マンション管理会社は、マンション管理組合と委
 任契約を結んで、マンションの管理業務を行うもの
 である。マンション管理士は、マンション管理組合と
 委任契約を結んで、マンション管理組合に対して、
 助言・指導・援助を行うことを業務とするものである。

  管理会社と管理組合、管理士と管理組合の間に
 は委任契約が締結される。

  管理会社は、管理組合が管理士を雇う(管理士と
 委任契約を締結するのであって、法律上は雇用契
 約のような雇うというものではない)ことをきらう。
  管理会社は、管理組合に対して、助言・指導・援
 助を自分が行うから、管理士を雇う必要はないとい
 うわけである。

  従来は、確かにそういう役割を管理会社が担って
 きた。また、弁護士や司法書士、行政書士も何か
 問題があれば、管理組合にかかわってきた。

  しかし、そういう従来の関係では、マンションの管
 理問題はとても解決できないということが明らかに
 なったのである。

  マンションの管理について、管理組合に恒常的に
 かかわってその管理を助言・指導等を行う専門家が
 必要になった。弁護士等が片手間に管理組合に助
 言等を行っている場合ではないということだ。
  また、管理会社が契約の相手方に、助言等を行う
 というのも、利害の対立する契約の当事者間におい
 て、極めておかしいことであることがわかってきた。

  そこで、平成13年から、マンション管理士の資格
 制度を設けて、マンション管理についての専門家の
 育成を国家的事業として行ったのである。

  管理士は管理組合と委任契約を締結して、管理
 組合に対して、助言・指導等を行うわけである。
  委任契約という点では、管理会社と管理組合と
 の関係と同じである。しかし、その委任内容は全く
 異なる。

  管理会社は、マンションの管理の委託を受けるも
 のであり、管理士は、管理組合に対して助言・指導
 等を行うことの委託を受けるものである。
  今後は、管理組合に対し、助言・指導等を行うの
 は、それを業務とする管理士が管理会社に代わって
 行う必要がある。それが、新しい法律の考え方であ
 り、国の方針だ。

  そもそも、利害の対立する対等な契約の当事者
 である管理会社が、相手方の管理組合に対して助
 言・指導等を行うということは、極めて不自然でおか
 しなことなのだ。その助言・指導等を自分に有利に
 することは目に見えている。

  管理士と管理組合との関係も委任契約であるの
 で、信頼関係を基礎にしている。
  したがって、顧問契約などを締結するときは、期
 間を1年と定めたとしても、当事者間で、何時でも解
 約できる旨の定めを契約書に明記しておくべきであ
 る。管理士もこのようなことを覚悟して業務を行うべ
 きことは当然のことである。  
 
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