20年来のお付合いをさせて頂いている公認会計士の竹川先生にお願いして、セミナーを
開催しました。
私自身もかなり勉強になる内容で、特に株の対策や中小企業承継円滑化法などに関してはまだ理解していなかったことが沢山ありました。
ただ、この円滑化法を適用するためには1年以内での短期間での適用は無理であり、少なくとも3年~5年前からの準備(申請)が必要であるため、実際には使い勝手の悪い法律であるようです。

事業承継は「人的承継」と「資産の承継」という、大きく分けて2つのテーマがあります。今回は、「資産の承継」を中心にお話し頂いたのですが、特に利益の出ている企業の場合、株の対策は重要です。

ご存知ですか?「遺留分減殺請求対策」
・・・民法上では、例え遺言などがあったとしても最低限請求できる分配の割合が決まっており(=遺留分)、その権利を行使されると株式などが分散されてしまうことになります。また、承継者以外の株式所有者は、その株式を「買いとって欲しい」と請求することができるので、結果として莫大な現金が必要になってしまうことになります。
特に親兄弟であればまだ円満に話合いで解決できるのでしょうが、その配偶者や子供になってしまうと、泥沼になる可能性が高くなります。(事実、このために借金せざるおえなくなり、それが原因で倒産してしまう企業が結構あるそうです)
これを避けるためには、現経営者が元気なうちに、相続人(奥様・子供たちなど)から合意書を取り付けるなどの対策や、定款変更などが必要になります。

また、「人的承継」とは後継者の選定と育成のことであり、これも一朝一夕にできることではなく、中長期的な段取りと実践が必要となります。
ITなどの比較的新しい産業分野では、まだ若い経営者が多いのですが、それ以外の業種においては経営者の高齢化が進んでいるといったデータがあります。
「まだ元気」「俺は平気」といった意識は一旦横に置いておいて、将来に向けた承継対策は今すぐにても始めるべき重要テーマだと思います。

管理職の研修などで、よく「管理職の仕事とは?」といった質問を受けることがあります。勿論個々には色々とあるのだと思いますが、総論的に言えば『自分の任された組織の目標を達成すること』と『後継者を育てること』とお答えします。
この二つは、経営者にこそ本当の意味で当てはまるのではないでしょうか。