平成25年度 管理業務主任者試験解説③
記事投稿日2014年02月14日金曜日
投稿者:一般社団法人エースマンション管理士協会 カテゴリー: General
【問 7】 正解 4
×1 不適切。マンション管理業者は、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理
業務の管理事務の全部又は一部を第三者に再委託することができるが、事務
管理業務については、一部の再委託はできるが、全部の再委託はできない(標
準管理委託契約書4条1項)。マンション管理適正化法74条で基幹事務につい
ては、一括再委託を禁止しているので、これを踏まえて規定されているのである。
×2 不適切。マンションの管理事務の対象部分とは、管理規約により管理組合
が管理すべき部分のうち、マンション管理業者が受託して管理する部分をいう。
この点は正しい。しかし、区分所有者が管理すべき部分は含まれない(標準管
理委託契約書2条、コメント①)。
×3 不適切。管理委託契約の有効期間が満了する日の3月前までに契約の更
新について申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新
に関する協議がととのわないときは、管理組合及びマンション管理業者は、本契
約と同一条件で、期間を定めて暫定契約を締結することはできる(標準管理委託
契約書21条1項、2項)。
〇4 適切。マンション管理業者が、書面をもって注意喚起したにもかかわらず、
管理組合が承認しなかった事項に起因して、管理組合又は管理組合の組合員等
が損害を受けたとき、当該マンション管理業者は、その損害を賠償する責任を負
わない(標準管理委託契約書17条2号)。
【問 8】 正解 1
〇1 適切。当該組合員の負担に係る管理費及び修繕積立金等については、月額
並びに滞納があるときはその金額を書面をもって開示することになっている(標準
管理委託契約書14条1項1号)。
×2 不適切。マンションの修繕の実施状況については、書面をもって開示すること
になっているが(標準管理委託契約書14条1項3号)、専有部分は除かれる(同か
っこ書)。
×3 不適切。管理費等の改定の予定及び修繕一時金の徴収の予定並びに大規模
修繕の実施予定(理事会で改定が決議されたものを含む)がある場合には、書面で
開示することになっている(標準管理委託契約書14条関係コメント③)。
×4 不適切。マンション管理業者が提供・開示できる範囲は、標準管理委託契約書
第14条(コメントを含む)に限られるのであり、宅地建物取引業者から求められたすべ
ての範囲ではない。
【問 9】 正解 2
〇ア 正しい。マンション管理業者がマンション管理適正化法上の処分(指示・業務停
止・登録の取消し)を受けたときは、マンション管理業者は、速やかに、書面をもって、
管理組合に通知しなければならない(標準管理委託契約書12条2項5号)。
×イ 誤り。マンションの管理組合の組合員がその専有部分を第三者に貸与したとき
も(標準管理委託契約書12条2項2号)、管理組合の役員又は組合員が変更したとき
も(同1号)、管理組合は、速やかに、書面をもって、マンション管理業者に通知しなけ
ればならない。
×ウ 誤り。マンション管理業者が銀行の取引を停止されたとき、若しくは破産、会社
更生、民事再生の申立てをしたとき、又は破産、会社更生、民事再生の申立てを受
けたときは、速やかに、書面をもって、管理組合に通知をしなければならない(標準管
理委託契約書12条2項6号、18条2項1号)。破産、会社更生、民事再生については、
自ら申立てをしたときも、第三者が申立てをしたときも、通知が必要である。
〇エ 正しい。マンション管理業者が商号又は住所を変更したときは、マンション管理
業者は、速やかに、書面をもって、管理組合に通知しなければならず(標準管理委託
契約書12条2項3号)、マンション管理業者が合併又は会社分割をしたときも(標準管
理委託契約書12条2項4号)、同様に通知しなければならない。
以上より、正しいものの組み合わせは、ア、エであり、2が正解。
【問 10】 正解 3
〇1 正しい。時効の中断事由は、①請求、②差押え、仮差押え又は仮処分、③承認
である。滞納している区分所有者が、管理組合あてに滞納している事実を認める書面
を提出したときは、債務者が債務があることを自ら認めているので、承認として、時効
が中断する(民法147条3号)。
〇2 正しい。滞納している区分所有者が、破産手続開始の決定を受けた場合、管理
組合がその破産手続において債権の届出をしたときは、債権者が破産手続きに参加
して債権の支払いの請求(裁判上の請求の一つである)をしていることになるので、時
効が中断する(民法147条1号、152条)。ただし、債権者(管理組合)がその届出を取
り下げ、又は届出が却下されたときは、時効中断の効力は生じないことになっている。
×3 誤り。共同相続人間で遺産分割協議が調わないということは、時効中断事由の
請求でもないし、差押さえ等でないし、債務者が債務を承認しているわけでもない。時
効は中断しない。
〇4 正しい。管理組合が、滞納している区分所有者に支払請求訴訟を提起したとき
は、請求として(裁判上の請求)時効が中断する(民法147条1号)。しかし、訴えの却
下又は訴えを取り下げた場合は、時効が中断しなかったことになる(民法149条)。2の
破産手続きの場合の届出の取り下げ、又は届出が却下された場合と同じことになって
いることに注意。
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