宅建・管業 過去のミス問題の検討②
記事投稿日2014年04月02日水曜日
投稿者:一般社団法人エースマンション管理士協会 カテゴリー: General
平成21年度宅建試験
【問 38】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者で
ない買主Bとの間で締結した売買契約に関する次の記述のうち、宅地建物
取引業法 (以下この問において「法」という。) 及び民法の規定によれば、
誤っているものの組合せはどれか。
ア AがBとの間で締結した中古住宅の売買契約において、当該住宅を現
状有姿で引き渡すとする特約と、Aが瑕疵担保責任を負わないこととする
特約とを定めた場合、その特約はいずれも有効である。
イ Aは、Bとの間で建物の売買契約を締結する前に、法第35条の規定に
基づく重要事項として当該建物の瑕疵の存在について説明し、売買契約
においてAは当該瑕疵について担保責任を負わないとする特約を定めた
場合、その特約は有効である。
ウ AがBとの間で締結した建物の売買契約において、Aは瑕疵担保責任
を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが瑕
疵担保責任を負う期間は当該建物の引渡しの日から2年間となる。
1 ア、イ
2 ア、ウ
3 イ、ウ
4 ア、イ、ウ
×ア 誤り。現状有姿で引き渡すとの特約(契約後引渡しまでに目的物の
状況に変動があったとしても、売主は引渡し時の状況のままで引き渡
す特約)は、有効である。しかし、瑕疵担保責任を負わない旨の特約
は、売主が業者で、買主が業者ない場合、民法よりも買主に不利な特
約として無効となる(宅地建物取引業法40条)。
イについて、正しいとしている問題集がある。しかし、「法35条の規定に
基づく重要事項として当該建物の瑕疵の存在について説明し、」とあるが、
瑕疵担保責任に関する事項は重要事項ではない。建物の瑕疵は、法47
条1号の「重要な事実」とはなる。売主が建物の瑕疵を知りながらこれを買
主に告げなかったら、重要な事実の不告知として、刑罰を受ける。
法35条の規定に基づく重要事項として説明し、とあるのは明らかに誤り
である。
後半については、民法上の瑕疵担保責任は、隠れた瑕疵でなければな
らない。つまり、買主が瑕疵について、善意・無過失の場合に認められる
ものである(判例)。あらかじめ、瑕疵の存在がわかって売買されれば、瑕
疵担保責任の問題は生じないと解釈されている。設問では、売主が瑕疵
の存在について説明しているので、買主は当瑕疵を知っているので、そも
そも、売主は瑕疵担保責任を負わないのである。特約は民法の規定する
当然のことを特約しているので、もちろん有効である。
×ウ 誤り。瑕疵担保責任を一切負わないとする特約は、民法よりも買主
に不利な特約として無効となる(同法40条)。この場合には、民法の規
定が適用されることとなり、瑕疵担保責任の責任期間は、買主が瑕疵
を知った時から1年以内となる(民法566条3項、570条)。
公式の正解は、アとウが誤りとして、2を正解としているようであるが、イ
も誤りである。
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