ってるんだか。ハンバーガーにも購買頻度というのがあってね、月に2、3回ですよ。それだって、熊さんの店だけで食べるわけじゃないから月1回がいいところ」
「てえことは、最初の10人は翌日来ない。てえと次の日も10人ですかい?その次も10人。うーむ。月に全部で310人ですかい?これじゃあ、店が成り立ちませんよ」
「おっ、今日は計算が早いじゃないかい。それにね、その310人のお客さんは熊さんが連れてくるわけじゃあないでしょ」
「へえ、あたしが仲良くしたお客さんは翌月に来てくれるんです」
「じゃあ、310人のお客さんはどうしてやってきてくれるんです?」
「たまたま通りかかって、ぶらりと」
「だから立地が大事なんですよ。熊さんのお店は、ぶらりと通りかかってくれるような立地ですかい?毎日毎日違った人が歩いているような立地ですかい?」
「そりゃあわかりません」
「事業計画書とやらに書いてありますか?」
「ぜんぜんどこにも」
「そうでしょ。そんな肝心なことが書いてないから問題なんですよ」
「それじゃ、商圏人口は意味ないんですか」
「肝心のことが分からなければね。肝心なことを書いてないのは、そこに魂胆があるということですよ」
「コンタンですね」
「そうコンタン、じゃなかった魂胆。おい。熊さんどこへ行くの。まだ続きがあるんだよ。あらま、また行っちまった」
【解説】
立地調査をせず、また調査結果を故意に隠すことで、不振店を出していくフランチャイズチェーンが後を絶たない。それが本部と加盟店とのトラブルに発展していくのである。今回の話は、つい最近筆者のところに持ち込まれた実話をもとに書いてある。
大量なデータを使い、商圏人口の多さをことさら強調して、肝心の立地の良否については触れず、素人をその気にさせるという巧妙なやり方が増え始めた。訴訟になってもなかなか白黒がはっきりせず、結局大損した方が負けという事例が相次いでいる。
特にファーストフード店は新規来店客(ニュートライヤー)が常にいないとどうにもならない。いくらポピュラーになったとはいえ、ハンバーガーは誰もが毎日食べるような商品ではないからだ。最低限の条件として、多くの人の目に付き、多くの人が行き易い立地でなければならない。
もちろん、熊さんの「仲良くする」能力をはじめとする商品力がなければ立地の良さは活きて来ないのだが。
●ホームページ
http://www.sorb.co.jp
「おいおい、まてよ熊さん」
「なんですかい?おやっさん」
「あんたが、お店を出すって言うから、わたしゃ、あんたがまたとんでもない失敗しやしないかと心配で」
「へえ、ですから、何が心配なんで?」
「あんたが出す店の立地ですよ」
「リッチ?そりゃ何ですかい?」
「立地も知らないでお店を出すのかい?」
「あたしはリッチになりたいんですが」
「そのリッチじゃあないの。いいかい。ここにお座り。説明してあげるから。どうせ、不動産屋の藤さんに、家賃が安いとか何とか言われて、その気になって決めたんじゃあないのかい」
「へい。まったくその通りで」
「いくら家賃が安くったって立地がだめなら大損するんだよ」
「えっ。そりゃあたいへん。あたしの腕でもだめですかい?」
「あんたの腕でもだめなんですよ。いくらあんたが腕の良い職人でも、立地がだめならだめなんですよ」
「いや。そりゃあたいへん」
「いいかい。まず、この町はそんなに大きくない。それに、若い人は皆、隣町に遊びに行っちゃって普段はいやあしないよ。一番良い立地で店を出したって、せいぜい10人のお客さんがくればいいほうよ」
「そんなもんですかねえ」
「それに、あの場所、駅からぜんぜん見えないでしょ。それだけで10人中3人はお客さんになりませんよ」
「えっ?まあいいじゃありませんか。ひーふーみー。まだ7人くるじゃありませんか?」
「とんでもない。商店街にもないじゃありませんか。住宅地に入ったところでしょ。それにね、あんたのとこは、坂の途中でしょ」
「だめですかい?」
「だめですよ。それで7人のうちの3人は来ませんよ」
「えっ。それじゃ、ひーふーみー、4人しか来ないんですかい?」
「それだけじゃありませんよ。商店街の入口には、熊さんと同じくらい腕の良い職人が店を構えているでしょ。この影響でまず2人は減っちゃう、それに熊さんのお店は、お客が2人も入ったらいっぱいでしょ。これでまた2人は帰っちゃう」
「なんですかい。ていうと、ありゃゼロになっちゃった」
「あれ、どこへ行くんだい?…もう帰って来たよ。どうしたの熊さん、ちゃんと藤さんに断ってきたかい?」
「へい、あんまり悔しいんで、リッチの馬鹿やろーって、怒鳴ってきました」
【解説】
起業家の皆さんは、しっかり投資して経費さえかければ、売上げは自然についてきて利益も生まれると、ついつい考えがちではありませんか?
