2010年 12月の記事一覧
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バブル崩壊後「失われた20年」と形容される日本経済。しかし、この停滞した状況でも、時価総額を大きく増加させた企業もあることは注目に値する。特に、ユニチャームはこの20年間に時価総額を約10倍に増加させている。2000年以降、中国や東南アジアの市場を積極的に開拓し、この20年間で、海外市場での売り上げを40倍に増加させている。「選択と集中」と「グローバル化」を推進した企業として、経営学の教科書で紹介すべき超優良企業である。
日本の国内市場では、スマートフォンに代表されるように、多機能、高性能、高品質を宣伝文句とする新商品の発売が延々と続く。そして、ほとんどの商品に、覚えきれない、使いきれない、必要ないという3拍子揃った機能が満載されている。それでも、さらなる新しい機能を追加しようと、競争がますます激化していく。その結果、商品はますます高価になっていく。もちろん、ビジネスの観点から見ると、正しい戦略ではあるが、この戦略を推進して、グローバル市場で成功するには、グローバル市場が日本市場のように成熟する必要がある。しかし、それには、まだ長い時間が必要である。
日本商品の高性能・高品質は世界的に有名で、「トヨタ・クォリティ」は立派な英語として通用する。しかし、長期的には成長途上にある新興国の市場を開発することは必要である。日本商品の存在感が低い東欧、アフリカ、中南米市場での、韓国企業と中国企業の存在はますます強くなっている。このような新興国の市場では、日本が誇る高性能・高品質商品は、中国製や韓国製に勝てない。不要な機能が多すぎる上に、価格が高すぎる。これは、時価総額増加率の上位に、電機メーカーの大手が一社もないという事実と無関係ではない。
日本は、良くも悪くも単一民族の国で、四方を海に囲まれ、日本語という共通の言語でビジネスできる市場である。しかし、新興国の市場は、これらの常識はまったく通用しない。ビジネスは自社の素晴らしい技術を中心に回っているという天動説では、これから重要になる新興国の市場では戦えない。市場の要求に臨機応変に対応する地動説の重要性がますます大きくなる。(Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
日本の国内市場では、スマートフォンに代表されるように、多機能、高性能、高品質を宣伝文句とする新商品の発売が延々と続く。そして、ほとんどの商品に、覚えきれない、使いきれない、必要ないという3拍子揃った機能が満載されている。それでも、さらなる新しい機能を追加しようと、競争がますます激化していく。その結果、商品はますます高価になっていく。もちろん、ビジネスの観点から見ると、正しい戦略ではあるが、この戦略を推進して、グローバル市場で成功するには、グローバル市場が日本市場のように成熟する必要がある。しかし、それには、まだ長い時間が必要である。
日本商品の高性能・高品質は世界的に有名で、「トヨタ・クォリティ」は立派な英語として通用する。しかし、長期的には成長途上にある新興国の市場を開発することは必要である。日本商品の存在感が低い東欧、アフリカ、中南米市場での、韓国企業と中国企業の存在はますます強くなっている。このような新興国の市場では、日本が誇る高性能・高品質商品は、中国製や韓国製に勝てない。不要な機能が多すぎる上に、価格が高すぎる。これは、時価総額増加率の上位に、電機メーカーの大手が一社もないという事実と無関係ではない。
日本は、良くも悪くも単一民族の国で、四方を海に囲まれ、日本語という共通の言語でビジネスできる市場である。しかし、新興国の市場は、これらの常識はまったく通用しない。ビジネスは自社の素晴らしい技術を中心に回っているという天動説では、これから重要になる新興国の市場では戦えない。市場の要求に臨機応変に対応する地動説の重要性がますます大きくなる。(Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
政治の混乱がいよいよ深刻になってきた。そして、日本周辺の動きがますます緊迫している。「天気晴朗なれども浪高し」とは、日露戦争の日本海海戦で我が日本の連合艦隊が発信した歴史的な名言である。この格調高い名言を、日本の現況にあてはめると、「天気は曇天続きの雨模様で、さらに浪は荒れ狂っている」といえる。そのような状況であっても、政治の世界は相変わらず内向きで、国民の生活よりも自分たちの保身が重要という声が聞こえてくる。「格差のない社会」とか「高速道路の無料化」等の耳に心地よいキャッチフレーズは、今は懐かしい昔話になってしまった。
政治の世界でもビジネスの世界でも、最終責任をとるのはただ一人である。つまり、最終的な決断をくだすのは、一番大きな権限をもっている人物がする。もちろん、決断にいたるまで様々な人々の意見を聞くことは重要であるが、最終的な決断をするのは最高責任者がただ一人で行う。政治の世界では総理大臣であり、ビジネスの世界では取締役社長である。最高責任者の一番重要な職務は決断することである。そして、決断した事項に関して、全責任を負うのも最高責任者である。それができないならば、最高責任者の職を受けるべきではない。
