先日古いパソコンが故障したので、新しいパソコンに変更した。ところが、

そのせいで、前にブログで公開した平成25年度の宅建試験の解説が改行

されずに、ずっと繋がったままになってしまい、大変読みずらくなってしまっ

た。宅建業法の解説は何ら変更されていないのに、権利関係と法令その他

は変更されてしまった。ワードから同じように貼り付けたのに、なぜ変になっ

たのか、さっぱり分からん。

 新しく入力して改行したら、勝手に一行開いてしまう。これも分からん。

宅建業法の解説も再び載せることにする。

 これを参考にして下さっている方々には大変ご迷惑をおかけしました。

【問 26】 正解 1

○1 正しい。道路交通法違反により罰金の刑に処せられても、免許の欠格要件で

はなく(業法5条1項3号の2参照)、A社の免許は取り消されることはない。

×2 誤り。刑法第222条(脅迫)の罪により罰金の刑に処せられた場合、免許の

欠格要件に該当する。宅建業者の単なる使用人と異なり、宅建業を行う支店の

代表者(政令で定める使用人である)が免許の欠格要件に該当するようになった

場合、会社の免許は取り消される(業法5条1項3号の2、7号)。

×3 誤り。刑法第208条の3(凶器準備集合及び結集)の罪により罰金の刑に処

せられた場合、免許の欠格要件に該当する。法人の役員(非常勤も含まれる)が

免許の欠格要件に該当するようになった場合、法人(会社など)の免許は取り消さ

れる(業法5条1項3号の2、7号)。

×4 誤り。懲役の刑に処せられた場合、どのような犯罪であっても免許の欠格要

件に該当する(業法5条1項3号)。そして、法人の役員が懲役刑に処せられて、

実刑ではなく、執行猶予が付されても、法人の免許は取り消される(同7号)。

※ 免許を受けた後に免許の欠格事由が発生した場合には、免許の取消事由に

なるということを理解してほしい。

【問 27】 正解 1

○1 正しい。宅建業者は、免許の取消処分(処分の理由は問わない)を受けた場

合であっても、営業保証金を取り戻すことができる(業法30条1項)。

×2 誤り。信託業法の免許を受けた信託会社は、国土交通大臣に届け出ることに

よって国土交通大臣の免許を受けた宅建業者とみなされる(業法77条)。このよう

に信託会社は、免許を受けていないため免許に関する規定は適用されない。よっ

て、免許を取り消されることはない。業務停止処分などは受ける。

×3 誤り。宅建業者が、本店を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、

遅滞なく、従前の本店の最寄りの供託所に対し、営業保証金の保管換えを請求し

なければならないのは、金銭のみで供託している場合である(業法29条1項)。そ

れ以外の場合には、一度、新しい本店の最寄りの供託所に供託をしなければなら

ない。

×4 誤り。宅建引業者は、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事か

ら、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった旨の通知を受けた

ときは、「供託額に不足を生じた日」からではなく、免許権者から補充供託の通知

書の送付を受けた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければならない

(業法28条1項)。

【問 28】 正解 2

×ア 誤り。指定流通機構に登録した宅建業者は、登録にかかる契約が成立した

ときは、遅滞なく、登録番号、取引価格、売買契約の成立した年月日を指定流通

機構に通知しなければならない(規則15条の11)。売主及や買主の氏名は通知

事項ではない。

○イ 正しい。宅建業者は、売買等の媒介契約を締結し依頼者に対して宅地・建物

を売買すべき価額又はその評価額(交換の場合である)について意見を述べると

きは、その根拠を明らかにしなければならない(業法34条の2第2項)。

○ウ 正しい。専任媒介契約の有効期間は3ヶ月を超えることはできない(業法34

条の2第3項)。この有効期間は、依頼者の申出により更新することができるが、更

新の時から3月を超えることができない(業法34条の2第4項)。

 以上より、正しいものは、イとウの二つであり、2が正解。

【問 29】 正解 2

×1 誤り。重要事項の説明義務は宅建業者に義務付けられているのであり、宅建

業者でない者が売主となる場合、重要事項の説明義務はない。買主となろうとする

