マンションを買うと、毎月「管理費等」として一定の金額を管理組合に支払って
いる。その中に「通常の管理費」と「修繕積立金」が含まれている。

 マンションを買う人は、「通常の管理費」と「修繕積立金」とを含めた「管理費
等」が高いか安いかということには関心が向く。しかし、「通常の管理費」と「修
繕積立金」を区別してそれぞれが高いか安いかに関心を向けて欲しい。

 通常の管理費は、日常の管理に必要な費用であり、管理会社に管理を依頼してい
る場合には、管理会社に支払われる。
 修繕積立金は、計画的な修繕計画に基づいて数年、ないしは十数年ごとに行われ
る計画的な修繕、大規模修繕のための費用として積み立てられる金額である。

 だから、修繕積立金は、将来のマンションの価値を維持するためのお金であり、
高くても自分たちに還元される金額である。

 ところが、何べんも指摘したように、多くのマンションにおいてこの修繕積立金
が不足して、将来必要な修繕ができないという問題が生じている。

 築10年を超えると、第1回目の大規模修繕が行われるのが普通である。この場合
は、分譲時にあらかじめ修繕積立基金として積み立てたお金などがあり、何とか
足りる。

 しかし、その後の大規模修繕は、もっと、費用がかかる。第1回目で、修繕積立
金基金はほとんど使い果たし、毎月の修繕積立金のみが頼りになる。これではと
ても足りない。

 途中で修繕積立金の増額を提案しても、なかなか総会で決議できないという事
態になりかねない。これは管理組合がかかえる最も深刻な問題である。今は問題
になっていなくても、将来、必ず問題になってくる問題である。

 ちゃんとした修繕をすると、まだまだ何十年も住めるマンションを、泣く泣く少
ない修繕積立金の範囲で修繕して御茶を濁すのか、それとも、泣く泣く各戸が数百
万円を臨時に負担して、ちゃんとした修繕を行うかの選択を迫られる。

 ちゃんとした長期的な修繕計画を立てて、それに従った修繕積立金の積立てを行
うことを今から真剣に考えなければならない。

 中古のマンションを買ったが、後に大規模修繕が行われ、修繕積立金が不足した
ため、思わぬ追加負担を求められたという話しも聞く。

 マンションの売買の場合、仲介業者は、買主となろうとする者に対して、あらか
じめ、修繕積立金について、重要事項として説明しなければならないとされている。

 「積立て額」も説明事項となっている。これは、マンション全体の積立て総額の
ことである。月々の積立て額や滞納額と並べて説明事項とされているが、これこそ、
マンションの隠れた価値を判断する金額だからだ。

 当該マンションが維持修繕の実施状況が記載されているときは、その説明が必要
とされており、このこととあいまって、現在「積立て額」がいくら貯まっているか
を見て、そのマンションの価値を判断しなければならない。
 「積立て額」が多ければ、その分価値が高いマンションということを知らなけれ
ばならない。

 このように、修繕積立金は、マンションの価値を決めるための重要な要素であり、
だから、売買のときの重要事項とされているのだ。

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