住宅を造っては壊すというスクラップ・ビルド型から、良い住宅を造って手入れ
し、長く使うというストック型社会へと言われる。政府も、つい最近200年住宅政
策を掲げていた。

 これは新しい住宅を造るときは、長持ちする住宅を造ろうということを意味し
ているのであるが、現在の築30年ないし40年のマンションについても、ちゃん
と手入れして、100年、200年使おうということをも意味していると考えるべき
だ。

 日本では、マンションを含めて住宅の使用年数は、平均して約30年とされてい
る。これは欧米に比べて極端に短い。これは建物の耐用年数ではなく、単なる使
用年数だ。親の世代で住宅ローンを組んで、住宅を建てて、子供の世代でも、住
宅ローンを組んで、新しく住宅を建てるという繰り返しだ。

 右肩あがりの経済成長を続けていたときは、造っては壊すということが、経
済政策の中に組み込まれていた。ちゃんと働いていれば、それが可能だった。

 しかし、これからはそうはいかない。そもそも、日本ではマンションを含めて、
約660万戸の住宅が余っている状態だ。この余っている住宅を有効に利用する方
法を考えなければならない。

 親の世代で住宅ローンの支払が終われば、子供の世代では、その住宅を手入れ
して使う。マンションについては、孫の世代までも可能だ。もちろん、手入れを
するには、それ相応の費用はかかる。しかし、新しく住宅を買う費用に比べたら、
はるかに少ない。親の残した住宅を有効に使い、子供の世代では、無駄な住宅ロ
ーンの支払に苦しめられることのないようにしたい。

 高経年のマンションについては、極端に抵当権の評価額が減少する。これなど
は、使用年数を考慮しての評価だと思われる。実際の耐用年数を考えれば、まだ
まだ相当な価値があると思われるのにだ。

 また、不動産取得税の軽減措置や住宅ローン控除の適用、その他の税制におい
ても、マンションの場合、築25年を過ぎると適用されなくなる。これなども、不
当な取り扱いである。新しく住宅をどんどん建てて売りたい建設業界に都合のよ
い税制である。

 このように、国も経済の現状も、マンションについて、早くつぶして新しいく
建替えようという姿勢が見え見えだ。もっと高経年のマンションが市場でも流通
することを促進すべきなのに。

 過去に何べんも言ったが、専門家の話しによると、ちゃんとした修繕をやれば、
マンションは軽く100年は持つそうだ。それを前提に、国の政策を転換していか
なければならないと思う。

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