トヨタはグループの証券事業を、独立系の中堅証券会社に譲渡する。経営資源を自動車事業に集中し、収益力を強化する。国内市場では、価格破壊が潮流になり、すべての業界で安値攻勢が続いている。安値競争は、さらなる安値を求める顧客を刺激する。その結果、競争力を持たない企業は淘汰されていく。トヨタといえども、例外ではなく、経営資源を集中して、価格競争の時代を勝ち抜く高収益体制を構築する必要に迫られている。

価格競争が激化すると、まず人件費にしわ寄せが来る。そして、消費者の可処分所得の減少につながり、それが、さらに低価格品を求める行動に拍車をかける。全くのスパイラル状態に陥ってしまう。少子化で国内市場の縮小が避けられないことは、すべての経済人が何年も前から指摘していたことである。消費者の減少が持つ意味は大きい。桁違いの金持ちでも、毎日2人前の食事を食べることはできない。それでも、多くの企業は総花的な事業構造を見直すことなく、国内市場から目を転じることもなかった。低価格品に経営資源を集中し、日本市場で磨き上げられた技術とノウハウで完全武装して、海外に目を向けているユニクロの戦略に見習うべき点は多い。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)