昨今の厳しい経営環境下においては、どんな会社でも上司は、少なからず部下の現状を把握し、役割に応じた目標を立てるということを普段の仕事の中で誰でもやっていることでしょう。

しかし、部下は自分がどのようなプロセスで目標を設定しているのかを十分に自覚できているといえるでしょうか?また、本当に自分が望むものとして目標を設定できているでしょうか?さらに、自分自身が置かれている状況について思いこみや見落としがないかをチェックできているでしょうか?

目標設定のプロセスの中で上司と部下との間で、どのようなコミュニケーションが行われているかが、目標達成に大きく影響しています。成果を出すために上司が行うことは、このような目標の設定と現状の明確化をサポートすることです。

売上目標の達成、コストの削減、期日までのプロジェクトの完了など、人は日々の仕事の中で様々な数値や日程を使った目標を立てています。
しかし、それが、
① 自分にとって何を達成することにつながるのか(目的面)、
② 目標を達成したらどのような状態が生まれるのか(環境面)、
③ 目標を達成できたらどのような気持ちになるか(感情面)、
④ どのような行動をとることで目標を達成することができるのか(行動面)、
といったことまではっきりとイメージできていない場合が多いと思います。

これら4つの側面をしっかりとイメージできている場合とそうでない場合とでは、部下の目標達成のための取組みに対するモチベーションが格段に違ってきますので、結果はおのずと違ってきます。上司は、それをしっかりと意識してサポートする必要があります。

例えば、①のこの目標を達成することで自分にとって何を達成することにつながるのかについては、部下が、これまで働いてきて、どんなときに達成感や充実感を感じたか、その時どういった点についてどんなことを感じたか、その前と後では何が変わったかなど『部下のこれまでの人生の中での最高の瞬間』を上司が把握していなければ、適切なサポートをすることができません。上司は、日頃からそのような質問をして部下の心の状態を把握する努力が必要となってきます。

次に、目的面、環境面、感情面、行動面について目標の輪郭が明らかになってきたら、部下が立てた目標が適切な目標であるかを評価・検証する必要があり、これを上司が支援します。

具体的には、
① 具体的に何ができるようになったらいいか(具体性)、
② どのくらいの期間でやろうとしているのか(時間枠)、
③ トラブルに対応することは可能か、コストは大丈夫か(実現性)、
④ 実際に自分の力でやることはできるか(達成可能性)、
⑤ 目標達成はどのように確かめられるか(計測可能性)
を質問を投げかけながら一緒に評価・検証していきます。

設定した目標をこれらの観点で事前に評価・検証することで、達成に向けた取り組みのイメージが固まるとともに、実際に取組を始めた後での進捗の把握を一緒に行うことが可能となります。

ぜひ、皆様も部下の目標設定支援に活用してみてください。