イケアの業績が絶好調である。このスウェーデンの家具メーカーの商品は、どれもデザインが粋で、しかも価格が非常に安い。パックされた商品を自宅に持ち帰り、組み立てる手間が必要であるにもかかわらず、世界中のイケアファンがイケアの商品を求めて店舗に殺到する。一度撤退した日本に再度上陸し、店舗を増やして積極的に市場拡大に努力をしている。

この企業のすばらしさは、商品の品質向上に積極的に取り組むだけでなく、商品の価格を引き下げるための努力を惜しまない。そして、同時に地球温暖化防止の視線で、経営戦略を遂行していることである。その努力は、見逃されがちな梱包にも注目している。例えば、3人用のソファの梱包をさらにコンパクトにして、価格を135ドル下げることに成功している。この梱包のコンパクトさを追及する姿勢が、結果として、二酸化炭素の排出を大幅に削減することにつながっている点に注目する必要がある。

この企業は1943年に創業以来、「一般の消費者が低予算で、お金持ちと同じような家具を揃えることを可能にするには、我々は何をすべきか」というテーマでビジネスを推進している。そして全社員に、常に考えることを要求している。女性の登用にも積極的で、200名の上級管理者のうち、40%は女性である。売上げの80%を占めるヨーロッパ市場の景気はよくないが、それでも、2010年はスペインで8.2%、イタリアで11.3%の売上増を記録している。また、ブルガリアやルーマニアでもビジネスは好調である。イケアの売上の15%はドイツであることは興味深い。質実剛健なドイツ人の性格にフィットして、今やイケアの商品はドイツ文化の一部になっている。

現在、世界26カ国で284店舗を展開しているイケアはまさしく、企業がこれからのビジネスに参考とすべきものを示唆している。地球環境の視点、考える社員、女性管理職の登用、海外市場の開拓、海外市場の細分化、そして、重点を置くべき海外市場の選択等、考えさせられる点は多い。(Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.) (Source: The Economist February 26th 2011)