どっこいそんなことはありません。これは、どんな有名チェーン店でも同じです。例えばマクドナルドやセブンイレブンでも、売上げはどの店も違います。同じチェーン店なら、どの店も同じだけ売れていたって良いはずなのに、です。月に500万円しか売れない店もあれば、月に5000万円も売れる店もあるのです。
それに、もうひとつ、どんなチェーン店もその7割は、平均以下の売上げしかないのです。
では、何で決まるか。
これが、立地といわれるものです。
要するに、お店の売上げは、そのお店がどの場所にあるかによって決まってしまうのです。場所が良ければ、早い話、努力しなくても売れますし、利益も出る。反対に、場所が悪ければ、いっくら努力しても売れない。利益も出ない。
この売上げを左右する場所があることは、経験的に知られていることなので、「立地」といわれています。
●ホームページ
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「なんですかい?おやっさん」
「あんたが、お店を出すって言うから、わたしゃ、あんたがまたとんでもない失敗しやしないかと心配で」
「へえ、ですから、何が心配なんで?」
「あんたが出す店の立地ですよ」
「リッチ?そりゃ何ですかい?」
「立地も知らないでお店を出すのかい?」
「あたしはリッチになりたいんですが」
「そのリッチじゃあないの。いいかい。ここにお座り。説明してあげるから。どうせ、不動産屋の藤さんに、家賃が安いとか何とか言われて、その気になって決めたんじゃあないのかい」
「へい。まったくその通りで」
「いくら家賃が安くったって立地がだめなら大損するんだよ」
「えっ。そりゃあたいへん。あたしの腕でもだめですかい?」
「あんたの腕でもだめなんですよ。いくらあんたが腕の良い職人でも、立地がだめならだめなんですよ」
「いや。そりゃあたいへん」
「いいかい。まず、この町はそんなに大きくない。それに、若い人は皆、隣町に遊びに行っちゃって普段はいやあしないよ。一番良い立地で店を出したって、せいぜい10人のお客さんがくればいいほうよ」
「そんなもんですかねえ」
「それに、あの場所、駅からぜんぜん見えないでしょ。それだけで10人中3人はお客さんになりませんよ」
「えっ?まあいいじゃありませんか。ひーふーみー。まだ7人くるじゃありませんか?」
「とんでもない。商店街にもないじゃありませんか。住宅地に入ったところでしょ。それにね、あんたのとこは、坂の途中でしょ」
「だめですかい?」
「だめですよ。それで7人のうちの3人は来ませんよ」
「えっ。それじゃ、ひーふーみー、4人しか来ないんですかい?」
「それだけじゃありませんよ。商店街の入口には、熊さんと同じくらい腕の良い職人が店を構えているでしょ。この影響でまず2人は減っちゃう、それに熊さんのお店は、お客が2人も入ったらいっぱいでしょ。これでまた2人は帰っちゃう」
「なんですかい。ていうと、ありゃゼロになっちゃった」
「あれ、どこへ行くんだい?…もう帰って来たよ。どうしたの熊さん、ちゃんと藤さんに断ってきたかい?」
「へい、あんまり悔しいんで、リッチの馬鹿やろーって、怒鳴ってきました」
【解説】
起業家の皆さんは、しっかり投資して経費さえかければ、売上げは自然についてきて利益も生まれると、ついつい考えがちではありませんか?
どっこいそんなことはありません。これは、どんな有名チェーン店でも同じです。例えばマクドナルドやセブンイレブンでも、売上げはどの店も違います。同じチェーン店なら、どの店も同じだけ売れていたって良いはずなのに、です。月に500万円しか売れない店もあれば、月に5000万円も売れる店もあるのです。
それに、もうひとつ、どんなチェーン店もその7割は、平均以下の売上げしかないのです。
では、何で決まるか。
これが、立地といわれるものです。
要するに、お店の売上げは、そのお店がどの場所にあるかによって決まってしまうのです。場所が良ければ、早い話、努力しなくても売れますし、利益も出る。反対に、場所が悪ければ、いっくら努力しても売れない。利益も出ない。
この売上げを左右する場所があることは、経験的に知られていることなので、「立地」といわれています。
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