週に最低でも1本の映画を見ているが、すべてについて事前に十分検討してから
見ている訳ではない。あたりはずれがある。事前に検討して期待していてもはずれ
がある。人の好みもあり、仕方ないことだが。

 60歳のラブレターを見た。団塊の世代のはしりとして、興味があった。3組の男
女の関係を扱ったものである。中村雅俊主役の夫婦を中心に描いていた。

 やり手のサラリーマンが会社を退職をして離婚したが、再び元のさやに納まると
いうストーリーになっていた。なんかハッピーエンドにしたいという意図であろう
が、違和感があった。

 会社を退職した日に、家では専業主婦である妻や結婚を控えた娘が待っているの
に、若い愛人宅に寄った。そういう夫婦関係だということだ。すぐに2人は離婚す
る。

 ところが、夫は、愛人との関係がうまくいかなくなってきた。他方妻は、友人の
勧めもあり外に出て遊ぶことを始めた。そこで、いかにもプレイボーイ風の男に誘
われる。妻は忘れていた女を感じる。

 その男と妻は北海道の旅行に出かける。夫は、妻を心配して後を追いかける。妻
を自分に振り向かそうとする。結局、2人は再び夫婦としてやっていくという話。
別の2組の男女の関係については省略する。

 しかし、夫にコケにされ、挙句の果てに離婚までされて、はれてこれから自分の
人生を送ろうとしている妻が、愛人に捨てられ、落ちぶれた夫の元に帰ることがハ
ッピーだろうか。

 確かに、団塊の世代までは、明治の家風の名残りがあり、妻は万事夫を立て、専
業主婦として家事を完璧にこなし、家を守るという美風(?)があった。夫の少々
の浮気があっても、じっと耐える。

 そういう世代でも、離婚を機にそれぞれが別々の人生を歩んで行くことの方がハ
ッピーではないのか。妻が一人の独立した人間として、自分の力で生きていくとい
うことを描いた方がハッピーではないのか。

 同世代の夫婦が多数見に来ていた。すぐ横にも同世代の夫婦であろう2人がいた。
映画がはじまる前にちょっと嫌な予感がした。案の定、映画の途中で食事はするは、
無遠慮に大声で笑うわ。何かカバンの中をごごそ探す音を立てるわで、後ろの遠く
の席に変わるはめになった。自宅でテレビを見ている感覚を映画館に持ち込む奴が
たまにいる。
  
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