宅建・管業 過去のミス問題の検討⑥
記事投稿日2014年04月21日月曜日
投稿者:一般社団法人エースマンション管理士協会 カテゴリー: General
平成23年度宅建試験
〔問 27〕 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関
する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 A社の役員Bは、宅地建物取引業者C社の役員として在籍していたが、そ
の当時、C社の役員Dがかつて禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が
終わった日から5年を経過していないとしてC社は免許を取り消されている。
この場合、A社は、C社が免許を取り消されてから5年を経過していなくても、
免許を受けることができる。
2 E社の役員のうちに、刑法第246条の詐欺罪により罰金の刑に処せられ、
その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者がいる場合、E社は免
許を受けることができない。
3 F社の役員のうちに、指定暴力団の構成員がいた場合、暴力団員による
不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反していなくても、F社は免
許を受けることができない。
4 宅地建物取引業者G社は、引き続いて1年以上事業を休止したときは、
免許の取消しの対象となる。
〇1 正しい。C社の役員Dがかつて禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執
行が終わった日から5年を経過していないとしてC社が免許を取り消され
ても、5年間免許の欠格となるものではないから、C社の役員であったB
も5年間欠格となるものではない(業法5条2号)。よって、A社は、C社が
免許を取り消されてから5年を経過していなくても、免許を受けることが
できる。
×2 誤り。一定の犯罪で罰金刑に処せられた場合、免許の欠格となる。し
かし、刑法第246条の詐欺罪はその一定の犯罪に入っていない(業法5
条3号の2)。というよりも、刑法第246条の詐欺罪には選択刑として罰金
刑がないので、詐欺罪で罰金の刑に処せられるということはあり得ない。
出題者の勘違いと思われる。いずれにしても誤りであることに変わりは
ない。
〇3 正しい。指定暴力団の構成員の場合、暴力団員による不当な行為の
防止等に関する法律の規定に違反していなくても、「宅建業に関し不正
または不誠実な行為をするおそれが明らかな者」に該当し(業法5条5
号)、F社は免許を受けることができない。
〇4 正しい。宅地建物取引業者は、引き続いて1年以上事業を休止したと
きは(正当な理由の有無を問わない)、免許の取消しの対象となる(業法
66条1項6号)。
注→ 肢2について、「刑法第246条の詐欺罪により罰金の刑に処せられ、」
とあるが、出題者は、刑法246条の条文を見て出題したのであろうか。
詐欺罪には、狭義の詐欺罪(246条1項)と、詐欺利得罪(同2項)とが
あるが、いずれも、10年以下の懲役である。詐欺罪を犯しても、罰金
刑に処せられることはない。この問題の解説で、「刑法246条の詐欺
罪により罰金の刑に処せられても免許の欠格要件に該当しない。」と
いうようなものがあるが、そもそも詐欺罪を犯しても、絶対に罰金の刑
に処せられることはない。この肢は誤り(でたらめ)であることには、変
わりないのであるが、出題者の法的な知識ないしはセンスを大いに疑
う。
もし、逆に「刑法246条の詐欺罪により罰金の刑に処せられても、免
許の欠格要件に該当しない。」という肢が出た場合、これを正しい肢と
すべきか。しかし、詐欺罪で罰金刑に処せられることはないのである
から、正しい肢とすべきではない。
刑法の暴行罪、傷害罪、背任罪、脅迫罪等は、懲役刑の他、法定
刑に罰金の刑が定められている。これらの犯罪の性質上、例え軽い
罰金の刑が選択された場合でも、免許等の欠格事由としたのである。
同じような犯罪である逮捕・監禁罪、横領罪、恐喝罪、強盗罪、そして、
設問の詐欺罪等は、法定刑は懲役刑のみである。だから、罰金刑に
処せられた場合に欠格になるなどということが問題にならないのであ
る。
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