2009年 6月の記事一覧
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調査会社によると、現在20%を占める65歳以上の高齢者の割合は、23年には30%に達する。この予測に対応して、大手食品メーカーが高齢者向けの食品事業を拡大している。この戦略は基本的には、市場の細分化の典型といえるが、イノベーションとイミテーションの観点から考えると、少し違った分析ができる。つまり、大手食品メーカーの戦略は、食品市場という枠内でのイミテーション戦略ともいえる。もちろん、競争会社と同じ戦略で同じ商品を投入しても意味はない。そこで、市場をさらに細分化して、商品を差別化することが必要である。
現代は、イノベーションの社会であると考えてしまうが、実際は、イノベーションよりもイミテーションのほうが多いばかりでなく、企業に利益と成長をもたらしているのは、イミテーションなのである。早期にイミテーション戦略を選択すれば、他のイミテーターが参入するまで安定した利益を追求できる。逆に、イミテーション戦略の選択が遅いと、成功の機会を取り逃がす。どのような企業でも、自社で生み出せるイノベーションには限度がある。そのため、イミテーションは、激しい競争の時代に生き残るためには必要な戦略ともいえる。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
現代は、イノベーションの社会であると考えてしまうが、実際は、イノベーションよりもイミテーションのほうが多いばかりでなく、企業に利益と成長をもたらしているのは、イミテーションなのである。早期にイミテーション戦略を選択すれば、他のイミテーターが参入するまで安定した利益を追求できる。逆に、イミテーション戦略の選択が遅いと、成功の機会を取り逃がす。どのような企業でも、自社で生み出せるイノベーションには限度がある。そのため、イミテーションは、激しい競争の時代に生き残るためには必要な戦略ともいえる。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
日本酒大手が海外市場での生産・販売を強化している。欧米での和食ブームを追い風に海外での日本酒需要を開拓し、現地での供給能力も高める。少子高齢化が進む日本では、総ての企業は、減少する市場で限りあるパイの奪い合いをしている。しかし、海外市場に目を転じれば、発展途上国の経済成長など、ビジネス拡大に無限のチャンスが存在することが理解できる。ウィスキーが好きな日本人がいれば、日本酒が好きな欧米人がいても不思議ではない。味覚に国境はない。あるのは文化の違いだけである。
海外市場向けに、日本酒のもつイメージを刷新し、海外で育った日本酒文化を日本に逆輸入することも夢ではない。和食には日本酒が一番という固定観念を捨て、各国の文化に融合できる日本文化を輸出するという考えで、市場を開拓することが必要である。「花椿会」というマーケティングツールを使って、中国市場で着実にビジネスを拡大している資生堂の戦略が参考になる。中国料理の本場である中国では、ラーメンは売れないと考えている企業は、中国で大成功している日本のラーメンチェーン店があるという事実を認識する必要がある。ラーメンは日本が生んだ偉大な文化であると考えると、理解できる事実である。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
海外市場向けに、日本酒のもつイメージを刷新し、海外で育った日本酒文化を日本に逆輸入することも夢ではない。和食には日本酒が一番という固定観念を捨て、各国の文化に融合できる日本文化を輸出するという考えで、市場を開拓することが必要である。「花椿会」というマーケティングツールを使って、中国市場で着実にビジネスを拡大している資生堂の戦略が参考になる。中国料理の本場である中国では、ラーメンは売れないと考えている企業は、中国で大成功している日本のラーメンチェーン店があるという事実を認識する必要がある。ラーメンは日本が生んだ偉大な文化であると考えると、理解できる事実である。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
いよいよ日立製作所が「脱・総合電機」へと大きく舵を切る。日本を代表する超巨大企業であり、日本中の優秀な人材を集めた企業では、とにかく成長することが最優先課題になってしまう。投資家も、超優良企業なのだから、限りなく成長してくれるだろうと、勝手に思い込んでしまう。通常、戦略に対する脅威は、競合他社の戦略変化のような外的な要因によってもたらされる。しかし、内的な要因が大きな問題である場合も少なくない。
戦略に影響を与える内的要素のなかで、最も危険なものが成長願望である。先輩達が築き上げた売上No. 1の座は死守しなくてはいけない。そのために、限りなく売上を伸ばさなくてはならない。そして、顧客が持つ限りない要望を満たす商品を、次から次ぎに投入すれば、すべての顧客から受注でき、その結果売上が上がると考えてしまう。すでに飽和状態にある市場では、戦略のベクトルは、製品ラインの拡大、新仕様の追加へとエスカレートして、果ては、ライバル企業を買収して、売上増大をはかる。高収益構造を構築することなしに、売上だけに目を奪われ、成長を追い求める戦略は、いつかは行き詰る。売上至上主義で世界一の座を死守しようとしたGMの現状がすべてを物語っている。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
