日本酒大手が海外市場での生産・販売を強化している。欧米での和食ブームを追い風に海外での日本酒需要を開拓し、現地での供給能力も高める。少子高齢化が進む日本では、総ての企業は、減少する市場で限りあるパイの奪い合いをしている。しかし、海外市場に目を転じれば、発展途上国の経済成長など、ビジネス拡大に無限のチャンスが存在することが理解できる。ウィスキーが好きな日本人がいれば、日本酒が好きな欧米人がいても不思議ではない。味覚に国境はない。あるのは文化の違いだけである。

海外市場向けに、日本酒のもつイメージを刷新し、海外で育った日本酒文化を日本に逆輸入することも夢ではない。和食には日本酒が一番という固定観念を捨て、各国の文化に融合できる日本文化を輸出するという考えで、市場を開拓することが必要である。「花椿会」というマーケティングツールを使って、中国市場で着実にビジネスを拡大している資生堂の戦略が参考になる。中国料理の本場である中国では、ラーメンは売れないと考えている企業は、中国で大成功している日本のラーメンチェーン店があるという事実を認識する必要がある。ラーメンは日本が生んだ偉大な文化であると考えると、理解できる事実である。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)