経営者と話していると、「うちの社員はみな受け身で自ら積極的に動いてくれる人がいない。どうすればよいか?」などといった声をよく耳にします。

そういった質問を受けた時は必ず「社員が自ら積極的に動くようになるために、社長自身何をされていますか?」と質問をするようにしています。

 

社員が自ら問題意識を持ち、何とかしてその問題を解決しようと積極的に行動を起こすようになるには、社長と社員、上司と社員、社員同士などでの“活きたコミュニケーション”があるかどうかが非常に重要な要素となります。大体の場合、考えに考えても答えが出ず、最終的に「あーもうどうでもなれ」と開き直って行動に移せば、意外なほど簡単に物事が進むことがよくあります。「できるかできないかではなく、やるかやらないかが重要だ」と言われますが、まさにその通りだと思います。

 

誰でもそうですが、それまでなかなか行動に移せないのは、現実を見る(失敗をする)のが怖い・不安だからです。だからこそ、その一歩を押してあげる“活きたコミュニケーション”の重要性があるのです。“活きたコミュニケーション”によって社長や上司、仲間により励まされて初めて自分と正面から向き合う場が生まれます。そして、自らで問題を認識し、社長や上司、仲間に今後の行動を約束するようになると、ようやく行動が変わるようになり、人は成長します。

 

お互いを深く理解し、お互いの姿勢を信頼し合ったもの同士のなかでは、一方的な利害の主張がなくなるため、お互いを探り合う無駄な時間がなくなります。そして、何が会社のために必要となるのかといった本質だけを考えればよくなり、コミュニケーション速度が速くなります。これが全ての階層間で起これば、どれほど無駄がなくなり効率的になることかは容易に想像できると思います。

 

では、“活きたコミュニケーション“を行うには、どうすればよいか?

 

まずその場が安全だという環境づくりが必要になってきます。相手から一方的に評価されたり、批判されたりすると、自分の中にある感情を決して表には出しません。そこから先は何も生まれなくなってしまいます。

 

安全な環境づくりができたら、経営者や上司であっても上からではなく、相手と対等な関係を意識して、今の気持ちや悩みなど相手の心の中にある感情を丁寧に聞き出さないといけません。その際の留意点としては、相手が抱えている悩みを本当に自分のことと思って解決すべく質問したり、助言したりする姿勢が重要です。

 

そうすれば、必ず自分自身で問題を認識し行動するようになってきます。

 

“活きたコミュニケーション”を行うことはなかなか難しいですが、初めから「俺には出来ない」ではなく、まずはチャレンジしてみてください。実施してみれば、その効果を実感できるはずです。