団地①
記事投稿日2014年12月04日木曜日
投稿者:一般社団法人エースマンション管理士協会 カテゴリー: General
1 団地の成立
一団地内に数棟の建物があって、その団地内の土地又は附属施設
(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者(専有部分の
ある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合には、それら
の所有者(以下「団地建物所有者」という。)は、全員で、その団地内
の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体
を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、
及び管理者を置くことができる(区分所有法65条)。つまり、団地管理
組合の成立である。
〇 団地建物所有者というのは、1棟の区分所有建物における「区分
所有者」に代わる用語であり、団地特有の用語であるので、その意味
をしっかりと理解すること。土地等を共有する建物(戸建てと区分所
有建物)の所有者である。
団地が成立するためには、①一団地内に数棟の建物があること、
②その団地内の土地又は附属施設がそれらの建物所有者の共有に
属することが必要である。
① 数棟の建物は、区分所有建物に限らず戸建て建物でもよい。し
たがって、戸建て建物のみが数棟ある場合に、①戸建て建物の所有
者全員で土地又は附属施設を共有する場合には、その土地又は附
属施設を管理するため、団地管理組合が成立する。その他、②戸建
てと区分所有建物、③区分所有建物のみの団地が成立する。
〇 団地内に区分所有建物が存在する場合、団地管理組合と棟ごと
の管理組合が併存することになることを理解すること。また、土地や
附属施設の共有状態によっては、複数の団地管理組合が重畳的に
成立することに注意すること。
後に述べるように、①第三節「敷地利用権」、②第七節「義務違反
者に対する措置」、③第八節「復旧・建替え」の規定は団地に適用
されないので、これらは棟ごとに処理されることになるが、建替えに
ついては、団地について特別の規定が置かれている。
② 区分所有法は、第二章として「団地」について規定しているが、
第一章の「建物の区分所有」に関する多くの規定を準用するとし
ている。建物の区分所有「等」に関する法律は、区分所有建物だ
けについて規定しているわけではないのである。
2 建物の区分所有に関する規定の準用(区分所有法66条)
① 先取特権・特定承継人の責任
② 団地管理物の変更・管理
土地等(共有の土地と附属施設のこと)の共有物や団地規約に
よって団地の管理目的物とされた物(この団地規約によって団地
の管理目的物にされた物(区分所有法68条1項1号、2号)につい
ては、後に詳しく述べる。)変更・管理に関する決議要件、保存行
為に関しては共有者が単独でできることなどが準用されている。
③ 団地の管理者
団地建物所有者は、団地の管理者を選任・解任できる。団地の
管理者の権限は、団地の管理目的物を保存し、集会の決議を実
行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
団地の管理者は、その職務関し団地建物所有者を代理する。ま
た、団地建物所有者のため原告・被告となる。
管理所有の規定(区分所有法27条)の準用はない。
④ 団地の規約
団地の管理目的物に関する管理又は使用に関する団地建物所
有者相互間の事項は、規約で定めることができる。団地の規約の
設定、変更又は廃止は、団地建物所有者及び議決権の各4分の
3以上の多数による団地の集会の決が必要である。
ただし、後にも述べるが、68条1項各号に掲げる物について規
約を設定するには、これらの共有者の特別多数の同意等が必要
である。
規約の保管及び閲覧に関する規定も準用されている。
⑤ 団地の集会
団地の集会は、毎年1回、団地の管理者(団地管理者)が招集す
る。
各団地建物所有者の議決権は、土地等(これらに関する権利を含
む)の持分の割合による。ここでいう土地等というのは、全員の共有
に係る土地と附属施設である。
集会の招集・通知、議事、議事録、書面決議等も準用されている。
⑥ 団地の規約や集会の決議の効力は、団地建物所有者の特定承
継人対してもその効力を生ずる。
⑦ 団地管理組合法人も認められる。
〇 団地には建物区分所有の規定が準用されているが、建物区分所
有の規定は、多く読み替えたうえで準用されている場合が多い。団地
は、戸建ての建物もあり、また、団地の性格から、用語を読み替える
必要がある。団地の規定が分かりにくいというのは、これも一因であ
る。
〇 団地においては、「区分所有者」に代わって、「団地建物所有者」
となっている。区分所有者は1棟の建物の場合についてのみ適用さ
れるものであり、団地では、団地建物所有者という。団地建物所有
者とは、先にも見たが、土地等を共有する建物(戸建てと区分所有
建物)の所有者のことである。
〇 集会の決議は、区分所有者及び議決権の各4分の3、過半数な
どとなっているが、団地の集会においては、「団地建物所有者」及び
議決権となる。ここでの議決権とは、2の⑤で見た、土地等(共有の
土地と附属施設のこと。これらに関する権利を含む)の持分の割合
により決まる。
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