政権交代という美名のもとに発足した政権も、振り返れば内輪もめばかりがニュースになっている。国民をうならせる決断を見るには、まだ時間が必要ということのようである。素晴らしい大統領のもとで大躍進を続ける韓国と比較すると、日本の政界の停滞ぶりが、ますます鮮明になる。政治の世界が不安定だと、ビジネスの世界も活気がなくなる。ビジネスのグローバル化は、否応なしにますます進行していく。ビジネスのグローバル化には、政治のバックアップが必要不可欠であることを認識する必要がある。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
政治の世界でもビジネスの世界でも、最終責任をとるのはただ一人である。つまり、最終的な決断をくだすのは、一番大きな権限をもっている人物がする。もちろん、決断にいたるまで様々な人々の意見を聞くことは重要であるが、最終的な決断をするのは最高責任者がただ一人で行う。政治の世界では総理大臣であり、ビジネスの世界では取締役社長である。最高責任者の一番重要な職務は決断することである。そして、決断した事項に関して、全責任を負うのも最高責任者である。それができないならば、最高責任者の職を受けるべきではない。
政権交代という美名のもとに発足した政権も、振り返れば内輪もめばかりがニュースになっている。国民をうならせる決断を見るには、まだ時間が必要ということのようである。素晴らしい大統領のもとで大躍進を続ける韓国と比較すると、日本の政界の停滞ぶりが、ますます鮮明になる。政治の世界が不安定だと、ビジネスの世界も活気がなくなる。ビジネスのグローバル化は、否応なしにますます進行していく。ビジネスのグローバル化には、政治のバックアップが必要不可欠であることを認識する必要がある。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
花王は2006年に、化粧品事業強化のため約4,000億円を投資してカネボウ化粧品を買収した。しかし、計画通りの成果は出ていない。原因は明白である。2社のブランドを温存したため商品の差別化が不明瞭で、カバーする顧客層が重複しているからである。そこで、花王はブランド数を削減して、売れる商品に経営資源を集中させる。売れ行きが不振という理由で商品を切り捨てるのは、既存のお客様を大事にするという考えと矛盾するのではないかと思われる。しかし、売れない商品をいつまでも温存して売れる商品に力を入れないことこそ、お客さまを大事にするという考えに矛盾していると考えるべきである。
化粧品のマーケティングはイメージの勝負である。ターゲットを絞って、各ターゲットに合った魅力的な女性をイメージリーダーとして、お客様に商品力を訴求しないと競争に勝てない。化粧品の商品力とは、小さな容器に入っている液体ではない。女性に自分ならではの美しさをつくり、自分の最高の魅力を男性に見せる用意ができたという満足を感じさせる力が商品力である。テレビで見る魅力的な女性も魅惑的な形をした容器も、商品力を構成する重要な要素であり、どれ一つ欠けてもいけないのである。競争に勝つためには、潜在顧客と既存顧客に向けて、競合他社が販売する商品とはっきりと差別化できるイメージを、商品ごとに提供することが必要である。
花王とカネボウの連合軍がもたもたしている間に、資生堂は、国内市場の縮小を正しく予測して、5年前に重点ブランドを4分の一に絞っている。そして、中国市場を開拓して、売り上げを大きく増加させている。ブランドの刷新を怠らなかった資生堂と、重複したブランドの整理ができなかった花王の差が開くのは当然で、化粧品部門に限定すると、資生堂と花王の売り上げは、2.4対1になっている。これだけ差が開くと花王が資生堂を逆転することはまず不可能である。
花王のケースを見ていると、日産自動車とプリンス自動車の合併が思い出される。日産セドリックとプリンスグロリアは、外観が少し違うだけで、内容はまったく同じ車であった。それでも、2004年まであきれるほど長期間、この二つの車種は並行して販売されていた。その間に、トヨタがクラウンに経営資源を集中して、「いつかはクラウン」という有名なキャッチフレーズとともに、トヨタのフラッグシップとして日本を代表する車に育て上げている。そして、蓄積された技術がセルシオの開発につながっていく。ゴーン社長が、日産で重複するブランドを切り捨て、大幅なコスト削減に成功したという事実は、日産がいかに重複によって無駄を垂れ流していたかということの証明でもある。
事業構造の改革は、まったなしである。弊害が顕在化してから、取り組むのでは遅い。常に、お客様の声を聴き、市場の動向を正しく予測し、商品構成を必要に応じて作り変えることが必要不可欠である。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
