専任の取引主任者の補充と届出の問題

 いうまでもなく、「事務所」には、業務に従事する者の5分の1以上の割合
専任の取引主任者を、一定の案内所等には1以上の専任の取引主任者を設
置しなければならない(業法151項、規則6条の3)。そして、その法定数
欠くに至ったときは、2週間以内に適合させるため必要な措置(補充措置)

執らなければならない
(業法153)
 そして、事務所ごとに置かれる専任の取引主任者は、業者名簿の登載事
項と
なっているので(業法826号、151)、事務所ごとに置かれる専
の取引主任者の変更があったときは、30日以内に免許権者に変更の届出
(業
者名簿の変更の届出)をしなければならない(業法9条、826)
 だから、「事務所ごとに置かれる専任の取引主任者」が法定数を欠くように
ったときは、2週間以内に補充し、補充後30日以内に業者名簿の変更の届
出を
しなければならないことになる。ちなみに、事務所の専任の取引主任者の
一人
が退職しても、5人に1人以上の要件に影響がなければ補充の必要はな
いが、
業者名簿の変更(その者の氏名を業者名簿から削除)の届出は必要で
ある。
 これに対し、「案内所等の専任の取引主任者」が法定数を欠くようになった
きは、2週間以内に補充しなければならないが、法9条の業者名簿の変更の

出の必要はない。案内所等の専任の取引主任者は、業者名簿の登載事項では
ないので、法9条の変更の届出の対象ではないのである。
 両者を区別することなく、「専任の取引主任者の法定数が欠けると、2週間
内に補充し、補充後
30日以内に業者名簿の変更の届出をしなければならな
い。」
などと書いてあるテキストがあるが、注意してほしい。

 ただ、1人以上の専任の取引主任者を置くべき案内所等は、業務を行う10
前までに、業務内容、その期間、専任の取引主任者の氏名等が届出事項とさ

ている
(業法502)。そして、知事は、業務の種別等の変更、期間の延
長(1
年を超えるようになったときも)、専任の取引主任者を変更する場合等
には、「再
度の届出」をさせているようである。知事の指導によるものと思わ
れるが(業法71
)、法9条の「業者名簿の変更の届出」義務の問題でないこ
とはいうまでもない。

平成14年度の問31の肢1について
(本文では違反しないものはどれかと聞いている)

1 Aは、専任の取引主任者として従事していた宅地建物取引業者B社を退職し、
 宅地建物取引業者C社に専任の取引主任者として従事することになり、
B社は
 宅地建物取引業者名簿登載事項の変更をAの退職から半年後に、C社
はAの
 就任から
10日後に当該届出を行った。

 これは、違反するものとされている。退職から30日以内に「変更の届出」が
いからである。この問題については、特に断っていないが、出題者は、Aは、

ずれも事務所の専任の取引主任者ということを前提にしている。問題文全体

ら判断してそういえないこともない。やはり、事務所の専任の取引主任者と
いう
ことを明らかにした方がよいと思われる。
 この問題について、肢2に違反しないものがあり、2が正解となっている。

平成16年度の問33の肢3について

3 A社の専任の取引主任者がBからCに交代した場合、A社は2週間以内に
 甲県知事に対して、宅地建物取引業者名簿の変更の届出を行わなければ
 なら
ない。

 これは、2週間が誤りで、30日以内に届出が必要。この問題については、
本文で、「A社の取引主任者は、専任の取引主任者であるBのみである」と
断っている。だから、Bは事務所の専任の取引主任者ということが前提にさ
れているので、問題はない。正解である正しいものは2の肢である。

平成19年度の問30の肢2について

2 宅地建物取引業者B(甲県知事免許)は、その事務所において、成年者で
 取引主任者Cを新たに専任の取引主任者として置いた。この場合、Bは、30
 
日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならない。

 これは、正しく、正解の肢として出題されている。ここでは、明確に事務所の
専任の取引主任者としている。最近の問題はこの点をちゃんと意識して
出題
している。事務所の専任の取引主任者ということを明確にしなかったら、
正し
い肢とはいえないことを注意してほしい。