宅建・管業 過去のミス問題の検討⑫
記事投稿日2014年06月16日月曜日
投稿者:一般社団法人エースマンション管理士協会 カテゴリー: General
専任の取引主任者の補充と届出の問題
いうまでもなく、「事務所」には、業務に従事する者の5分の1以上の割合の
専任の取引主任者を、一定の案内所等には1以上の専任の取引主任者を設
置しなければならない(業法15条1項、規則6条の3)。そして、その法定数を
欠くに至ったときは、2週間以内に適合させるため必要な措置(補充措置)を
執らなければならない(業法15条3項)。
そして、事務所ごとに置かれる専任の取引主任者は、業者名簿の登載事
項となっているので(業法8条2項6号、15条1項)、事務所ごとに置かれる専
任の取引主任者の変更があったときは、30日以内に免許権者に変更の届出
(業者名簿の変更の届出)をしなければならない(業法9条、8条2項6号)。
だから、「事務所ごとに置かれる専任の取引主任者」が法定数を欠くように
なったときは、2週間以内に補充し、補充後30日以内に業者名簿の変更の届
出をしなければならないことになる。ちなみに、事務所の専任の取引主任者の
一人が退職しても、5人に1人以上の要件に影響がなければ補充の必要はな
いが、業者名簿の変更(その者の氏名を業者名簿から削除)の届出は必要で
ある。
これに対し、「案内所等の専任の取引主任者」が法定数を欠くようになったと
きは、2週間以内に補充しなければならないが、法9条の業者名簿の変更の届
出の必要はない。案内所等の専任の取引主任者は、業者名簿の登載事項では
ないので、法9条の変更の届出の対象ではないのである。
両者を区別することなく、「専任の取引主任者の法定数が欠けると、2週間以
内に補充し、補充後30日以内に業者名簿の変更の届出をしなければならない。」
などと書いてあるテキストがあるが、注意してほしい。
ただ、1人以上の専任の取引主任者を置くべき案内所等は、業務を行う10日
前までに、業務内容、その期間、専任の取引主任者の氏名等が届出事項とされ
ている(業法50条2項)。そして、知事は、業務の種別等の変更、期間の延長(1
年を超えるようになったときも)、専任の取引主任者を変更する場合等には、「再
度の届出」をさせているようである。知事の指導によるものと思われるが(業法71
条)、法9条の「業者名簿の変更の届出」義務の問題でないことはいうまでもない。
平成14年度の問31の肢1について
(本文では違反しないものはどれかと聞いている)
1 Aは、専任の取引主任者として従事していた宅地建物取引業者B社を退職し、
宅地建物取引業者C社に専任の取引主任者として従事することになり、B社は
宅地建物取引業者名簿登載事項の変更をAの退職から半年後に、C社はAの
就任から10日後に当該届出を行った。
これは、違反するものとされている。退職から30日以内に「変更の届出」がな
いからである。この問題については、特に断っていないが、出題者は、Aは、い
ずれも事務所の専任の取引主任者ということを前提にしている。問題文全体か
ら判断してそういえないこともない。やはり、事務所の専任の取引主任者という
ことを明らかにした方がよいと思われる。
この問題について、肢2に違反しないものがあり、2が正解となっている。
平成16年度の問33の肢3について
3 A社の専任の取引主任者がBからCに交代した場合、A社は2週間以内に
甲県知事に対して、宅地建物取引業者名簿の変更の届出を行わなければ
ならない。
これは、2週間が誤りで、30日以内に届出が必要。この問題については、
本文で、「A社の取引主任者は、専任の取引主任者であるBのみである」と
断っている。だから、Bは事務所の専任の取引主任者ということが前提にさ
れているので、問題はない。正解である正しいものは2の肢である。
平成19年度の問30の肢2について
2 宅地建物取引業者B(甲県知事免許)は、その事務所において、成年者で
取引主任者Cを新たに専任の取引主任者として置いた。この場合、Bは、30
日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならない。
これは、正しく、正解の肢として出題されている。ここでは、明確に事務所の
専任の取引主任者としている。最近の問題はこの点をちゃんと意識して出題
している。事務所の専任の取引主任者ということを明確にしなかったら、正し
い肢とはいえないことを注意してほしい。
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