者は、例え宅建業者であっても重要事項の説明義務はない(業法35条1項)。設問

のような取引においては、重要事項の説明は必要ないのである。

○2 正しい。建物の管理が管理会社に委託されている当該建物の賃貸借契約の

媒介をする宅建業者は、当該建物が区分所有建物であるか否かにかかわらず、

その管理会社の商号又は名称及びその主たる事務所の所在地を、借主に説明し

なければならない(業法35条1項6号、規則16条の2第8号、業法35条1項14号、

規則16条の4の3第12号)。

×3 誤り。区分所有建物の売買において、売主が宅建業者である場合(買主が業

者であろうがなかろうが同じこと)、当該売主は当該買主に対し、当該一棟の建物

に係る計画的な維持修繕のための修繕積立金積立総額(マンション全体の積立金

総額のこと)及び売買の対象となる専有部分に係る修繕積立金額の説明の他、滞

納(積立金総額の滞納額と売買の対象となる専有部分に係る滞納額の双方)があ

れば、その額について説明をしなければならない。

×4 誤り。宅建業者間の売買契約においても、当該売主は当該買主に対し、供託

所等の説明をするようにしなければならない(業法35条の2)。

【問 30】 正解 4

×1 誤り。宅建業者間の宅地又は建物の売買おいても、重要事項説明は行わな

ければならない。そして、重要事項の説明は書面を交付してしなければならない

(業法35条1項)。

×2 誤り。宅建業者が、取引主任者をして取引の相手方に対し重要事項説明を

させる場合、当該取引主任者は、取引の相手方から請求がなくても、宅地建物取

引主任者証を相手方に提示しなければなない(業法35条4項)。この点は正しい。

しかし、提示しなかったときは、「20万円以下の罰金」ではなく、「10万円以下の

過料」に処せられることがある。

×3 誤り。建物(昭和56年5月31日以前に新築)が、一定の者(指定確認検査機

関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体)による耐震診断を受けた

ものであるときは、宅建業者は、売買・交換の媒介に限らず、貸借の媒介の場合に

もその内容を重要事項説明において説明しなければならない(業法35条1項14号、

規則16条の4の3第5号)。

○4 正しい。宅建業者は、重要事項説明において、取引の対象となる宅地又は建

物が、津波防災地域づくりに関する法律の規定により指定された津波災害警戒区

域内にあるときは、その旨を説明しなければならない(業法35条1項14号、規則

16条の4の3第3号)。

【問 31】 正解 2

×ア 誤り。自ら貸主として契約を締結した場合、それは宅建業に該当せず、例え

貸主が宅建業者(宅建業と賃貸業を兼業しているわけである)であっても、その相

手方に37条書面を交付する義務はない。宅建業者が賃貸借契約を媒介する場合

には、媒介は宅建業に該当し、媒介業者は、貸主借主双方に対して37条書面を

交付しなければならないことと区別して理解すること。また、宅建業者が自ら売主

(又は買主)として契約を締結(宅建業である)した場合、その相手方に37条書面

を交付しなければならないことも理解すること。

○イ 正しい。宅建業者は、建物の売買に関し、その媒介により契約が成立した場

合に、当該売買契約の各当事者のいずれに対しても、37条書面を交付しなけれ

ばならない。重要事項説明と異なることに注意。

○ウ 正しい。宅建業者は、建物の売買(貸借)に関し、その媒介により契約が成

立した場合に、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定め(危険負担

の特約である)があるときは、その内容を記載した37条書面を交付しなければな

らない。

×エ 誤り。宅建業者間の売買においては、売主は買主に対し、買主は売主に対し、

37条書面を交付しなければならない。重要事項説明と異なり、買主が宅建業者で

あれば、相手方である売主に対して37条書面の交付が必要であることに注意。

そして、宅建業者間の売買を媒介した宅建業者は、売主と買主に37条書面の交

付が必要である(イ参照)。

 以上により、正しいものの組み合わせは、イとウであり、2が正解。

【問 32】 正解 2

×ア 違反する。未完成で、かつ、建築確認の済んでいない建物については、宅

建業に関する全ての広告が禁止されている(業法33条)。

○イ 違反しない。アで見たように、未完成で、かつ、建築確認の済んでいない建

物については、宅建業に関する全ての広告が禁止されている(業法33条)が、