化粧品のマーケティングはイメージの勝負である。ターゲットを絞って、各ターゲットに合った魅力的な女性をイメージリーダーとして、お客様に商品力を訴求しないと競争に勝てない。化粧品の商品力とは、小さな容器に入っている液体ではない。女性に自分ならではの美しさをつくり、自分の最高の魅力を男性に見せる用意ができたという満足を感じさせる力が商品力である。テレビで見る魅力的な女性も魅惑的な形をした容器も、商品力を構成する重要な要素であり、どれ一つ欠けてもいけないのである。競争に勝つためには、潜在顧客と既存顧客に向けて、競合他社が販売する商品とはっきりと差別化できるイメージを、商品ごとに提供することが必要である。
花王とカネボウの連合軍がもたもたしている間に、資生堂は、国内市場の縮小を正しく予測して、5年前に重点ブランドを4分の一に絞っている。そして、中国市場を開拓して、売り上げを大きく増加させている。ブランドの刷新を怠らなかった資生堂と、重複したブランドの整理ができなかった花王の差が開くのは当然で、化粧品部門に限定すると、資生堂と花王の売り上げは、2.4対1になっている。これだけ差が開くと花王が資生堂を逆転することはまず不可能である。
花王のケースを見ていると、日産自動車とプリンス自動車の合併が思い出される。日産セドリックとプリンスグロリアは、外観が少し違うだけで、内容はまったく同じ車であった。それでも、2004年まであきれるほど長期間、この二つの車種は並行して販売されていた。その間に、トヨタがクラウンに経営資源を集中して、「いつかはクラウン」という有名なキャッチフレーズとともに、トヨタのフラッグシップとして日本を代表する車に育て上げている。そして、蓄積された技術がセルシオの開発につながっていく。ゴーン社長が、日産で重複するブランドを切り捨て、大幅なコスト削減に成功したという事実は、日産がいかに重複によって無駄を垂れ流していたかということの証明でもある。
事業構造の改革は、まったなしである。弊害が顕在化してから、取り組むのでは遅い。常に、お客様の声を聴き、市場の動向を正しく予測し、商品構成を必要に応じて作り変えることが必要不可欠である。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
愛知県豊田市周辺で最大級の家具小売チェーンが、名古屋地裁に民事再生手続きの開始を申し立てた。この企業は、豊田市周辺に焦点を当て、ドミナント戦略を積極的に推し進めた。嫁入り道具として収納家具を持参する傾向がうすれたことと、クローゼットなど備え付けの収納が充実した住宅が増えたことなどが原因で、売り上げが伸び悩んだ。しかし、売り上げが低迷するなか、この企業は店舗数をさらに増加し、地域の需要を根こそぎ取り込むことで生き残りを図った。
セブンイレブンが、開業してからしばらくの間、東京都江東区に焦点を合わせたドミナント戦略を推進し、現在の規模の基礎を築いたことは有名である。しかし、売り上げが伸びるにしたがって、適正規模を保って出店している。あまり知られていない事実であるが、セブンイレブンといえども、全国の都道府県に店舗が存在するわけではない。行き過ぎたドミナント戦略は、大きな問題をもたらす。つまり、同一地域内での販売店の数が多すぎると商圏が重なり、販売店同士が顧客を取り合う状況になっている。
マーケティングを考える場合、同一市場内に小さな問屋を数多く起用して、市場をくまなくカバーするよりも、有力な問屋を起用して、その問屋内でのシェアを拡大し、その結果として、市場でのプレゼンスを強化するべきである。普通、市場占有率は60%が限界と考えるべきである。それ以上、市場占有率を増やそうとすると、この破綻に追い込まれた企業のように、弊害が顕在化してビジネスに大きな打撃を与えることを銘記する必要がある。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
セブンイレブンが、開業してからしばらくの間、東京都江東区に焦点を合わせたドミナント戦略を推進し、現在の規模の基礎を築いたことは有名である。しかし、売り上げが伸びるにしたがって、適正規模を保って出店している。あまり知られていない事実であるが、セブンイレブンといえども、全国の都道府県に店舗が存在するわけではない。行き過ぎたドミナント戦略は、大きな問題をもたらす。つまり、同一地域内での販売店の数が多すぎると商圏が重なり、販売店同士が顧客を取り合う状況になっている。
マーケティングを考える場合、同一市場内に小さな問屋を数多く起用して、市場をくまなくカバーするよりも、有力な問屋を起用して、その問屋内でのシェアを拡大し、その結果として、市場でのプレゼンスを強化するべきである。普通、市場占有率は60%が限界と考えるべきである。それ以上、市場占有率を増やそうとすると、この破綻に追い込まれた企業のように、弊害が顕在化してビジネスに大きな打撃を与えることを銘記する必要がある。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
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