敷地利用権の持分割合
記事投稿日2014年08月29日金曜日
投稿者:一般社団法人エースマンション管理士協会 カテゴリー: General
1 敷地利用権に対する区分所有者の一般的な持分割合については、区分所有法
に直接の定めはない。
建物の共用部分の共有持分については、その有する専有部分の床面積による
という規定がある(区分所有法14条1項)。しかし、建物の敷地又は共用部分以
外の附属施設が区分所有者の共有に属する場合には、共用部分の変更や管理
に関する規定(17条から19条)は準用しているが、その持分の割合の規定(14
条)などは準用していない(区分所有法21条)。だから、これらの持分の割合は民
法の規定が適用され、当事者が契約(合意)で決めない限り、その持分は平等と
推定される(民法250条)。
2 1で述べたことは、区分所有者が全員でマンションを建設し、それぞれ区分所有
建物を取得する場合、敷地権の割合について、区分所有法の一般的な定めがな
いから、各区分所有者の契約で決めればそれにより、契約で決めなければ平等
になるわけである。
区分建物と敷地の関係は、マンションの規模や敷地の利用関係等それぞれの
事情があり、共用部分の共有持分割合のように、区分所有法で一般的に規定す
るのは妥当でないという判断が働いているのである。
しかし、分譲業者がマンションを建てて一般に分譲する場合については事情が
異なる。この場合は、分譲前にあらかじめ敷地利用権の持分割合を定めておく
必要性が非常に高い。次の3でこのことについて見ることにする。
3 専有部分と敷地利用権が一体とされている場合において、区分所有者が数
個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、区
分所有法14条1項から3項までに定める割合によると定めている(区分所有法
22条2項本文)。つまり、この場合には、敷地利用権の持分割合は、その有す
る専有部分の床面積の割合によるとされている。
これは、マンションを建てた分譲主が、当該マンションを分譲する場合につい
て定めた規定である。
分譲業者がマンションを分譲するときに、その敷地利用権の割合が定まって
いなければ、分譲をするのに極めて不便である。また、敷地利用権の割合の
登記はマンションの登記の表題部にする必要があり、その表題登記の申請は
マンションが完成してから1ヵ月以内に分譲業者によってなされなければなら
ないことになっている(不動産登記法47条1項)。さらに、マンションの場合、表
題登記の申請は1棟の建物全部について一括してしなければならない(不動
産登記法48条1項)。この登記との関係でも、区分所有法22条2項のような規
定が必要である。
ただし、分譲業者は、公正証書によって定める規約で、この割合と異なる割
合を定めることができることになっている(区分所有法22条2項ただし書、32
条)。例えば、その規約で敷地利用権の割合を平等とすることができる(この
場合、100戸の分譲マンションであれば、各区分所有者は、区分所有する住
戸1戸につき1/100の共有持分を有するなどと規定される。)。
分譲マンションの買主は、自分の敷地利用権の持分割合がいくらになって
いるかを承知の上で購入できるわけである。
4 大多数のマンション管理規約では、敷地利用権の持分割合を、共用部分の
持分割合と同じように、専有部分の床面積の割合によるとされている。大多
数のマンションが分譲マンションだからである。管理規約の別表を見てほしい。
敷地利用権に対する区分所有者の一般的な持分割合については、区分所
有法に直接の定めはないということは、何度か管理業務主任者試験に出題さ
れているが(平成22年度問1の肢4等)、それはもちろん正しい。ただ、現実の
マンションは、ほとんどが分譲マンションであり、3で述べたようになっていると
いうことを理解してほしい。
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