貸借(賃貸借と使用貸借)の代理・媒介そのものは禁止されていないことに注意

(業法36条)。つまり、貸借の代理・媒介を広告なくしてすることは違法ではない

のである。

○ウ 違反しない。建築確認が済んでいれば、未完成の建物であっても、宅建業

の契約の締結の制限(業法36条)はなくなる。広告についての制限もなくなる(業

法33条)。また、建築確認がなくても、建物が完成すると、広告の制限も、取引の

制限も同じようになくなることに注意。

×エ 違反するアで見たように、未完成で、かつ、建築確認の済んでいない建物

については、宅建業に関する全ての広告が禁止されている(業法33条)。

 以上より、違反しないものの組み合わせは、イとウであり、2が正解。

【問 33】 正解 2

×1 誤り。管理組合の総会の議決権に関する事項については、重要事項の説明

事項に入っていない(業法35条)。

○2 正しい。分譲マンションの売買の媒介を行う場合、建物の区分所有等に関す

る法律第2条第4項に規定する共用部分に関する規約の定めがあればその内容、

まだ、案の段階であれば、その案の内容を説明しなければならない(業法35条1

項6号、規則16条の2第2号)。

×3 誤り。建物の貸借の媒介を行う場合、建築基準法に規定する容積率及び建

ぺい率に関する制限については、その説明をする必要はない(業法35条1項2号、

施行令3条)。容積率や建ぺい率は、土地についての制限であり、土地の売買・貸

借、建物の売買には必要であるが、建物の貸借には必要がないからである。

×4 誤り。建物(マンションも含む)の貸借の媒介を行う場合、借賃以外に授受され

る金銭の定めがあるときは、その金銭の額、授受の目的を説明しなければならない

(業法35条1項7号)。しかし、保管方法については説明の必要はない。そもそもこれ

らの金銭を保管しておく必要もない。

【問 34】 正解 3

×1 誤り。喫茶店において買受けの申込みをした場合(買主が自ら指定した場合で

も同じこと)、クーリング・オフの適用があり、買主は契約を解除できる。売主は、既に

支払われている手付金等の一切の金銭を返還しなければならない(業法37条の2

第3項)。契約の無条件の解除等を認めているのである。

×2 誤り。ホテルのロビーにおいて買受けの申込みをした場合、クーリング・オフの

適用がある。ただし、その際にクーリング・オフについて書面で告げられ場合には、

告げられた日から起算して8日を経過すると、契約の解除等はできなくなる(業法

37条の2第1項1号)。したがって、月曜日に告げられた場合には、翌週の月曜日ま

でに契約の解除をすることができるのである。火曜日にはできなくなる。

○3 正しい。売主より当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼は受けていな

い宅建業者であるハウスメーカーの事務所において買受けの申込みをした場合、

クーリング・オフの適用がある(規則16条の5参照)。その際、クーリング・オフにつ

いて書面で告げられているが、2で見たように、その6日後に、Bが契約の解除の

書面をA社に発送しているので、Bは売買契約を解除することができる。8日以内

に解除等の書面を発すれば、その効力が認められる(業法37条の2第2項)。発

信主義である。

×4 誤り。申込みをした場所が、10区画の宅地を販売する案内所で土地に定着

する案内所であれば、クーリング・オフの適用はないが、テント張りの案内所であ

るので、クーリング・オフの適用がある(規則16条の5)。その後、事務所で契約を

締結した場合でも、クーリング・オフの適用はある。代金全額を支払っても、さらに、

物件の引渡しがなければ、買主は、契約の解除ができる(業法37条の2第1項2

号)。売主は契約の解除を拒むことができない。

【問 35】 正解 2

×ア 記載事項ではない。保証人の氏名及び住所は記載事項ではない。

○イ 記載事項である。建物の引渡しの時期は必要的な記載事項である。

○ウ 記載事項である。借賃の額並びにその支払の時期及び方法は必要的な記載

事項である。

×エ 記載事項ではない。媒介に関する報酬の額は媒介書面の記載事項である。

×オ 記載事項ではない。借賃以外の金銭の授受に関する定めがある場合、その

額、授受の時期・目的は記載事項であるが、授受の方法は記載事項ではない。

 以上よりイとウが正しく、2が正解。

エースビジネス学院   民本廣則

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