戦略に影響を与える内的要素のなかで、最も危険なものが成長願望である。先輩達が築き上げた売上No. 1の座は死守しなくてはいけない。そのために、限りなく売上を伸ばさなくてはならない。そして、顧客が持つ限りない要望を満たす商品を、次から次ぎに投入すれば、すべての顧客から受注でき、その結果売上が上がると考えてしまう。すでに飽和状態にある市場では、戦略のベクトルは、製品ラインの拡大、新仕様の追加へとエスカレートして、果ては、ライバル企業を買収して、売上増大をはかる。高収益構造を構築することなしに、売上だけに目を奪われ、成長を追い求める戦略は、いつかは行き詰る。売上至上主義で世界一の座を死守しようとしたGMの現状がすべてを物語っている。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
「これは一大事。我々のビジネスは消滅する」とアメリカ中の書店が大騒ぎした。アマゾンがインターネット上で書籍販売を始めたときの話ではない。19世紀末に、全米で図書館網の整備がすすみ、図書館の数が急増したときの話しである。しかし、書店主の心配をよそに、書店がなくなることはなかった。そして、アマゾンが売上を伸ばしているからといって、書店がなくなってしまったという話も聞かない。それどころか、大型書店は増え、ブックオフが業績を伸ばしている。
ここで必要なのは、競争と協調の視点である。つまり、ネット書店は、店舗書店と競争しているが、同時にお互いを補完する立場にあるということである。書店で実際に手にとって、気に入った本を購入する消費行動も、ネットを利用して、書評を参考にしながら自宅から本を購入する消費行動も、書籍の販売量を伸ばしていることになる。そして、究極的には、本の出版に関連する、書店、出版社、流通業者、作家のビジネスを活性化する結果となっている。大きな技術革新があると、ビジネスに劇的な変化が起こると考えがちであるが、消費行動は、劇的には変化しないものである。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
ここで必要なのは、競争と協調の視点である。つまり、ネット書店は、店舗書店と競争しているが、同時にお互いを補完する立場にあるということである。書店で実際に手にとって、気に入った本を購入する消費行動も、ネットを利用して、書評を参考にしながら自宅から本を購入する消費行動も、書籍の販売量を伸ばしていることになる。そして、究極的には、本の出版に関連する、書店、出版社、流通業者、作家のビジネスを活性化する結果となっている。大きな技術革新があると、ビジネスに劇的な変化が起こると考えがちであるが、消費行動は、劇的には変化しないものである。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
激震が続くデトロイト。ついにGMの一時国有化が決定した。これで、Big Threeで、本当の意味で生き残ったのはフォードだけとなった。フォードが生き残ったのは、新社長になったアラン・ムラリーに負うところが大きい。ボーイングからリクルートされてフォードの社長になった彼が最初にやったことは、ジャガーやランドローバーのような、不採算部門切り捨てである。そして、彼は、トーラスの復活と小型車への資源集中を決定した。
新社長の速断は、不採算部門をいつまでも切り捨てることの出来なかったGMと好対照である。事業環境が変化するにつれて、商品構成も見直す必要がある。売れない車を何とかして売れる車にするよりは、売れない車を切り捨て、売れる車をさらに売れる車にするのが理にかなった戦略である。1986年に発売され素晴らしい売れ行きを記録したトーラスの新型車がまもなくデビューする。新社長は、好調な売れ行きを見せた自社の素晴らしい車に注目せずに、他社の車に目を奪われた戦略の間違いを指摘している。最後に頼りになるのは、自社の技術である。技術革新は手を休めた企業が負ける。技術革新に必要な資金を確保する意味でも、不採算部門の切捨ては避けることの出来ない決断である。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
新社長の速断は、不採算部門をいつまでも切り捨てることの出来なかったGMと好対照である。事業環境が変化するにつれて、商品構成も見直す必要がある。売れない車を何とかして売れる車にするよりは、売れない車を切り捨て、売れる車をさらに売れる車にするのが理にかなった戦略である。1986年に発売され素晴らしい売れ行きを記録したトーラスの新型車がまもなくデビューする。新社長は、好調な売れ行きを見せた自社の素晴らしい車に注目せずに、他社の車に目を奪われた戦略の間違いを指摘している。最後に頼りになるのは、自社の技術である。技術革新は手を休めた企業が負ける。技術革新に必要な資金を確保する意味でも、不採算部門の切捨ては避けることの出来ない決断である。 (Written by Shigeo Sunahara of CBC, Inc.)
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